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<羅針盤>「最もよく人を幸福にする人が最もよく幸福となる」=年の終わりに、父・一真の言葉を想起―立石信雄オムロン元会長

配信日時:2018年12月30日(日) 5時30分
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2018年もあとわずか。内外情勢激動の時代、日本経済と企業経営にとっても試練の年であった。年の終わりに、オムロンの創業者である父・立石一真が残した以下の「言葉」をかみしめている。

◆「最もよく人を幸福(しあわせ)にする人が最もよく幸福となる」。

人間は誰でも幸福になる権利があるが、人を押しのけたり、足を引っ張ったりして自分だけ幸福になろうとしても、決して幸福にはなれない。人に幸せを与えることで、自分に幸せが戻ってくるものである。『企業は社会の公器である』との精神にのっとり、日本初の身体障害者福祉工場、「オムロン太陽」を1972年に設立した。「障害者が働きやすく、生活しやすく」をモットーに宿舎も設け、仕事エリアと生活エリア、すなわち職住を接近させたのが、この工場の特徴である。

◆「人からどう言われようと自分自身の価値は変わらない」

人に褒められて有頂天になり、人にくさされて憂うつになるなんておよそナンセンス。なぜなら、そんなことくらいで自分白身の価値が変わるものではないからだ。

◆「改善の余地があるならば、まずやってみる」

父は国産初のマイクロスイッチの開発に関して、「世の中Badと決めつけるのはたやすい。しかしNeed Improvement(改善の余地あり)でなければ、創造の将来はない。“まずやってみる”が我々が築き上げてきた企業文化なのだ」という言葉を残した。

◆「企業は生き物で、いつも変化しているので、経営者は常にそれを見守って組織の修正を早手回しにすべきだ」

先手必勝の考え方で、厳しい課題や問題を先送りしがちな風潮の中で今なお生きている警鐘と思う。

◆「大企業病を克服すべきだ」

父は『大企業病』の名付け親となりこの語は日常用語化した。大企業病克服のために「起業家精神の復活」の必要性を説いた。

――これらはまさに現代に通じる「経営名言」だと思う。

企業は自らの使命を再確認し、今後の事業の中核となるコアコンピタンスを再確立するとともに、それに向けて分権化、分社化、M&A(企業の合併・買収)などあらゆる戦略・手法を駆使して自らの企業構透の再構築を推進することである。
 
さらに、企業の透明性と情報公開の向上が求められる。企業は、市場で正しく評価してもらうため、株主へのアカウンタビリティー(説明責任)と、国際会計基準などに準拠した情報開示や、IR(投資家向け広報)活動の充実、さらに一般向け情報公開としてのディスクロージャーの充実を図るべきである。

企業として自らの企業使命とその実現のためのコーポレートーガバナンス原則を明確化し、経営トップから社員まで共有化するとともに、その情報を市場や社会にアピールし、ヒト・モノ・カネ・技術・情報などあらゆる資源の調達とその効率的な運用を促進し、経営のパフォーマンスを向上していくこと、それが今後の企業統治のポイントであると言えよう。

オムロンも、多くのユーザーのご愛顧をいただいたことに加え、よき後継者と有能な社員に恵まれた。全社員が創業の理念を正しく継承してくれ、ガバナンスの効いたCSR(企業の社会的責任)にも積極的に取り組む会社という評価を得て、成長し続けてくれている。父の遺訓も生きており、大変うれしく思う。
<羅針盤篇34>

■筆者プロフィール:立石信雄
1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。SAM「The Taylor Key Award」受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。
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