EU在庫車の流入、中国自動車市場にとってはマイナス―中国メディア

Record China    2012年11月4日(日) 13時5分

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1日、欧州債務危機は深刻さを増し、いまだに解決の方法や糸口がみえてこない。自動車産業はグローバル経済の重要な構成要素であり、欧州債務危機から受ける影響が徐々に深刻化している。写真は浙江省杭州市のBMW販売店。

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2012年11月1日、欧州債務危機は深刻さを増し、いまだに解決の方法や糸口がみえてこない。自動車産業はグローバル経済の重要な構成要素であり、欧州債務危機から受ける影響が徐々に深刻化している。中国青年報が伝えた。

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イタリアのフィアットは欧州の2工場を閉鎖し、フランスのPSA・プジョーシトロエンと米国のゼネラルモーターズ(GM)は数千人規模のリストラを行い、日本の三菱自動車は欧州工場の売却に踏み切った。中国市場に力強く支えられてきたドイツのフォルクスワーゲン(VW)も、今年第3四半期(7〜9月)の営業利益は前年同期比21%減少し、2009年のグローバル金融危機の頃以来のマイナスとなった。

ドイツのベルギッシュ・グラートバッハ応用科学大学自動車研究センターのシュテファン・ブラッツェル所長は、「欧州債務危機がドイツに影響を与えたことは明らかだ。来年も欧州自動車市場は低迷を続け、ドイツの自動車メーカーが直面する問題はさらに悪化し始めたところだ」とし、VW、BMW、ベンツなどのドイツメーカーは今後より多くの業務を中国市場と米国市場に移転させるが、これで欧州市場での損失をすべて埋め合わせすることはできないとの見方を示した。BMWのセールス・マーケティング担当取締役のイアン・ロバートソン氏は先月17日、「欧州の課題はますます厳しいものになっている。欧州自動車市場の回復・安定に向けた道はデコボコで、元に戻るには何年もかかる可能性がある」と述べた。

ロバートソン氏がこうした見方を示した背景には、主権債務危機によって欧州自動車市場の低迷が続き、BMWがもともと欧州市場向けに生産した車両数万台を米国市場や中国市場に送り込むとともに、業務の重心を中米両国に移していることがある。ロバートソン氏によると、中国市場の鈍化と欧州市場の鈍化とではレベルが異なり、BMWにとって中国市場にはなお強い吸引力があるという。ある統計によると、今年9月のBMWの中国での販売台数は2万9631台に上り、前年同月比59%増加し、増加率はライバル他社や業界全体の水準を大きく上回った。また1〜9月の販売台数は23万7000台で、2011年の販売台数を超えた。

大量の欧州在庫車が流入したため、BMWは中国市場で輸入車の大幅な値引きを実施している。7シリーズ車はすべて10万元(約127万円)のキャッシュバック対象とし、X5シリーズ車は最大17万元(約216万円)の値引きをした。だがBMWは欧州在庫車の「ダンピング」の先駆けではない。早くも今年初め、ベンツが4S店(販売、部品提供、アフターサービス、情報フィードバックを手がける総合的サービス店舗)の一部でSシリーズ車を対象に30万元(約381万円)を値引く投げ売りをしている。このような「期限付きの販売促進」は欧州からやってきたやり方で、中国の高級車市場で「価格戦争」を引き起こしている。

中国国家情報センター情報資源開発部の徐長明(シュー・チャンミン)主任は、欧州在庫車の大量流入が中国自動車市場に間接的なマイナス影響を与えることになると指摘し、次のように述べた。第一に、中国の自動車生産能力は非常に高くなっており、今年は市場の低迷により大量の在庫圧力が生じている。こうした状況の中で欧州の在庫車が大量に流入すれば、国産車の販売や中国企業の利益にダメージを与えることになる。第二に、多国籍自動車メーカーが海外での在庫車を中国で投げ売りすれば、中国自動車市場の価格設定の秩序を大いに乱すことになる。今年初めから現在まで続く高級車市場の価格戦争にその一端がみられる。第三に、現時点で中国の自動車保有台数はすでに高い水準にあり、エネルギー、土地、環境などの面で限界を迎えており、大都市では弊害がより顕在化している。輸入車の中心は排気量が多く、エネルギー消費量も多いスポーツ用多目的車(SUV)で、高級SUVに向かう消費傾向が早急に抑制されなければ、中国自動車産業の持続可能な発展にとって深刻な脅威になるとみられる。

ある業界関係者も次のような見方を示す。中国は世界貿易機関(WTO)に加盟し、自動車の輸入割当制を撤廃したとはいえ、このことは中国市場が中国へダンピング販売される海外の在庫車に「門戸を開いた」ことを意味しない。世界の経験に照らせば、どの国も自国の自動車産業を発展させようとする時には、一連の措置を取って自国ブランドを保護し、支援している。「国家」というものが存在する以上、完全な「自由市場」はあり得ないのだ。(提供/人民網日本語版・編集/内山

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