シングル経済の人気商品の小型化進む、火鍋も一人分―中国

人民網日本語版    2018年11月11日(日) 19時0分

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家電製品でも、家具・インテリア製品でも、さらには日用品やメーク・スキンケア製品でも、日常の暮らしの中で使用する製品がこぞって「小型化」しており、この現象から「シングル経済」のかつてない繁栄ぶりがうかがえる。写真は一般的な火鍋。

家電製品でも、家具・インテリア製品でも、さらには日用品やメーク・スキンケア製品でも、日常の暮らしの中で使用する製品がこぞって「小型化」しており、この現象から「シングル経済」のかつてない繁栄ぶりがうかがえる。天猫(Tmall)がこのほど発表した「ミニ報告」によると、過去10年間に、「一人分」の新製品がブームとなり、「つきあいはグレードダウン、消費はグレードアップ」が現在の消費市場の縮図の一つだという。北京晨報が伝えた。

■ミニ電子レンジ購入者は年約10倍増加

コンビニで売られている2枚入りのパン、あちこちで見かけるようになった「お一人様向け」レストラン、ミニサイズ口紅の自動販売機が、一気に売り場に進出し、暮らしの隅々のごく小さな部分が時代の移り変わりを映し出している。

シングル経済はもともと経済学者のカラム・マッカーシー氏が英「エコノミスト」誌で初めて提起した概念で、当初は「シングル女性の経済」として打ち出された。独身でそれなりの収入があるシングル女性は広告産業や娯楽産業にとって最も理想的なターゲットと考えられていた。だが今ではこの集団は「シングル女性」だけを意味しない。

淘宝(タオバオ)が2017年に発表したシングル社会情勢データによると、中国では一人で食事を取り、一人で眠り、一人で映画を見るシングル層が5000万人いて、住む場所は深セン、北京、上海などの一線都市に集中し、90後(1990年代生まれ)が6割以上を占めるという。

天猫の報告では、天猫の過去10年間の「ダブル11」(11月11日のネット通販イベント)における単品ベース売上増加データをみると、「一人分」製品が消費市場で徐々に人気を集めていることがわかる。中でもミニサイズ電子レンジやミニサイズ洗濯機は購買者の伸びが最も大きく、過去1年間だけでもレンジは973%、洗濯機は630%、それぞれ増加した。ミニ洗濯機の増加率は普通の洗濯機を15ポイント上回った。

500グラム入りの米、200ミリリットル入りの赤ワインが、同類製品の中で最も急速に売上を伸ばしている。また、200ミリリットル瓶6本入りで1セット568元(約9000円)のモエヘネシーは、今年の天猫「ダブル11」で予約をスタートしたところ、わずか数秒で数百セットが売り切れた。

■冷蔵庫を寝室に、高い品質のシングルライフ

独身族のシングルライフの定義が修正された。シングルたちはインターネットや人工知能(AI)などの技術が急速に発展する時代の中、より自由な生活を謳歌し、より多くの楽しみを享受し、独身暮らしを続けたいと願っている。

一人で暮らし、人とつきあう必要が低下し、社交的属性が最も高いとされる火鍋ですら、一人で食べるのが流行しつつある。手軽なミニ火鍋、ミックスナッツが17年のインスタント食品の売り上げ2トップで、購買者は火鍋が同208%増加し、ナッツが同60.8%増加した。

だが天猫によると、「低欲望社会」や「無縁社会」といったコンテンツで紹介された「無欲で求めず、孤独のうちに生涯を終える」日本のシングル社会に比べ、中国のシングル層は暮らしの質に対しますます高い要求を打ち出すようになった。

ここ2年ほどの間に、機能が細分化されたミニ家電新製品が次々登場し、特に目立つのは音声認識を行うスマートスピーカーで、売上は160倍も増加した。また、生ごみ処理機、体脂肪が測れる体重計、マッサージチェアの過去9月間の売上増加率は順に160%、120%、110%だった。

「一人で暮らすなら、自分によりよく接すること」。こうした暮らしに対する考え方が徐々に家のモデルを変えている。たとえば冷蔵庫が寝室にあったり、洗濯機が壁に掛かっていたり、リビングにテレビが置かれていなかったりする。同報告は、180リットル以下のミニ冷蔵庫の18年購買者は前年比33.33%増加した。天猫の担当者は、「ミニ冷蔵庫は寝室に置いて、ミニサイズのアルコールや果物やフェイスマスクを冷やすのに利用される。女性の下着専用の壁掛け式洗濯機は、今年6月の売り上げがこのブランドの今年第1四半期の売り上げに匹敵した。また、ミニプロジェクターが『ダブル11』で予約を開始すると、さっそく約10万人がカートに入れた」と説明した。

■時代の縮図、大規模消費される「小型商品」

シングル層の貯蓄意欲は一般世帯を明らかに下回り、限界消費性向(MPC)は一般世帯を上回り、典型的な「高消費、低貯蓄」の様相を呈しており、企業サイドにより多くのビジネスチャンスをもたらしている。

統計データによると、18年の中国フィットネス産業の規模は1670億元(約2兆6700億円)に達することが予想される。17年のスポーツ・フィットネス利用層の画像つき洞察報告によると、フィットネス利用者の中では、シングルの割合が高い。このうちフィットネスアプリケーションを使用する層では、19-35歳の若年者が約80%を占めた。スポーツ施設の層では、19-35歳の若い利用者が約70%を占め、フィットネス市場では19-35歳の若いユーザーが生産額のうち約1000億元(約1兆6000億円)を生み出し、このうちシングルが半分近くを担い、「空の半分」を支えている。

天猫の職員は、「過去数年間、天猫はずっとビッグデータを利用して企業と共にますます『小型化』する商品を開発し、壁掛け式洗濯機、ミニ食洗機、ミニサイズ口紅など多くの『小型商品』を世に送り出した」と述べた。

天猫の日用品事業部の王ディレクターは、「2017年のユーザー行動データをみると、みんなが買いたがる日用品はますます小さくなっており、そこでユーザーに対する調査研究を行ったところ、購買の中心層は90後であり、少量の個包装の食品を好むのは、一人で暮らしているからで、食材の新鮮さには気を配り、極めて敏感であることがわかった」と述べた。

王氏は、「シングル経済が熱くなり、人付き合いはグレードダウン、消費はグレードアップという流れが、これからしばらく続くとみられる。商品がますます小さくなっているのは、私たちが今経験している時代の縮図だといえる」との見方を示した。

企業は、中心層の消費観の変化が消費の高度化の中で巨大な消費の潜在力を育成するとみる。たとえばシングル層は暮らしの質を非常に重視し、食品の安全性をより重視するが、価格には敏感でなく、快適で便利なショッピング環境を追求し、通常の値下げや優待にはそれほど関心がないが、会員向けポイントサービスのキャンペーンには参加する。現在、お一人様向けレストラン、小型家電、極小アパートなどシングル層に狙いを定めた産業が急速に発展しているが、それでもシングル向けに設計されたシングルのための製品はまだまだ種類が非常に少ない。今後、ますます多くの「小型で優良な」業態が生まれる可能性がある。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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