宣伝動画「ペッパピッグって何?」が一夜で話題を集めた訳とは?

人民網日本語版    2019年1月22日(火) 14時50分

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中国と英国が共同で制作したアニメ「ペッパピッグ」の中国語劇場版「小猪佩奇過大年」が、春節(旧正月、今年は2月5日)に合わせて封切られるが、最近、その宣伝動画「ペッパピッグって何?」が公開され、一夜にして大きな話題を集めている。

中国と英国が共同で制作したアニメ「ペッパピッグ」の中国語劇場版「小猪佩奇過大年」が、春節(旧正月、今年は2月5日)に合わせて封切られるが、最近、その宣伝動画「ペッパピッグって何?」が公開され、一夜にして大きな話題を集めている。

この動画が話題となっているのは、実は決して意外なことではない。なぜなら誰にとっても、家族は自分の心の拠り所で、一番大切なのが家族との絆だからだ。年の瀬になると、家族のあふれる愛情を描いた文芸作品が作られるが、映像や文字に関わらず、心の琴線に触れやすく、話題を集めやすい。

特にとびぬけて可愛いということもない平凡なピンクのブタが主役のペッパピッグ自体、家族愛のシンボルと言える。両親とペッパピッグ、そして弟の4人家族が、シンプルながら楽しく生活するという英国発のこのアニメは、「妻と子供がいて、一家団欒」という、中国の人々の素朴な理想とマッチしているほか、子供たちが幼少期に家庭や生活の中で経験することや親との関係などもリアルに描いている。それらは人間の最も基本的な感情であり、世界共通の言葉と言ってもいいだろう。それが、ペッパピッグが世界中で大人気となっている理由だ。

もちろん、文化的環境が異なれば、家族に対する思いの表現の仕方も異なる。家族に対する思いを描くストーリーを作成する際は、世界の人々に共通する感情をベースにして、ローカライズした独特の表現方法でそれを描かなければならない。筆者は以前、米国人の友人に「親にハグをしたことは一度もなく、親に『愛してる』と言ったことも一度もない」と話したことがある。その時、その友人は目を丸くし、「信じられない」という顔をしていた。その友人にとっては、家族とハグしたり、家族に「愛してる」と言うことは、ごく普通のことだったからだ。

では、「愛してる」という言葉を使わなければ、親や子供に対する思いを伝えることはできないのだろうか?もちろんそうではない。動画「ペッパピッグって何?」では、親と子供がハグをすることもなければ、親や子供に対する思いを言葉で直接表現することもない。しかし、その行動で示される親の子供に対する思いは、山よりも重く、海よりも深く、酒よりも濃い。田舎の村で息子家族の里帰りを待つ老人が、スクラップにペンキを塗って手作りした金属製のペッパピッグには、息子や孫に対する非常に深い思いが込められている。筆者にも似たような経験がある。筆者が就職したばかりのころ、兄が食器棚を作ってくれた。鉄を溶接して枠を作り、天板と底板は木製、四方の側板はガラスだった。前方のガラスの角は、手を怪我しないようにと、丸く加工し、取手をボンドでつけて開け閉めしやすいようにしてくれていた。小さく、粗末で、おしゃれとは程遠い食器棚であった上、家具店で売っている棚と比べると大分見劣りするものの、筆者にとっては何よりも大切な宝物だ。

「慈母手中の線、遊子身上の衣(慈しみ深い母の手には、旅立つ我が子の着物を縫うための糸がある)」と唐詩に謡われているように、昔から親の子供に対する思いなどを表現した詩が数え切れないほど詠まれてきた。その思いは、中華民族の文化の遺伝子に刻まれた感情であり、中国の人々にとって一番大切で、心が最も優しくなれる部分だ。それをベースに、幸せな家庭像、道徳観念、感情の傾向が構築され、日常生活や家庭生活を築き上げている。

こうした感情は失われることなく、今も多くの人の心に残っている。「ペッパピッグって何?」では、山村に住む農民の老人が、都市に住むアニメ好きな孫と、ペッパピッグを通して心を通わせている。そのような素朴にもかかわらず、非常に強い家族に対する思いは、三世代にわたって受け継がれている。この動画が公開されると、人々の心の底に眠っていた記憶や感情を呼び起こし、多くの人が目頭を熱くした。価値や文化、感情の洗礼を体験できるというのは、まさにアート作品の力と価値の現れと言えるだろう。

もちろん、わずか6分弱のこの映画の宣伝動画に、人々の実際の生活における思いなど全てを込めることはできない。しかし、「ペッパピッグって何?」が話題を集めたころは、「現実の生活に目を向けて作品を作ることはできないか?」や「リアルな物語を探し出して、それを描き、生活の中で感じる非常に身近な感情を表現することはできないか?」と創作者たちに問いかけているかのようだ。「農村と都市」、「親と子」、「伝統と現代」といのは、中国人にとって永遠のテーマだが、多くの人が帰省する1年に1度の春節の時期にしか、話題になることはない。永遠のテーマに込められている深い意義は、「ペッパピッグって何?」や毎年春節の時期になると必ずと言っていいほど目にする「帰省」をテーマにした「大人気の書き込み」の意義に比べると、ずっと複雑で、深みや重み、力がある。田舎で息子一家の帰りを待つ老人のピュアな家族に対する思いの背後には、実は非常に切ない物語がたくさん隠されている。親子の感情というものは、それほど簡単に語れるものではないという場合がほとんどだろう。そして、春節もまた多くの人にとっては、決して「一家団欒を楽しめる時」というような簡単なものでもないだろう。団年飯(大晦日の夜に家族で食べるご馳走)には、喜びや楽しみもある一方で、悲しみや苦しみもあり、さまざまな人生や生活が凝縮されている。

こうした重要な命題がより深みがあり、より力のある芸術作品の誕生を呼び掛けている。人々はこうした作品に触れると、心が揺さぶられ、温かい気持ちにもなり、さらに、どんな試練にも耐えられる精神的力を得ることができる。近年は、「カンフーパンダ」が大ヒットし、「花木蘭(ムーラン)」を題材にした作品がたくさん海外で制作されている。このように、中国人にとってなじみ深い文化や物語が海外で人気になっている。現在、「ペッパピッグって何?」が一夜にして大きな話題を集め、中国の人々の心の拠り所が再びはっきりと示された形となった。それこそが、文芸作品の歩むべき道、方向性なのかもしれない。(編集KN)

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