太陽が滅びるのはいつ?中国のSF映画「流浪地球」を科学的に解説

人民網日本語版    2019年2月16日(土) 9時40分

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春節(旧正月、今年は2月5日)に公開された中国のSF映画「流浪地球(The Wandering Earth)」は他の春節映画との熾烈な競争を制して興行収入トップに輝いた。

春節(旧正月、今年は2月5日)に公開された中国のSF映画「流浪地球(The Wandering Earth)」は他の春節映画との熾烈な競争を制して興行収入トップに輝いた。同映画は作家劉慈欣のSF小説を原作としている。「遠くない未来」において、太陽が急速に衰退し、いつ赤色巨星となって膨張してもおかしくない時期に入り、地球ものみ込まれて滅亡する危機に直面。この緊急事態に地球の国連は人類が生き延びるために、地球上に1万機以上のエンジンを建設することを決定した。これらのエンジンは1基当たり100兆トンにも上る推進力を備え、地球を巨大な宇宙船に見立てて、現在の軌道を離れて、太陽系に最も近い恒星・プロキシマ・ケンタウリを目指す。こうして地球は2500年に及ぶ宇宙旅行に出かけるというストーリーだ。北京日報が伝えた。

映画に登場するいくつかのシーンに、科学的根拠はあるのだろうか?

Q1 太陽が滅びるのはいつ?

太陽は約50億年前に、超新星爆発で四方八方に散らばった星間物質が何らかの影響によって再び集まって誕生したと考えられている。そして、太陽系の他の星がその後、誕生した。太陽のエネルギー源は、中心部の核融合反応で、大量の核爆弾が太陽の内部で爆発を続けているようなものだ。その核融合反応は100億年継続すると試算されており、それに基づくと、太陽はあと50億年燃え続けることができることになる。

小説の「流浪地球」では、科学者が太陽に異常が生じているのを発見し、赤色巨星と化して、数百年もしないうちに地球の軌道まで達して、地球をのみ込でしまうと予測している。赤色巨星とは、恒星が年老いて一生を終える前に短期間起こす不安定な状況だ。学者らはこれまで周囲の環境の変化により、人類はまだ地球であと約200万年は暮らすことができると試算していたが、物理学者のホーキング氏は悲観的で、「人類はエネルギーを効率よく使っておらず、数百年で地球は住めなくなる」との見方を示している。

いつか地球は膨張した太陽にのみ込まれる前に太陽系の外に移動してしまい、生命の存在には適さなくなり、その時は火星が生命が存在できる領域「ハビタブルゾーン」になるかもしれない。

Q2 プロキシマ・ケンタウリは人類の移住先に適している?

太陽系に最も近い恒星として知られるプロキシマ・ケンタウリは、4.2光年離れた位置にある。本当に、地球ごと太陽系から脱出する計画があるとすれば、プロキシマ・ケンタウリの周辺はハビタブルゾーンと言えるのだろうか?

ハッブル宇宙望遠鏡などの宇宙望遠鏡を使ったプロキシマ・ケンタウリを観測すると、その状況についてかなりのことを知ることができる。赤色矮星のプロキシマ・ケンタウリの質量は太陽の約7分の1で、目に見える可視光での明るさは太陽の0.0056%しかない。

劉慈欣の小説「流浪地球」が刊行された1999年はまだプロキシマ・ケンタウリの周囲に惑星が存在するのか知られていなかった。2016年年末、南米チリにあるヨーロッパ南天天文台をはじめ世界中の望遠鏡を用いた「Pale Red Dot(微かな赤い点)」と呼ばれる同時観測が行われ、プロキシマ・ケンタウリの周囲に地球に似た惑星を発見。天文学者だけでなく、多くの人を興奮させた。この惑星の質量は、地球の約1.3倍で、プロキシマ・ケンタウリの周りを約11.2日かけて公転している。Planetary Habitability Laboratoryが定めた地球類似性指標(ESI)の値は0.86だ。

それにもかかわらず、この惑星は地球とは非常に異なる性質となっている。例えば、プロキシマ・ケンタウリの質量は太陽よりかなり小さいため、プロキシマ・ケンタウリ周辺のハビタブルゾーンもそれに応じて中心の恒星から近い距離にある。二者の距離が非常に近いため、天文学において非常によく見られる「潮汐ロック」(自転と公転の同期)という現象が起きる。自転と公転の同期が起きると、惑星は中心の恒星に常に同じ面を向けて回転する。身近な実例は地球の衛星で、月は自転周期と公転周期が同じになっているので、常に地球に同じ面を向けている。そのため、中心の恒星に向けられている面は温度が非常に高くなり、反対側は温度が非常に低くなる。

自転と公転の同期のほか、中心の恒星は、頻繁に爆発現象が起こるというより重要な問題もある。プロキシマ・ケンタウリの質量は太陽より小さいものの、その爆発の頻度と放出されるエネルギーも太陽よりはるかに大きい。プロキシマ・ケンタウリの周囲にある惑星に到達する紫外線も、地球上で殺菌のために用いられる紫外線の100倍以上の強さとなっており、惑星上の生命にとっては致命的となる。さらに困ったことに、自転と公転の同期が起きると、現在の理論によると、惑星で磁場が生まれる可能性は非常に小さく、強烈な恒星風が続くと、惑星上に大気があったとしても、それはいずれ完全に消失してしまう。

プロキシマ・ケンタウリをめぐる上記の環境に基づいて考えると、そこは地球が移住するのには適していないかもしれない。もしかすると、テクノロジーがさらに進歩するにつれて、人類は太陽系以外の地球からもそう遠くない所で、ESIの値がもっと高く、ハビタブルゾーン内に位置する別の恒星を発見できるかもしれない。(編集KN)

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