日本の「所得倍増計画」が成功した4つの点―中国メディア

Record China    2012年12月9日(日) 9時20分

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7日、日本の「所得倍増計画」は10年内に国民所得を倍増させるという目標の成長率を大幅に上回り、約7年で倍増を達成した。この「所得倍増計画」はどのようにして達成され、予想を上回る効果を挙げたのか?中国メディアが分析した。写真は瀋陽のビニールハウス。

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2012年12月7日、1960−70年代に実施された日本の「所得倍増計画」は10年内に国民所得を倍増させるという目標の成長率を大幅に上回り、約7年で倍増を達成した。この「所得倍増計画」はどのようにして達成され、予想を上回る効果を挙げたのか?中国商務部(商務省)国際貿易経済協力研究員で日本経済を研究する金柏松(ジン・バイソン)研究員は(1)政府の関与と経済自由度のバランス(2)労働生産性の向上(3)知的財産権の保護(4)所得格差の縮小と有効需要の拡大の4点を指摘する。中国のウェブサイト「経済参考網」が伝えた。

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(1)政府の関与と経済自由度のバランス

日本政府は経済介入に対して、極めて綿密できめ細かな計画を立てていたことが、所得倍増計画から見て取れる。公共計画の部分に詳細な実施規則を設けただけではなく、指示的計画とした。民間に対しては予測や展望の形式で計画目標を制定し、政府の公共政策で企業の発展を推進・促進した。その中では、同業組合や商工会議所も重要な役割を果たした。政府は法律に基づいて行政を行い、経済には政府同業組合や商工会議所を通して関与するだけで、具体的な企業には原則的にかかわらない。同業組合や商工会議所を通して企業の発展を指導・推進・促進することで、計画を達成した。

(2)労働生産性の向上

国民の所得水準を高める鍵は労働生産性を上げることにある。実際、国際社会が各国の経済水準や企業競争力を比較する場合、労働生産性や資本利益率などの効率指標をより重視している。現在、中国の学者は所得増加や「有効需要」(貨幣的な購買力に裏付けされた実現可能な需要)の拡大を提唱している。しかし、当時の日本と同じく、中国の企業界にも労働所得の増加に反対する声がずっと存在しており、新たに発表された労働法への風当たりからその一端が垣間見える。日本政府が制定した所得倍増計画は盲目的に一方の意見を聞いたり、信用したりせず、学者の意見を取り入れ、経済学の基本原理からスタートして、所得倍増計画を科学的に制定。労働生産性を2倍以上に向上させることで所得倍増を実現する方針を打ち出した。これは企業に粗放型の成長方式から、科学技術により研究開発力を高め労働生産性の向上を図る新たな成長方式への転換を余儀なくさせた。

(3)知的財産権の保護

労働生産性を高める鍵は、知的財産権を侵害する行為を徹底的に取り締まることにある。日本の市場経済システムでは、経済にかかわる要素はいったん経済システムに入れば、必然的に資本経営に基づき、具体的な資本価値のある資産になる。しかも、すべての資産は明確な所有者に帰属し、所有者の権益は侵害されない。日本では、知的財産権は資本利益であるだけでなく、国や企業の核心的利益であるという考え方が広く受け入れられている。しかし、知的財産権や技術特許は非常に簡単に流失してしまうものであり、資本権益の侵害に遭いやすい。だからこそ、国を挙げて官民一致で知的財産権益を保護し、司法と執行部も厳格に一切の知的財産権の侵害行為を取り締まる。この措置により、日本企業は安心して技術導入や研究開発に大規模投資を行い、自主研究開発や自主革新を奨励するようになった。これにより、労働生産性の向上に必要となる技術的なニーズが満たされ、従業員の所得と企業の国際的な競争力が同時に上昇した。

(4)所得格差の縮小と有効需要の拡大

日本政府は所得倍増を実現する具体策を策定するに当たり、▽所得を増加させる過程で所得の格差を縮小させる▽中・低所得者層の所得をさらに向上させる▽サラリーマン階層、中産階級を育てる―の3つの要素を考慮した。これは有効需要の拡大だけでなく、社会の安定にも役立った。都市、企業では所得格差の縮小は、「産業構造の高度化」により、遅れた産業能率化を淘汰し、大企業の再編や中小企業との提携などの方式で実現された。一方、農業従事者と都市生活者の所得格差の縮小ははるかに困難だった。農林水産業の特徴は労働生産性の向上が第2次、第3次産業より遅い点にある。第1次産業従事者の所得を向上させる方法は所得の再分配しかなく、日本政府は▽農林水産品の買い付け価格を定期的に引き上げる▽農村のインフラ整備や農林水産技術の研究に対する公共投資、農業機械化への補助金支給を行う―などの措置を講じた。(提供/人民網日本語版・翻訳/MZ・編集/TF)

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