<中国で生きる>「言葉もできなかった過去の自分が出発点」、細かな現地サービスで成功した元留学生が語る

Record China    2013年1月7日(月) 12時56分

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北京を訪れる日本人観光客、北京に暮らす日本人在住者たちの多くにとって、現地情報を集めた「北京ニーハオ」というサイトはなじみに感じるだろう。2001年に北京で生活する元留学生の梶原美歌さんが立ち上げたサイトだ。

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北京を訪れる日本人観光客、北京に暮らす日本人在住者たちの多くにとって、現地情報を集めた「北京ニーハオ」というサイトはなじみに感じるだろう。大規模な展開はしていないが、日本人の視点から見た、北京の旅や生活に欠かせない情報が満載されている。中国語ができない観光客に向けては空港送迎、携帯電話レンタル、それにホテルや鉄道チケットの予約などのサービスが提供されている。また、在住者のためには家庭教師や家政婦、賃貸マンションの紹介など各種サービスを充実させており、高い評判を得ている。

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「北京ニーハオ」は2001年、北京で生活する元留学生の梶原美歌さんが立ち上げたサイトだ。創設の理由は、自身がかつて留学生だったころに中国語もままならず、簡単なことすら1人でできず、心細い思いをしたからだという。だから、北京に来る日本の人たちの気持ちはよく理解できる。彼らが少しでも安心して楽しく旅をしたり生活をしたりしてもらいたいという思いが出発点だった。

京都出身の梶原さんは、高校2年の頃から中国に興味を持ち始めた、大学時代は経済学を専攻、中国の社会主義市場経済についてもっと知りたいと思い、在学中に3回もの中国短期留学を経験した。そして1996年、河北省の地方都市・保定市にある河北大学に留学した。ここで彼女にとって重要な人と出会う。この人物は河北大学の卒業生で、コンピューターを専攻し、卒業後は地元の銀行に勤めていた。ある時、母校の友人を訪ねた際、片言の中国語しか話せなかった在学中の梶原さんに一目ぼれ、そして2人は強く引かれ合った。しかし、当時の河北大学には外国留学生は7人しかおらず、卒業後の将来にわたって保定市で暮らすには現実には難しいだろうと梶原さんは考えた。すると、彼は銀行の仕事を辞め、あきれかえる親を尻目に北京に出てきた。梶原さんは「とても頼りになる」と感じた。

異国での生活、彼女の両親の心配が大きかったことは想像に難くない。それでも最終的には娘の気持ちを尊重し、結婚に賛成してくれたという。そして、2人は北京で結婚生活をスタートした。

当初の生活は、決して楽ではなかった。最初に住んだのは粗末なアパート。部屋を掃除するモップの洗い場がキッチンにあり、バスルームはなく、シャワーはトイレの狭い空間に据えつけてある。正直、カルチャーショックもあった。「でも、2人一緒にいられることがうれしくて、ちっとも苦に感じませんでしたね。そのうち生活も良くなるだろうって、とても楽観的でした。夫は、私が気に入ったカーテンを買ってくれたり、自転車であちこちに連れて行ってくれたりして、幸せな時間が過ぎていきました」。かつて彼女は現地メディアの取材に対してこう語っている。

その後、夫がコンピューター関連の会社を立ち上げた。梶原さんも同時に日本人向けに生活・旅行まわりのサービス会社をスタート。苦労の末、それぞれの事業は成功。当然、夫婦の生活環境は大きく変わって、北京五輪のメーンスタジアムとなった「鳥の巣」のすぐそばにあるマンションに住み、五輪開会式の花火も生で観賞できたそうだ。

サービスを利用するお客は日本人。しかし、サービス提供のための協力をお願いするパートナーは中国人。梶原さんは、お客に満足してもらえるサービスを目指しながら、それを提供する中国人たちに、日本式の細やかなサービスの必要性をなかなか理解してもらえず、苦心した。夫にもしばしば、「どうして会社の利益にならない余計なことまでするのか」と言われた。しかし、時が経つにつれ、夫はカスタマーサービスの重要性を理解したようだ。時おり、部下たちと一緒に手伝いまでしてくれるようになったという。

現在、梶原さんは1歳のお子さんの育児をしながら、引き続き北京ニーハオを通して最新の現地情報を発信し続けている。これからは中国人をターゲットに、フリープランで日本に旅行する際のお手伝いも提供できたら、と夢を膨らませている。(取材/RR・編集/愛玉)

■梶原美歌

北京旅行生活情報サイト「北京ニーハオ」運営。1971年山口県生まれ。龍谷大学卒業。1996年より北京で暮らし始める。自分の好きになった中国・北京をたくさんの日本人に教えてあげたいと2001年にサイトを立ち上げる。97年に中国人のご主人と結婚、2012年待望の二世誕生、今は北京で子育てに頑張っている。

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