<コラム>「韓国民族は恨(ハン)の民族」という言葉は、伊達や酔狂ではない

配信日時:2019年1月30日(水) 22時20分
「韓国民族は恨(ハン)の民族」という言葉は、伊達や酔狂ではない
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キム・ボクトン(金福童)さんが1月28日に永眠された。1926年生まれで満92歳。14歳の頃に日本軍によって慰安婦として動員された人である。写真は韓国にある慰安婦関連の歴史館。
キム・ボクトン(金福童)さんが1月28日に永眠された。1926年生まれで満92歳。14歳の頃に日本軍によって慰安婦として動員された人である。1993年に国連人権委員会にて日本軍慰安婦被害事実を証言しただけでなく、米国、日本、欧州など多くの場所で日本軍慰安婦被害事実を証言した。

2012年3月8日、「国際女性デー」を迎え、「日本軍慰安婦被害者の避難所」で一緒に生活していたギル・ウォンオクおばあちゃんと一緒に「ナビ基金(蝶基金)」を発足させた。「蝶資金」というのは、いつになるかわからないけれども、将来日本の公式謝罪とともに行なわれるであろう法的賠償金の全額を、全世界の「戦争中の性暴力の被害者」を中心に、さまざまな暴力に苦しむ女性のために寄付する資金である。

社会的発言もよくしていた人だ。こんな言葉も残している。「日本の武器は忘却であるけれど、われわれ韓国の武器は記憶である」。この言葉は、いろいろの意味で真をついている。いい意味でも悪い意味でも。

ボクトンさんの残したこの言葉は、ボクトンさんの立場からするともちろん日本にとっては悪い意味で言ったものである。過去に犯した罪を日本は忘れることに余念がないけれど、韓国は永遠に記憶してゆくだろうという意味だ。韓国の「記憶の文化」はそれこそ「半端ねえ」のである。

韓国民族を言い表すのに「恨(ハン)の民族」という言葉がよく使われる。日本文化を言うのに、「わびさび」と言われるように。「わびさび」といわれても、日本人がみんながみんな、深く理解しているわけではないかと思う(筆者も含めてだけれど)。

同じように韓国の「恨(ハン)」も、韓国人自身に聞いてもはっきりと答えられる人はいない(専門の研究者は除く)。

恨(ハン)というのは、漢字そのものの恨(うらみ)という意味よりは、もっと深い意味(たぶん恨みという気分を土台として、それにプラスして憐憫(れんびん)、恋しさ、切なさ、悔しさ、一緒にいたいのに別れなければならないやるせなさ、など)を含んだ何かを言い表すものとして筆者は捉えている。

ボクトンさんや、慰安婦被害者のおばあちゃんらを見ていて思うのは、韓国の人は実に恨(ハン)の民族だなあ、ということだ。2015年12月の日韓合意のときに、安倍氏が韓国の慰安婦らのおばあちゃんらに対しても心からの許しを乞うという発言をしていたのに、1カ月後くらいに、前言取り消しみたいな発言を日本の国会でやり、あれ以来、韓国では安倍氏に対する風当たりは強いままだ。

ボクトンさんはずっと言っていた。日本の心からの謝罪があればいいと。日本の長(おさ)が本当に心からの謝罪をしてくれるなら、それだけでいいと。臨終の間際まで、日本の謝罪を求めていたという。

女性が恨(ハン)を抱いて死ぬと夏にも雪が降るという表現がこちらにはある。それくらい女性の恨(ハン)はすごいという意味だ。ここ数日のボクトンさんのニュースを見ていて、日本(の長)がまともに韓国に対座しないと大変なことになるんじゃないかという感じがものすごくしてくるのだ。

安倍氏本人がボクトンさんをひっぱっていって、強制的に慰安婦にしたのでないことはわかっている。日本の先輩たち(軍部)がやったことである。それをなんでオレが尻拭いせねばならんのか、という気持ちも確かにあるだろう。ここは、安倍氏に頼むしかない。まだ慰安婦の方々が1人でもいらっしゃるうちに、心のこもった謝罪をやってほしい。

「恨(ハン)の民族」という言葉は、伊達や酔狂で存在しているのではない。韓国で「#me too」が世界的にも進んでいるのは、徹底して「記憶」するDNAがなせるわざなのである。こちらの記憶の文化は、半端ないのである。日本に、「夏に雪の降る」ようなことのないよう、誠の限りをつくして祈る次第だ。慰安婦のおばあちゃんは、これで23人となった。

■筆者プロフィール:木口 政樹
イザベラ・バードが理想郷と呼んだ山形県・米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結婚。三星(サムスン)人力開発院日本語科教授を経て白石大学校教授(2002年〜現在)。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。
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