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<直言!日本と世界の未来>米中間選挙結果に、ほのかな光明を見た―立石信雄オムロン元会長

配信日時:2018年11月11日(日) 7時30分
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米中間選挙の結果、下院で野党の民主党、上院で与党の共和党がそれぞれ多数を握る「ねじれ議会」となった。グローバル化とともに発展の道を歩んできた日本の企業関係者の一人としてトランプ政権の保護主義的政策を憂慮してきたが、先行きにほのかな光明を見ることができた。

トランプ米大統領に対する最初の審判となった米国中間選挙の結果、下院で野党の民主党、上院で与党の共和党がそれぞれ多数を握る「ねじれ議会」となった。恐怖と対立をあおる一方で政策実績を過大にアピールする政権に、米国民の賛否が交錯したと言えよう。深まる米社会の分断は、政治の二極化と内向き志向を一層強めるのではないかと懸念する。

2016年の英国民投票での欧州連合(EU)離脱の可決に続く、米大統領選のトランプ勝利は、世界にポピュリズムの旋風を巻き起こしたと言われている。各国に「ミニ・トランプ」が雨後の竹の子のごとく誕生。最近ではブラジルに極右政権が発足した。多様性を重んじ、移民に寛容な姿勢をとるドイツのメルケル政権の最近の動揺にみられるように、国際秩序は混迷を深めている。

中間選挙の結果は、米国の経済政策にも影響しそうだ。トランプ大統領は昨年の法人税の大幅減税に続く追加減税を目指すが、民主党多数となった下院で法案を通すのは容易ではない。この結果、大統領や上院の権限で推進可能な外交でより過激な政策が打ち出されると予想する論調が目立つが、果たしてそうだろうか。

トランプ政権が進める米国第一主義の通商政策に注目したい。トランプ氏は中間選挙後の記者会見で「中国とは(貿易などで)取引をするかもしれない。習近平国家主席との関係はすばらしいからだ」と言明。この発言のあった11月7日のダウ平均株価は急反発した。

今月末にG20会合が開催されるアルゼンチン・ブエノスアイレスで、トランプ氏と習近平氏との米中首脳会談が予定され、「手打ち」の場となるとの見方も出ている。

トランプ大統領による対中関税引き上げなどの保護主義的な政策と中国の報復措置は、米消費者・製品物価の上昇や株価急落、大豆など農産物価格の軟化などの形で米国自身にブーメランのように跳ね返り、米経済に深刻な打撃を与えている。多くの企業の業績懸念とマーケットの変調は、株価の上昇を誇示してきたトランプ氏には想定外で、しびれを切らしたトランプ氏が首脳会談と打開策を持ち掛けたようだ。

トランプ政権の強硬な姿勢は同盟国の日本も例外ではなさそう。トランプ氏は上記の記者会見で「日本は米国をとても不公正に扱ってきた。日本は低い関税で何百万台もの車を送り込んでいるが、米国の車は買わない」と不満を表明。2019年1月にも始まる日本との通商交渉を控え、自動車分野の貿易赤字を特に問題視していることを示した。対米投資の拡大などで不均衡の是正を求めていく考えという。安倍政権はTAG(物品貿易協定)や為替条項などを巡り、トランプ政権に一方的に押し込まれることがないようにしなくてはならない。

今回の中間選挙で私が注目したのは、若者を中心に投票率が上がったと見られることだ。4年前に比べて期日前投票が大幅に増えたのは国民の危機感の表れだろう。民主党を中心に女性や若い世代の当選者も増えた。グローバル化とともに発展の道を歩んできた日本の企業関係者の一人としてトランプ政権の保護主義的政策を憂慮してきたが、先行きにほのかな光明を見ることができた。

(直言篇69)

■筆者プロフィール:立石信雄
1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。SAM「The Taylor Key Award」受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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