「月光族」が「月欠族」に、借金頼りに暮らす若者たち―中国

人民網日本語版    2019年2月23日(土) 1時0分

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毎月の給料をその月にすべて使い果たす「月光族」に貧乏暇なしの若者たちは、今は「富豪」ならぬ「負豪」となり、雪だるま式に増えていく借金にますます頭を悩ませている。

毎月の給料をその月にすべて使い果たす「月光族」に貧乏暇なしの若者たちは、今は「富豪」ならぬ「負豪」となり、雪だるま式に増えていく借金にますます頭を悩ませている。

多くの人の予想に反し、一線・二線都市には自分の借金問題で困難に陥っている若いホワイトカラーも一部存在する。

オンライン求人サイト「智聯招聘」が発表した「2018年ホワイトカラー満足度指数調査研究報告」によると、2割以上のホワイトカラーが、「2018年に生計が赤字になった」と答えている。収入・貯蓄を総括した際に、「負債超過」と答えた人は21.89%に上り、典型的な「貧乏暇なし族」の状態だった。預金残高について、「1万-3万元(約16万-48万円)」と答えたホワイトカラーは20.15%を占め、「5万元(約80万円)以上」は17.67%だった。

報告によると、所得レベルが預金残高の額に直接影響を及ぼしている以外に、毎月の給料をその月にすべて使い果たす「月光消費」、さらには「前借り消費」を選択する若者がますます増えていることも、預金残高を左右する大きな要因となっている。

地方から北京に出てきた若者である「北漂」の張睿琳(ジャン・ルイリン)さん(24歳女性)は、「自分もこの報告で取り上げられている『貧乏暇なし族』のうちの一人」と自嘲気味に話す。2016年に4年制大学を卒業後、北京で月給約8000元(約12万8000円)の仕事に就いたが、毎月家賃に約3000元(約4万8000円)かかるほか、通勤・通信・衣食住・交通といった固定費を計上すると、この所得でギリギリの生活といえる。洋服やハイテク製品、化粧品など固定費以外の出費があった時には、クレジットカードやアリババ傘下の消費者金融製品「花唄」などに頼るしかない。

張さんは最初、これらの消費者金融プラットフォームが自分の債務危機を助けてくれると思っていたが、しばらくすると、自分の消費もますます派手になってきた。同年齢の人とのおしゃべりで、多くの人が「花唄族」であることを知った。さらには、「これまで私は『月光族』だったが、いまでは『月欠族(毎月の支出が収入を上回る人)』に変わり果てた」と自嘲気味に話す。

金融サービス検索プラットフォーム「融360」の調査データによると、大学生の53%は、「借金するのは、購入ニーズがあるからで、主に購入するのは、化粧品・衣類・電子製品など自分の支払能力を上回る物品で、前借り消費を行っている」と答えている。多くの若者は、「花唄」や「百度有銭花」、「360白条」、「微粒貸」、「分期楽」などさまざまなプラットフォームで借金し、消費に用立てている。これらの貸借プラットフォームを利用することで、ユーザーは商品代金を前借りすることができ、「消費してから後払い」という購入スタイルを享受できる。

消費者ローンを好んで利用するのは、職場で働くホワイトカラーだけに限らず、大学生も少なくない。1998年生まれの大学生・高梓豪(ガオ・ズーハオ)さんは、長年の「アップルファン」の一人。2018年10月、自分の2カ月分の生活費に相当する金額で、iPhoneの最新型機を購入した。彼の小さな願望は実現できたが、その後の生活費に困った。その後数カ月間にわたって、周りのクラスメートや親しい友人から数千元(数万円)を借りて生活費に充てるしかなかった。

高さんは、クラスメートに薦められ、消費者ローンを利用することにして、2カ月分の生活費を借りた。しかし、返済日が来るたびに自分が人から借金返済を催促されているような息苦しさを感じるようになった。両親から生活費の振り込みを受け取り、学校からは奨学金を獲得し、速やかに借金を返済し終えた。「消費者ローンは飲酒と同様、深みにはまればはまるほど憂鬱さが増大する」としみじみ語った。

若年世代をターゲットとしたオンライン消費者ローンは、ここ数年、急成長を遂げている。中商産業研究院が発表した「2018-2023年中国インターネット消費者金融業の市場予測と投資機会に関する研究報告」の統計データによると、2017年、中国におけるオンライン消費者ローンの取引総額は30兆元(約480万円)を上回り、成長率は33%に達した。2018年にはこの額が40兆8000億元(約652兆8000億円、19%増)に達すると予測されている。

中国人民大学商法研究所の所長を務める劉俊海(リウ・ジュンハイ)教授は、「現代の一部の若者の間では、『見栄を張るための消費』や『過度な消費』といった現象がかなり蔓延している。こういった状況がさらに拡大すれば、個人・家庭さらには社会全体にまでリスクを及ぼしかねない。若者自身や家庭の債務負担が増えるとともに、老後の暮らしにもリスクがもたらされる恐れもある」と指摘している。

アント・フィナンシャルサービスグループとフィデリティ・インベスメンツが共同で発表した「2018年中国老後の見通しに関する調査報告」によると、35歳以下の中国若年世代のうち、「老後のための貯金はまだ始めていない」と答えた人は56%、「1カ月の貯金額はわずか1339元(約2万1400円)」とした人は44%と、一部の若者は「ゼロ貯蓄、多額負債」状態に陥っているのが現状だ。

劉教授は、「金融リスクを予防するという背景のもと、消費者ローンやキャッシングを取り扱うオンラインプラットフォームは、社会的責任を担うという自覚を持ち、借金して消費するように若者を誘導・ミスリーディングすべきではない。若いユーザーに対しては、プロフィール調査と書類による審査をしっかりと行い、身の程を超えた消費をしたいという若者の心理を助長させてはならない。さもないと、商業倫理・関連法規違反の疑いがかかる恐れがあり、また、消費者ローン業界全体にもマイナス影響を及ぼしかねない」との見方を示した。(提供/人民網日本語版・編集/KM)

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