過剰消費陥る中国の1990年代生まれが「負豪」に、親が肩代わり―中国メディア

人民網日本語版    2019年2月3日(日) 23時50分

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「オフィスで共に働く3世代、70後(1970年代生まれ)は貯金し、80後(80年代生まれ)は投資し、90後(90年代生まれ)は負債する。そして、90後の両親は子供の借金返済肩代わり」、これは中国のネットで流布している書き込みだ。資料写真。

「オフィスで共に働く3世代、70後(1970年代生まれ)は貯金し、80後(80年代生まれ)は投資し、90後(90年代生まれ)は負債する。そして、90後の両親は子供の借金返済肩代わり」、これは中国のネットで流布している書き込みで、ここから90後や00後(2000年以降生まれ)を中心とする若者の過剰消費と負債を抱えながらの消費という実態を垣間見ることができる。若者たちは今、若くして、大きな負債を抱える「負豪」となっている。 経済参考報が伝えた。

■「過剰消費」に陥る若者が増加

ノートパソコンにiPhone、電子書籍リーダーのkindleにスポーツアイテム、化粧品にスポーツジムの会員権カードなど、数千元(数万円)する消費財が、都市で暮らす若者たちの日常生活に溶け込み、大学生の必需品にもなっている。

金融会社・融360の調査統計によると、大学生の53%が買い物のために借金している。その主な使い道は化粧品、服、電子製品などで、大半が分不相応の過剰消費となっている。

それら消費財のほか、若者たちは友人との食事や旅行などにもお金を使い、大学生は1カ月1000元(約1万6000円)ほどでは全くやっていけず、借金して消費するほかない状態だ。

十分な収入源もなく、過剰消費をやめることもできないという一部の学生は借金を抱え、毎月、最低限の返済をして、また、新たな負債を抱えるようになり、その利子が翌月の返済に加わり、負債が雪だるま式に増えている。そのように、常に支出超過の状態で、債務が増えていく。

複数の在学中の大学生は取材に対して、「いろんな所からお金を借りて、今では負債が1万元(約16万円)以上になっている。毎月最低1000元(約1万6000円)は返済しなければならず、ほとんどお金が回らない状態になっている」と打ち明けた。

きりがない「必需品」の購入に振り回されている大学生のほか、90後を中心とする働く若者の消費意識も、80後などとは大きく異なり、過剰消費に陥っている。

その典型的なケースとして、住宅の不動産価格が高すぎたり、または住宅を購入する資格を満たしていない大都市の若者が、住宅を購入するのをあきらめるかのように、会社から支給される住宅積立金を生活費にまわしているという現象もあるほどだ。

海爾(ハイアール)消費金融がここ3年の統計をまとめて発表した中国338都市の450万人をカバーした「消費金融報告2018」によると、70後や80後が主に家庭のためお金を使っているのに対して、90後は、生活の質の向上を重視して「自分のため」にお金を使っており、過剰消費状態になっている。

消費者金融を利用したことがある人のうち、最も多いのは26-30歳で、26.56%を占める。また、月收が3000-5000元(約4万8000-8万円)、年收が8万元以下の人が8割を占めている。借金して買い物をする人が多いのは三線都市で、その借り入れ件数が全体の74.44%を占めているのは注目に値する。

都市で生き残るために奮闘し、生活費も節約しながらマイホームを買っている上の世代の人々とは異なり、今の若者は都市で成長し、学校に通い、就職し、その目標ははっきりせず、ストレスもあまり感じておらず、貯金という意識や習慣もあまりない。

輸入車・ミニクーパーを改造し、1万元(約16万円)以上する日本製の限定版万年筆とそのインクを購入するというように、浙江省杭州市のある企業で働くエンジニアの余さんは、マイホームも車もあり、税金を引かれる前の年收が約30万元(約480万円)あるものの、買いたいものがあれば買ってしまうため、その貯金はゼロだという。

就職サイト・智聯招聘の「ホワイトカラー満足度指数調査研究報告2018」の統計によると、18年、貯金が3万元(約48万円)以上あるホワイトカラーは3割にとどまり、2割は全くないどころか、負債さえ抱えていた。

■借金をしながらお金を使うよう誘導することが「負豪」の誕生を促進

関係専門家は、一部の若者が過剰消費や支出が収入を上回る状態、ひいては借金地獄に陥っていたり、首が回らない状態になっている主な理由は2つあると指摘する。

1つは、経済が長足の発展を遂げ、社会全体の消費の高度化が続いているのを背景に、若者の消費も拡大し、バランスを失いやすい状態になっている点。

特に、インターネットが普及し市場経済のもとで育った90後、00後は、数世代続いていた多くの家庭の経済状態が思わしくないという状況からはすでに抜け出しており、自由に使えるお金も増え、消費意欲も強い。しかし、一部の若者は、過剰消費の状態から抜け出せず、その加減をコントロールすることもできず、収支のバランスを取り、分相応なお金の使い方をしなければならないという理性的な消費意識が形成されていない。

もう一つの理由は、借金を特徴とする若者の過剰消費は、現在の経済社会環境の至る所で見られる各種刺激、誘惑と関係がある点だ。

例えば、銀行のクレジットカードは、預金残高を超えたキャッシングを勧めてくる。大学の寮では、スタッフがクレジットカードの手続きを宣伝し、銀行は定期的にショートメッセージや電話でも勧誘し、クレジットカードで借金して買い物するよう、若者を誘導している。

統計によると、住宅ローンに限度額がある今、消費者金融が商業銀行の中心事業になり、急速に成長している。

中国人民銀行(中央銀行)の統計によると、クレジットカードによる負債のうち、返済期限を半年超えても未返済となっている負債額は10年末の時点で76億8900万元(約1230億円)に達し、その後も急激に増えて、18年第3四半期(7~9月)末の時点で、880億9800万元(約1兆4095億円)に達している。

このように、毎日好きな物を食べたり飲んだりし、高い消費力を持っているように見えても、実際には負債を抱えながら買い物している消費者が今増加しており、彼らは「負豪」と呼ばれている。中、大都市で働く若者がその「負豪」の中心となっている。

金融サービス会社アント・フィナンシャルと米フィデリティ・インベスメンツが共同で発表した「中国老後のビジョン調査報告2018」によると、中国の35歳以下の若者の56%がまだ老後のための貯蓄を始めておらず、44%の1人当たりの毎月の貯蓄額は1339元(約2万1400円)にとどまり、一部の若者は「貯金がゼロで、負債をたくさん抱えている」状態に陥っている。

安徽師範大学のカウンセリング研究所の方双虎(ファン・シュアンフー)所長ら専門家は、「社会全体が若者が健全な消費意識や金融意識を身につけるよう導き、学校は消費をめぐる教育、命をめぐる教育を強化し、若者が過度にあれこれ心配することなくお金を使いながらも、健全な消費意識を身につけるようサポートしなければならない」と指摘する。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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