工業企業の利潤が急落して前年割れ=中国11月統計、算出方法で厳格化も進行

Record China    2018年12月28日(金) 14時0分

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中国の工業企業の利益が11月、16年12月以来の前年同月割れをした。前回の利益低迷は2014年8月から約1年半にわたり発生。米国との緊張が高まるだけに、工業企業の今後に関心が持たれる。一方で統計局が数値算出法を厳格化していることも注目ポイントだ。

中国政府・国家統計局は27日、2018年1―11月及び11月単月の「規模以上工業企業」の利益を発表した。1―11月では前年同期比11.8%増の6兆1168億8000万元(約98兆6800億円)、11月単月では前年同月比1.8%減の5947億5000万元(約9兆6000億円)とした。単月の「規模以上工業企業」の利益が前年同月割れしたのは2016年12月以来。同統計の発表では、算出法の厳格化も進められている。

「規模以上工業企業」とは、統計づくりなどの対象になる一定以上の規模を持つ工業企業を指す。基準は時おり改正されるが、現在は年間の主たる業務における売上高が2000万元(約3億2300万円)以上の工業法人と定められている。

最近において、中国で規模以上工業企業の利益が低迷したのは、2014年8月からの約1年半だった。2014年6月には前年同期比17.9%増、同年7月には同13.5%と2けた成長を見せたが、同年8月には同0.6%減とマイナス成長。その後もマイナス成長から脱却することがなかなかできなかった。15年12月には同4.7%減。15年通年でも前年比2.3%減にとどまった。

2015年における主な経済トピックスとしては、1989年の天安門事件(第2次)の影響を受けた1989、90年の経済低迷の影響から抜け出した1991年以来初めて、経済成長率が6.90%と7%を割り込んだことや株価が乱高下したことがあった。

しかし、規模以上工業企業の利益は2016年に再び増加を始めた。月によるばらつきも大きいが、前年同月を割り込むことはなくなり、2016年通年では前年比8.5%、増17年通年では前年比21%増など好調が続いた。18年になっても4~6月には前年同月比20%以上の増加など好調だったが、8月は9.2%増、9月は4.1%増、10月には3.6%増と勢いを失い、11月には1.8%減と、マイナス成長に転落した。

統計局は11月に規模以上工業企業の利益が前年同月を割り込んだことについて、工業分野の生産と販売の成長が減速したこと、出荷価格が下落したこと、コストが上昇したことなどが原因と説明した。一方で、米国との貿易戦争の激化を懸念して、投資を控えるなど製造業界に萎縮の傾向がみられるとの指摘もある。

なお、統計局が月ごとに発表する「規模以上工業企業の利益」の金額と成長率にもとづき前年同月の数値を逆算しても、実際に発表された数値とは一致しない。統計局は2018年4月までは、「規模以上工業企業の対象となる企業が毎年異なるため、前年比を算出する際には同年に対象となった企業と一致させたので、前年発表の数値とは差異が出る」と説明していた。

5月からは、数字が合致しない理由として、統計の対象とすべきでないと新たに判明した企業による数字を削除したり、複数の省で活動する企業の数字の重複の是正、さらに税制改革によりサービス業がより恩恵を受けることになったため、工業企業が財務上、商業活動とみなすことのできる部分を切り離したためなどとする説明を追加した。

月ごとに発表される金額と成長率にもとづき単純計算された前年同月の「規模以上工業企業の利益」と、前年に発表された数値の“誤差”は、2015年から2017年8月までは多くとも100億元の範囲に収まっていた。1億元に満たなかった月もある。

しかしその後は増加し始め、2018年になると、“誤差”が1000億元を超えることが常態化した。いずれも、事実上の下方修正だ。統計局の説明によれば、「規模以上工業企業の利益」の算出について、過去には存在した「水増し分」を排除する統計の厳格化の作業が進んでいると解釈することもできる。(翻訳・編集/如月隼人

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