中国・王岐山副主席の中東歴訪が示す「意味深な3つのシグナル」とは―中国メディアが分析記事掲載

Record China    2018年10月25日(木) 9時20分

拡大

中国の王岐山国家副主席がイスラエル、パレスチナ、エジプト、アラブ首長国連邦の中東4カ国(地域)を歴訪中だ。中国メディアの新浪網は「王岐山が行った国。伝わる意味深長な3つのシグナル」と題する記事を掲載した。資料写真。

中国の王岐山副主席が22日から30日までの日程で、イスラエルパレスチナ、エジプト、アラブ首長国連邦の中東4カ国(地域)を歴訪中だ。中国メディアの新浪網は24日、「王岐山が行った国。伝わる意味深長な3つのシグナル」と題する記事を掲載した。

記事はまず、最初の訪問国にイスラエルを選んだことに注目。イスラエルには2000年の江沢民主席(当時)以来の、中国の最高首脳陣の来訪ということになる。さらに王副主席には、アリババ集団を率いる馬雲ジャック・マー)氏をはじめとする大型経済代表団も同行した。イスラエルとの経済関係の緊密化を示していることに間違いない。

中国とイスラエルが国交を樹立したのは1992年と比較的新しい。一方で、イスラエルと対立を続けてきたパレスチナとは、パレスチナ解放機構が1964年に成立すると、翌95年には相互に大使館を設置するなど、事実上の国交を結んだ。解放機構が1988年に「パレスチナ国」として独立宣言をすると、直後に正式な国交を樹立している。

なお、国連193カ国中の136カ国がパレスチナ国を国家承認しており、承認していない米国や日本、イスラエルは少数派だ。

中国・イスラエルの国交樹立が遅れたのは、イスラエルが米国と極めて親密な国だからだった。1970年代に米国と関係を正常化するまで中国と米国は敵対関係だった。中国は米国と敵対するパレスチナを指示し、その他の中東国家との関係を構築した。

しかし最近の中国は、イスラエルとの接近が目立つ。新浪網記事によると、2018年1―8月におけるイスラエルの対中輸出は前年同期比で62%も増加している。17年通年で中国企業のイスラエル投資は160億ドル(約1兆8000億円)に達した。その多くがハイテク分野に集中している。

記事は、イスラエルは技術水準の極めて高い国と指摘。米国のトランプ政権は、経済関連で中国を封じ込めようとしており、他の西側諸国も同様の動きをするよう試みていると論じた上で、トランプ政権が極めて強い好意を示すイスラエルは、中国と接近していると論じた。

記事は王副主席が最初の訪問国を選んだことを「中国とイスラエルは友達、しかも親友になれる」ことを示す第一のシグナルとした。

記事は、トランプ政権は中国を封じ込めることができないと主張。中国が自ら失敗したり、閉鎖的な道を歩まない限り、中国の巨大市場とその発展潜在力により、外国資本が中国から距離を置くことはないと論じ、中国外交には米国の中国封じ込めを成り立たせない「合従連衡」の策があると示すことが、王副主席歴訪の第二のシグナルとした。

さらに、中東はかつて、英国、フランス、米国、さらにロシアなど列強が勢力争いをした土地と主張。歴史的しがらみやキリスト教・イスラム教という宗教絡みの問題がない中国は中東諸国にとって「超脱的」でより中立な存在であり、中国に対する信頼度は高いと主張した。

記事はまた、シェールオイル革命などで米国は原油を100%自給する国に向っていると論じ、米国の中東に関する関心は徐々に低下していくと分析。ただし中国にとって中東の原油は欠かせないもので、中国は中東問題についてますます重要な役割りを演じるようになると主張。それを示すことが、王副主席の中東訪問の「第三のシグナル」と主張した。

記事は触れていないが、中国と中近東諸国の関係には「危うい面」もある。例えばイスラエルは、米国が中国に売らないようなハイテク製品を売るかもしれない。中国側も望むものが手に入り、イスラエル企業も利益を得ることができる。ここまではウィン・ウィンの関係だ。

しかしイスラエルでは、中国から得た利益が、新たな兵器開発にも使われると考えねばならない。そのため、イスラム諸国とイスラエルの対立が激化した場合、周辺のイスラム諸国が中国に「イスラエルとわれわれのどちらを選ぶか」との選択を迫る可能性もある。現在は原油産出国の足並みがなかなかそろわないが、1973年の第4次中東戦争では、アラブ産油国が親イスラエル諸国に石油輸出の禁止を宣言し、米国をはじめとする西側先進国の経済が大打撃を受けたことがある。(翻訳・編集/如月隼人

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携