【CRI時評】OPECが減産を決定、中東に変局への動き

CRI online    2018年12月11日(火) 8時41分

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 最近になりウィーンで開催された「石油輸出機構(OPEC)プラス」首脳会議において、OPECとOPEC非加盟国の間で2019年1月から原油日産量を120万バレル減らすことと、同措置を暫定的に6カ月間継続することで合意が達成された。減産量のうち3分の2はOPEC加盟国が負担し、残り...

 最近になりウィーンで開催された「石油輸出機構(OPEC)プラス」首脳会議において、OPECとOPEC非加盟国の間で2019年1月から原油日産量を120万バレル減らすことと、同措置を暫定的に6カ月間継続することで合意が達成された。減産量のうち3分の2はOPEC加盟国が負担し、残りはロシアなどOPEC非加盟国10カ国が分担することになった。この減産合意は市場予測と基本的に合致しており、合意がそのまま履行されれば、原油市場における需給をバランスが取れた状態に向かわせる一助になる。

 もちろん、各方面が減産で合意したことには、別の目的がある。それは、カタールがOPECを脱退したことの影響をある程度やわらげようとすることだ。カタール脱退はOPECが成立して初めての国家による脱退宣言であり、同組織の内部抗争をさらに露わにするものだった。OPEC内でカタールの産出量は多いわけではないが、巨大な産出能力と天然ガスの埋蔵量は、国際石油ガス市場に対してかなり大きな影響力を持っている。

 カタールの説明によれば、OPECを脱退したのは国際的な地位を高めるための長期戦略にもとづく措置であり、いかなる「政治面の考慮」によるものでもない。しかし、昨年6月の「外交危機」以来、サウジなどの国がカタールを禁輸で封鎖したことを思い浮かべれば、カタールの措置にサウジなどの国に対する反撃の意があることを否定するのは難しい。

 目下のところ、サウジはOPECの事実上の指導国であり、国際石油価格が低迷を続けていることに不安を感じている。サウジは一貫して、OPEC内部において減産により価格上昇をもたらすとの合意の形成を推進してきた。サウジの圧力と包囲の苦しみを受け続けてきたカタールが、自ら進んで犠牲となり、サウジの目的達成に協力しようと願うことがあるだろうか。明らかに、ありえないことだ。であるからには、カタールにとってOPECに残留する必要はない。残留していればカタールの反対意見は押さえ込まれてしまい、いかなる効果も生み出すことはない。そして、カタールはOPECを脱退すれば減産合意の制約を受けず、自らの望み通りに増産増収ができることになる。その結果、サウジの減産による価格維持の願いと行動は妨害され、OPECにおけるサウジの指導力は弱体化することになる。

 カタールのOPEC離脱は一時的な衝動によるものではなく、長期的な思考と評価により打ち立てた全体的な戦略・企ての一部である可能性が高い。サウジでサルマン皇太子が権力を掌握して以来、特に「外交危機」が勃発して以来、カタールはサウジと徐々に距離を置くようになり、地域における戦略と外交戦略で新たな布局を行った。サウジとアラブ首長国連邦から離れ、トルコを頼り、イランと和解し、オマーンやクウェートなどとの「兄弟関係」構築などが、徐々にカタールの新たな戦略項目となった。この戦略思考の下で、カタールはサウジ主導のOPECから離脱した。ひとつの必然的結果と言ってよいだろう。

 サウジが主導するアラブの君主国家がシーア派のイランや共和国であるエジプト、トルコにさまざまな対抗を繰り返す日々が再び戻ってくるとは考えにくい。中東の新たな布局は以下のようになるだろう。サウジとエジプト、アラブ首長国連邦、イスラエルは提携してイランに対抗し、カタールに圧力をかける。イランはイラクのシーア派政権、シリアのアサド政権、レバノンのヒズボラ、イエメンの武装勢力フーシと提携してサウジに反撃する。カタールはトルコとの提携とイランとの結託によりサウジとアラブ首長国連邦に対抗する。イスラエルは混乱に乗じてカタールを除く湾岸アラブ諸国協力会議(湾岸協力理事会)の国と友好関係を樹立し、自らの戦略的情況を改善する。もちろん、この新たな布局にもひとつの不安定要因がある。それは、サウジ皇太子が長期に渡りサウジが新たに組織する連盟を有効に主導できるかどうかだ。このことは未知数だ。(CRI論説員 盛玉紅)

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