日本の消費税率アップ、10兆円対策で影響軽減か―中国メディア

人民網日本語版    2018年11月16日(金) 5時20分

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「税金は8%ですか、10%ですか」。消費税率引き上げのニュースが流れると、日本の人々の目には新たな貧富の差が映し出されるようになった。

「税金は8%ですか、10%ですか」。消費税率引き上げのニュースが流れると、日本の人々の目には新たな貧富の差が映し出されるようになった。先延ばしにしてきた消費税引き上げが最終的に決まると、日本政府は今度は一連の引き延ばし策を打ち出した。ロイターが3人の事情通の話を踏まえて伝えたところによると、日本政府は10兆円規模の経済対策を検討中で、増税の影響を軽減しようとしている。高止まりする国の債務残高、消費を冷え込ませる増税の間で、安倍政権が増税後に打ち出す経済対策は身動きが取れない中での絶妙な折衷案とも考えられる。北京商報が伝えた。

■引き延ばし策

安倍晋三首相は10月15日の臨時閣議で、「増税は政府の使命。経済復興と財政健全化のためであり、増税は避けられない」と述べ、消費税率引き上げとそれに伴う対応について提起した。計画では、2019年10月より消費税率を現行の8%から10%に引き上げる予定で、1989年4月に「消費税法」が施行されて以来、3回目の引き上げになる。

消費税率引き上げが日本の個人消費を冷え込ませることを懸念して、引き上げ後すぐに大規模な資金投入による経済対策が実施される。ロイター社の情報によると、10兆円の経済対策が検討されており、前回の引き上げ時の5兆円の経済対策の2倍にあたる。消息筋は、「この資金はこれまでに発表されている措置に充てられる。たとえば自動車購入税の引き下げ、低所得世帯への給付金支給などだ」と話す。

■高止まりする国の債務残高

高額の税収と高額の支出は二者択一で両立しないものだ。日本が今年4月に発表した2018年度財政予算では、一般会計の支出が97兆7000億円となり、過去最高の支出規模になるとともに、もともと予定されていた97兆5000億円をやや上回り、6年連続での記録更新にもなった。

日本の高齢者はますます長生きになり、国の社会保障負担もますます大きくなっている。麻生太郎副総理兼財務大臣はさきに、このような趣旨の発言をした。長生きは今や、日本政府にとってそれほど喜ばしくない「負担」になっている。1960年代から70年代にかけて、日本の退職年齢は60-65歳、その時の平均寿命は75歳で、年金システムでは高齢者に対して平均10-15年間の年金を支給すればよく、社会保障システムは安定していた。だが医療技術や健康意識の高まりにともない、日本の平均寿命は今や90歳に迫る。

6年連続で過去最高を更新する財政予算の支出には、経済対策や巨額の社会保障負担が含まれ、国の債務残高を雪だるま式にふくらませ、年々増大させてきた。データによると、日本政府短期証券と地方の長期債務残高を含む国の債務残高は17年に国内総生産(GDP)の2.5倍に達し、先進国の中で最悪の水準になった。

税収はさながら日本政府の「打ち出の小槌」だ。中国社会科学院日本研究所の張季風(ジャン・ジーフォン)副所長は、「消費税の目的は財政収入を増やすことであり、現在の日本政府は債務超過に陥り、予算案では借金が多い。解決する方法は2つあり、1つは財源を捻出して経済成長を喚起すること。もう1つは倹約に努めて税収を増やすことだ」と述べた。

■どちらにも焦り

国民からみると、日本政府の増税は「ダブル11」(11月11日の中国のネット通販イベント)のショッピングクーポンよりも複雑なものだ。資金投入による経済活性化だけでなく、「軽減税率」という新たな手段も打ち出し、2019年10月以降、店で飲食する場合は10%の税金がかかるが、デリバリーや持ち帰りの場合は現行と同じ8%の税率にするという。だが新たな問題が次々と指摘されており、たとえばコンビニで買ったものをすぐに食べた場合はどうするか、何%の税率を適用すればよいかなどといった問題がある。

日本政府は悩んでいるわけではない。矢はすでに弓につがえられており、安倍政権が消費税率引き上げという絶好の機会を見逃すことはあり得ない。安倍首相の新たな任期がスタートしたばかりの今、日本経済は理想的な回復期にあり、GDPの四半期データは拡張傾向が長く続き、2020年の東京五輪が新たな経済活性化の効果をもたらすと期待される。

「増税で社会保障が維持され、将来への不安が解消されれば、消費は活性化される」。これは日本政府の考える消費増税の優位点だ。だが次のような意見もある。「消費増税は経済に打撃を与え、財政を危機に陥れる。予定される増税はもともと弱かった日本の個人消費にダメージを与え、20年の東京五輪に先立つ建築ブームも徐々に下火になる」。データによると、1995年に日本のぜいたく品消費が世界のぜいたく品市場に占めるシェアは68%だったが、00年は30%を割り込み、15年は約10%になった。

自動車産業も警告を発する。来年10月の消費税率引き上げにより日本国内の新車販売台数は約30万台減少し、9万人が失業するという。国際通貨基金(IMF)は10月初めに、「日本が直面するリスク・バランスはデフレに傾いている」と警告した。

だが日本銀行(中央銀行)の黒田東彦総裁は、「来年の消費税率引き上げは日本経済に重大な損害を与えるとは限らない。この段階では、来年の増税が経済成長に与える影響は2014年をはるかに下回ると考えられるからだ」と述べた。

張氏も、「前回の反省を活かし、今回の引き上げ幅は前回よりも小さくなった。今回は25%の引き上げだが、前回は60%だった。また、前回は5兆円の経済対策が投入され、今回は2倍の10兆円が投入される。このように比較すると、予想されるマイナス影響は前回よりも小さいだろう」との見方を示した。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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