中国最高級の四川の塩、代表企業が「存亡の危機」―偽物が大量に流通し売上が激減

Record China    2018年11月28日(水) 14時50分

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四川省自貢市で2000年ほどの前から生産され、最上級の食塩として評価されてきた「川塩」の偽物が大量に出回っている。代表的企業はシェアを奪われ「存亡の危機」という。警察は捜査を続けており、これまで偽物5400トンを押収するなどの成果を上げた(写真)。

調理や漬物づくりの決め手となるのが塩。中国で、最上級の食塩として高く評価されてきたのが、四川省産の「川塩(チュワンイエン)」だ。生産の中心地は自貢市で、深い井戸を掘って出る濃い塩水を用いる。この伝統的な自貢産「川塩」に、大量の偽物が出回っている。代表的企業は売上が激減し「存亡の危機」という。

自貢市で塩の生産が始まったのは約2000年前で、同市は「千年の塩都」とも呼ばれる。四川省内外を結ぶ水路を含めた交通網は歴史上、塩の運搬のために整備されてきた面がある。現在でも自貢産の塩は四川省内での市場占有率が60%、中国全国でも9.6%を占めている。その他の産業の発展のため経済全体における塩業の比重は小さくなったが、自貢市の製塩業は産業史の上でも極めて重要な存在だ。

中国メディアの新浪網は26日、自貢産の川塩の偽物が大量に出回っているため、正規業者が「存亡の危機」とも言える打撃をこうむっていると紹介する記事を発表した。

偽物の塩の流通が確認されたのは2年前。安い価格で流通しているため、自貢市でも代表的企業である久大塩業の月当たり売上高は1500万元(約2兆4500万円)から200万元(約3300万円)に激減したという。販売量からみても同社の主力商品である「久大清純」の月当たり4000トンから1000トン未満に、「久大緑標」の5000トンから1200トンと激減した。

久大塩業は、「中国民族化学工業の父」と呼ばれる范旭東氏が1914年に天津市で創業した久大製塩が前身で、1938年に自貢市に移転して、同地の伝統的な製塩法を採用して操業しつづけている。2000年に及ぶ「自貢の塩づくり」の担い手としても、中国近現代産業史の「生き証人」と言う点でも重要な存在だ。

その久大塩業が、売り上げの激減により塩づくりの現場で働く一線級の技術者の給料も支払えない状態になるなど危機的状況に陥ったいう。

記事によると、警察も座視していたわけではない。専門の捜査チームを作り、流通ルートを繰り返し調べた。その結果、偽物の流通に深くかかわっていた男の身柄を拘束したという。本物の自貢産の川塩を少量入れただけの塩を「自貢産の川塩」と称して販売する手口で、四川省内各地だけでなく、湖北省、貴州省、山東省に渡る広い範囲の20余りの業者に向け塩を流通させていたという。

警察によると、摘発したグループは四川省最大規模の「偽塩」の卸売りグループで、「久大塩業」製として販売していた塩の量は「本家」である久大塩業公司の2~3倍に達していたとされる。

警察は、2017年4月から「偽塩」の卸売りグループからの注文を受け、「久大塩業ブランド」の偽塩を製造していた四川省楽山市の塩製造業者も突き止めた。

これまでに、「久大塩業ブランド」の偽塩5400トンを押収し、容疑者33人の身柄を拘束したという。(翻訳・編集/如月隼人

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