ますます「若返る」故宮 そのワケは?

人民網日本語版    2019年1月11日(金) 19時30分

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1万3491箱の貴重な文化財を運び出し、はるか遠くの地へ移動させたのは、ここが戦地となったからで、またいつかここに戻って来るためだった。

1万3491箱の貴重な文化財を運び出し、はるか遠くの地へ移動させたのは、ここが戦地となったからで、またいつかここに戻って来るためだった。これは北京の人気観光スポット・故宮博物院がこのほど実際のエピソードをベースにして打ち出した連載漫画「故宮回声」のワンシーン。この漫画のターゲットは若者たちだ。人民日報が報じた。

ここ数年、来年で「600歳」を迎える故宮は「若返り」をしているというイメージを、多くの人が抱いている。国宝を紹介する大ヒットバラエティ番組「国家宝藏(NATIONAL TREASURE)」にしろ、若者の間で大人気となったドキュメンタリー「我在故宮修文物」やネット通販サイト大手・淘宝の「故宮淘宝」ショップで販売されているユニークな文化クリエイティブグッズ、故宮の微博(ウェイボー)公式アカウントのおもしろい書き込みなどにしろ、ネット時代に入り、故宮はどんどん「若く」なり、新しいスタイルを取り入れて、人々、特に若者の生活に溶け込むようになってきている。

習近平総書記は「博物院はまさに大きな学校だ」と指摘したことがある。古い建物群、収蔵している文化財、専門家・学者の知能リソースは、故宮博物院にしかない資源だ。それらの資源をいかにうまく活用し、イノベーションを実現させることができるのだろうかという問いに対して、故宮が出した答えが、「普通の人々」を第一に考えることだった。貴重な文化財を保存するのは、「人」のためであり、深遠なる学問も「人」のためにあり、研究もまた「人」のためにあるからだ。「文化財と歴史、文化に息を吹き込む」最終的な目的は、全て今ここにいる無数の普通の人々のためであり、後の世代のためだ。

こうした目標を掲げ、故宮は「若者」にターゲットを絞った。故宮を預かる関係者は「若者たちが何が好きかを見定め、我々はそれを提供する」とし、こうした「青春まっさかりの故宮」というそのコンセプトを説明する。しかし、若者をターゲットにするといっても、単に「老人が若作りする」という意味では決してない。若者の特徴やニーズを深く研究し、インターネットのインタラクティブ機能を存分に活用し、若者がコンテンツ産業の生産に参加するよう牽引してはじめて、文化博物、文化クリエイティブグッズ事業は新しい原動力と活気を得ることができるのだ。「故宮回声」は、こうしたたくさんのチャレンジのうちの一つであり、インターネットプラットフォームと提携して、アニメイノベーションコンテストを開催し、若いネットユーザーからアイデアを募集して、若者のアイデアを作品に盛り込んでいる。こうしたスタイルはインターネット時代の社会の特徴にマッチしており、大きなPR效果も期待できる。

歴史ある故宮が若者に世代を超えて歩み寄ることで、さらに多くの異なる業界にまで予想外に数多くの恩恵を及ぼしている。現在構築中の「デジタル故宮」は、博物館と社会の融合に着目しただけでなく、多くの学科を融合させ、伝統の技術・芸術と現代テクノロジーとの融合を目指し、博物館の新たな形態を作り上げている。こうした「化学反応」が生じることで、故宮に息が吹き込まれ、活気づき、1+1=3以上という效果を生んでいる。このような「故宮スタイル」は近年、中国の多くの文化博物機関に影響を与え、牽引するようになっているだけでなく、故宮博物院で働きたいと願ったり、短大・高専・大学における文化博物を専攻する若者が急増しているのを目にすることができるようにまでなってきている。

来年、故宮は「600歳」を迎えることになる。雄壮で美しい故宮を完全な形で次の「600年」に引き継いでいくこと、これが故宮が堅持する目標だ。「次の600年」に引き継いでいくのが、生気を失ってしまった文化財なのか、それとも生き生きとしていて活力あふれた文化なのかという問題は、伝統文化の保護や伝承に携わっている全ての人が一考すべき重大な問題であると言える。

故宮のチャレンジは、「歴史ある古い文化財ながら、今の時代においてもすでにしっかりと受け入れられた」という結果を出している。しかし、「600歳」の故宮は、中国で最も古い宝でもなければ、古いものの良さを新しいものに生かす最後のケースでもない。故宮が始めたこの一連の探求に今後、追随し、追い越していくケースがより多く現れてくるであろうことを確信するだけの十分な理由があると言えよう。(編集KN)

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