日本の消費税引き上げ、影響緩和はたやすくない―中国メディア

人民網日本語版    2018年11月24日(土) 21時0分

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日本は消費税率を現行の8%から10%にすることを決定した。2014年に5%から8%に引き上げられた時は、個人消費に打撃を与え、日本経済は2四半期連続で縮小した。今回は事前に対策を整え、消費と経済成長に与える衝撃を緩和しようとしている。写真は日本。

日本政府は計画通りに消費税の税率を再び引き上げ、現行の8%から10%にすることを決定した。2014年に5%から8%に引き上げられた時は、個人消費に打撃を与え、日本経済は2四半期連続で縮小した。今回の引き上げにあたり、日本政府は事前に対策を整え、消費と経済成長に与える衝撃を緩和しようとしている。経済日報が伝えた。

日本政府がこのほど開催した経済財政諮問会議では、19年10月の消費税率引き上げ増税後の景気対策を検討した。増税はこれまで2回先送りされており、これ以上の引き延ばしは許されない状況だ。安倍晋三首相の話では、「リーマン・ショック級の大きな金融危機が起こらない限り、増税の時期を変更することはない」という。だが、増税は経済発展に打撃を与えるとみられ、いかにして影響を緩和するかが日本政府の急務となっている。

消費税の引き上げ政策の推進は日本の財政改革の重要な柱であり、製造業における川上の税負担を削減し、消費段階での徴税に切り替えるのが目的だ。これは日本が20年以上にわたって進めてきた供給側改革の重要な柱でもある。特にここ数年、日本政府は産業の競争力を高め、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の問題を解決するとの観点から、税制改革を行い、法人税率を引き下げ、消費税率を引き上げてから、法人税率は12年の37%から18年は29.74%に下がり、資本金10兆円以上の大手企業の経常利益は12年の26兆9000億円から17年は46兆7000億円に増加し、増加率は73.6%だった。しかし一方で、日本の個人消費者の負担は増え続けている。

消費税率引き上げは基礎的財政収支の問題の解決が狙いだ。日本の消費税率は1989年の実施当初の3%から現在の8%に引き上げられた。少子高齢化の進展により、社会保障負担がますます重くなり、財政赤字は増える一方で、増税はごく自然な成り行きとなっている。消費税率が1%上がると、政府の財政収入は2兆7000億円増加する。今回の2%の引き上げは日本の社会保障費の大幅な支出超過や基礎的財政収支の深刻なアンバランスへの対策としては一定の効果を上げるとみられるものの、14年の増税時の教訓は手痛いものだった。消費税率が8%になって、個人の消費支出に大きな打撃を与えただけでなく、日本経済を2四半期連続で冷え込ませ、冷え込みは15年まで続いた。経済学の世界では2四半期連続で国内総生産(GDP)がマイナス成長になることを自律的景気後退と定義しており、日本は14年の増税後、2年間で2回の自律的景気後退に陥った。今回、日本政府が19年10月の増税を選択したのは、20年の東京五輪の消費ブームが増税のマイナス影響を相殺すると見越してのことだ。

ところが、政府が増税の時期を確定すると、日本経済界は相次いで懸念を表明した。日本自動車工業会は、「増税で日本国内の新車販売量が約30万台減少し、9万人が失業した」とコメント。日本の小売商店も大きな打撃を受けるのではないかと懸念し、政府に対し早めに対策を取るよう要請した。日本政府は目下、今年度の補正予算と来年度の予算に経済対策費用を盛り込む方向で検討中だ。

同会議が日本政府に実施を求める主要措置には、十分な予算を組んで増税が消費に与える打撃を効果的に和らげること、増税が形を変えた収入の減少になることから、増税にあたり引き続き最低賃金の引き上げを行うことなどがある。「政府予算の経済対策の規模は10兆円以上にすべき」と提案する専門家もいる。

消費税は生活の基本的支出のほぼすべてに課されるため、中・低所得層の負担が最も重くなる。そこで日本政府は税負担軽減のためにさまざまな措置を検討中で、自動車や住宅を購入した場合の税負担軽減措置、低所得層への商品券配布、野菜や半製品などの食品への軽減税率(8%)適用などがある。

一方、日本政府は増税をきっかけに、電子決済の普及も考えている。モバイル決済が世界を席巻する昨今、日本の消費シーンの多くは現金決済の習慣を維持し、日本は典型的な「現金大国」だ。日本の金融庁が3大メガバンクの個人給与口座について調査したところ、資金の45.6%が現金で引き出され、口座振替や電子送金による決済率は54.4%だった。分析によると、キャッシュレス決済の資金フローでは、クレジットカードによる家賃の決済やクレジット返済の自動引き落としが32%を占め、ネットバンキングなどのキャッシュレス決済による決済率は22.3%だった。大量の現金による決済はビジネス流通シーンの現金管理の負担を増やすだけでなく、政府による資金フローのコントロール管理にもマイナスだ。

そこで日本政府はクレジットカード、電子マネー、ネットバンキングで決済を行う消費者に対し、消費税率2%引き上げ分を「ポイント還元」の形で会員カードなどにバックし、負担軽減を図るとしている。この計画を推進するため、日本政府はあらゆる店舗が新型POS(販売時点情報管理)端末、電子決済システムを設置するのを支援し、費用の3分の2を負担するという。

今回の増税により日本は5兆円を超える税収を得て、これを財政建て直しに充てることができるが、安倍首相は昨年の衆議院議員選挙での公約で新たな税収の半分を幼児教育・保育無償化に充てると明言した。その結果、20年に達成するはずだった基礎的財政収支の改善目標は25年に先送りされた。「基礎的財政収支を本当に改善しようとするなら、消費税率をさらに引き上げなければならないかもしれない」と指摘する専門家もいる。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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