中国資本企業の海外投資失敗はメカニズムに原因?―中国メディア

Record China    2012年10月14日(日) 9時34分

拡大

9日、ある会社の行った投資が失敗した場合、原因に偶然の要因があったことが考えられる。だが複数の企業が行った一連の海外投資がことごとく失敗したとすれば、原因にメカニズム上の問題があった可能性が濃厚だ。写真は香港で上場する中国企業・中信泰富。

(1 / 2 枚)

2012年10月9日、ある会社の行った投資が失敗した場合、原因に偶然の要因があったことが考えられる。だが複数の企業が行った一連の海外投資がことごとく失敗したとすれば、原因にメカニズム上の問題があった可能性が濃厚だ。新京報が伝えた。

その他の写真

香港で上場する中国企業・中信泰富有限公司がこのほど発表した公告によると、同社は香港聯合交易所有限公司に25億ドル(約2000億円)の中期手形の発行を申請しており、調達した資金はオーストラリア西部での磁鉄鉱(マグネタイト)プロジェクトに充てるという。

この磁鉄鉱プロジェクトは2006年3月にスタートし、同社はオーストラリア西部の磁鉄鉱資源10億トンの採掘権をもつ企業2社を買収した。初めの計画では投資額は42億ドル(約3360億円)だった。09年上半期に生産に向けた取り組みが始まったが、いまだに磁鉄鉱の生産には至っていない。今年6月末時点でプロジェクト支出は78億ドル(約6240億円)に上り、当初計画の42億ドルに比べて89%の支出超過となっている。

こうした事実が証明するのは、同社が6年前に投資を始めたこのプロジェクトは、底なし沼のようにコストがかかり、追加投入する資金を次々に飲み込むものだということだ。同社董事局の常振明(チャン・ジェンミン)主席は突発的な事態が生じなければ年内に生産が可能としているが、この目標を実現するには中期手形を発行して欠損を穴埋めし続けることが必要になる。年内の生産が実現しても、これまでに投入した巨額のコストを回収できるのがいつになるかは未知数だ。

鉄鉱石資源は海外市場に操作されているため、中国の鉄鋼産業は苦しい立場に立たされている。同社がこのプロジェクトへの投資を通じて受け身の局面を変えられれば、非常に意義があることは間違いない。だが同社がこの投資をめぐり、市場について先を見通した評価を行っておらず、投資リスクについて慎重な態度を取っていなかったことは明らかだ。08年以来、グローバル経済が低迷し、鉄鋼産業が縮小する中て、鉄鉱石に対する需要も減少しており、一時1トンあたり200ドル(約1万6000円)の高値をつけた鉄鉱石価格は現在は同130ドル(約1万400円)まで落ち込んでいる。

1件の海外投資プロジェクトが1つの企業を疲弊させる。事実が再三証明するのは、中国資本企業の海外投資には厳格なリスク管理が欠けているということだ。同社の場合、このプロジェクトは海外投資における2回目の「敗退劇」だ。08年10月には外国為替のデリバティブ(金融派生商品)で147億香港ドル(約1470億円)の損失を出して香港証券先物取引委員会の調査を受け、グローバル金融危機の発生当初に香港株式市場の暴落を引き起こす「地雷」の一つになった。

中国資本企業で海外投資に失敗したのは同社だけではない。同社が泥沼に陥った国際金融市場でのデリバティブ投資では、過去10年間に中国航空油料集団公司の事件、国家物資儲備局の銅取引をめぐる事件、中国遠洋運輸(集団)総公司の事件、中国中鉄株式有限公司の事件など多くの事例があり、数十億元に迫る巨額の損失を出している。また、一部の中国資本企業は買収に当たって大盤振る舞いをし、リターンについては「長期的な利益」を強調して、投資収益率に対する基本的な判断をきちんと行っていない。

ある会社の行った投資が失敗した場合、原因に偶然の要因があったことが考えられる。だが複数の企業が行った一連の海外投資がことごとく失敗したとすれば、原因にメカニズム上の問題があった可能性が濃厚だ。

海外投資で巨額の損失を出す企業は、国内市場での投資では向かうところ敵なしの状態にあることが多い。中央企業(中央政府直属の国有企業)は現在、国民経済を構成する重要なパワーだが、海外市場に身を投じた時には過酷な国際市場における自身の競争力を過大評価しがちだ。賭けに出るような心持ちで国際市場に参入し、当たれば名誉と利益を得るが、当たらなければ賭けなので責任を負わない。投資の方針決定の誤りのツケを払う人はおらず、そうであればリスクの問題を考える必要もなくなる。こうした点が、中国資本企業の海外投資が相次いで失敗する根本的な原因だと考えられる。(提供/人民網日本語版・編集/TF)

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携