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【CRI時評】仏独が「アーヘン条約」に調印、欧州に広がる利己主義の食い止めなるか?

配信日時:2019年1月23日(水) 16時45分
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 フランスのマクロン大統領とドイツのメルケル首相が22日、独西部の都市アーヘンで新たな友好条約「アーヘン条約」に調印した。両国は欧州一体化のプロセスにおいて「枢軸」としての地位を強化し、経済、外交、安全、防衛など鍵となる問題において協調の立場、「意見の一致」を示していくことで一致...
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 フランスのマクロン大統領とドイツのメルケル首相が22日、独西部の都市アーヘンで新たな友好条約「アーヘン条約」に調印した。両国は欧州一体化のプロセスにおいて「枢軸」としての地位を強化し、経済、外交、安全、防衛など鍵となる問題において協調の立場、「意見の一致」を示していくことで一致したのだ。

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 アーヘン条約は、欧州で拡大が続く国家利己主義、ポピュリズム勢力に向けた仏独の「宣戦布告書」とみなされている。ただし、仏独が「一体化」の理想を守り通せるかどうか、同じ言葉と足並みのそろった行動で欧州の「自国優先」という現実を打破できるかどうかは、3つの要素によって決まる。

 条約制定の初心に揺るぎが生じないかどうかが、「要素その1」だ。歴史とはいつも驚くほど似た出来事が起こるもので、アーヘン条約は1963年制定の仏独協力条約(エリゼ条約)の2.0バージョンと受け止められている。この2つの条約の目標はいずれも「欧州の利益を守り、国際問題における欧州の発言権を強化する」だ。多かれ少なかれ、どちらの条約も米国の影響力を抑えようという戦略的意図を有している。

 そして「要素その2」は、両国を取り巻く環境が条約の実施に有利に働くかどうかだ。歴史はそう簡単には同じ事を繰り返さない。仏独協力条約の56年後に誕生したアーヘン条約が直面する環境はより一層複雑だ。例を挙げると、英国は欧州連合(EU)をいかに離脱するかを考えねばならない。「自国優先」などの国家利己主義、ポピュリズムは欧州の一部の国に確かな「市場」を持っている。米国は欧州にいる盟友を忘れてしまったかのようで、ドイツも米国の態度に気兼ねすることはなくなるだろう。さらに重要なのは、条約の当事者であるフランスとドイツが現在の欧州で絶対的な発言力を持つ国ではなくなったという点だ。国内において、マクロン仏大統領は持続する「黄色のベスト」運動への対応を迫られ、メルケル独首相は与党内部と野党から来る二重の圧力に直面している。メルケル首相は2021年で任期満了だ。これら全てが仏独の新友好条約・アーヘン条約の実施に不確定性をもたらしている。

 「要素その3」は、欧州の一体化プロセスの推進にとってメリットがあるかどうかだ。マクロン大統領を熟知する人物は皆、同大統領がEU共通予算や強大な軍事同盟の創設をEU改革の核心に据えていることを知っている。しかし、これらはアーヘン条約に反映されてはいない。仏独の指導者は欧州一体化を推し進める意志を持っているが、加盟国拡大後のEUの議事ルールは「二重多数決」、つまりいかなる決議においても「最低でも16カ国から支持を取り付け、賛成国の人口の合計がEUの全人口の65%以上を占める」ことが求められる。フランスとドイツの人口がEU全体に占める割合は30%に過ぎず、両国が欧州一体化の道を歩むには、より多くのEU加盟国との結束が必要となる。

 アーヘンは、かつて西ヨーロッパの大部分を統一し、「ヨーロッパの父」と称えられるカール大帝が首都を置いた地だ。仏独が新たな友好条約調印の場としてこの都市を選んだことは意味深長と言えよう。(CRI論説員 関娟娟)

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