中国開発の飛行艇AG600が離着水に成功、日本のUS―2に比べれば性能面ではまだ大きな差

配信日時:2018年10月21日(日) 21時20分
中国開発AG600が離着水成功、日本のUS―2とはまだ大きな差
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中国で開発中の飛行艇「AG600」が20日、離着水テストに成功したと伝えた。飛行艇開発の空白時期が長かっただけに、注目されている。しかし、日本のUS―2(新明和工業)と比較すると離着水性能などはまだ大きく差をつけられているようだ。
新華網など中国メディアは20日、中国航空工業集団傘下の中航通用飛機が開発中の飛行艇「AG600」が離着水テストに成功したと伝えた。同機はソ連のIl―28爆撃機を土台に開発し1976年に初飛行したSH―5(水轟5)の後継機だ。飛行艇開発の空白時期が長なっただけに、中国では注目されている。しかし、日本のUS―2(新明和工業)と比較すると離着水性能などはまだ大きく差をつけられているようだ。

機体の大きさだが、AG600は全長37メートル、全高約12メートル、翌幅は約39メートルなどとされている。一方のUS―2は全長約33メートル、全高約10メートル、翌幅は約33メートルで、US―2の方がやや小さいが、大きさとしてはほぼ競合するタイプと考えてよいだろう。

US―2はロールスロイス製のAE2100Jターボプロップエンジンを4発搭載。同エンジンの出力は約4600馬力。一方のAG600はターボプロップエンジンWJ―6(渦漿6)を4発搭載。WJ―6の出力については、4000馬力台前半とするものから、5000馬力以上とするものまでさまざまだ。

また、US―2は最大離着陸重量が47.7トン、最大離着水重量が43.0トンとされる。AG600は最大離陸重量が53トン程度とされている。離着陸最大重量はAG600の方が大きいようだ。

用途について、救難活動がまず考えられているのは両機とも同じ。ただし、AG600についての報道では、水上からも1度に50人の救助が可能と強調されている。海難事故の場合、海に投げ出された人は低体温症で命を失うことが多いので、現場に早く到着でき大量の人を乗せられるAG600は、人命救助に極めて有効との主張だ。

最高時速はUS―2が480キロメートル、AG600が500キロメートル。ただし、AG600については570キロメートルとする説もある。航続距離はUS―2が約4700キロメートル。AG600については、新華社が2017年12月の報道で4700キロメートルとした。ただし、5500キロメートルとする説もある。

飛行艇の重要な性能として、離着水が可能な最大波高がある。海難救助などの際には、現場海域は悪天候に見舞われている可能性が高いからだ。荒れた海に着水できれば、人命救助の可能性は飛躍的に高まる。US―2の場合、波高3メートルの荒海に離着水することが可能。同機の全高は10メートルなどで、機体の3分の1の高さの波が発生している荒海でも救助活動ができることになる。AG600が離着水可能な波高は2~2.8メートル程度とされている。かなり良好な性能ということになるが、US―2には及ばない。

両機の性能の差が最も大きいのは、離着陸や離着水に必要な距離だ。。AG600の場合、離陸には1800メートル、離水には1500メートルが必要とされる。US―2の場合、離水に必要な距離は約280メートル(離陸は約490メートル)、着水に必要なのは330目メートル(着陸は約1500メートル)だ。

離水距離/着水距離については、カナダボンバルディアのCl―415でも808/665メートル、ロシアのBe―200は1000/1300メートルを要する。離着に要する距離としては、US―2が特異的にすぐれていると言えそうだ。US―2については東京・上野の不忍の池からも、離着水が可能と例えられることがある。

US―2を開発した新明和工業は、戦前の川西航空機が前身。川西航空機は水上機の開発を得意とした会社で、当時の世界最高性能の傑作機とされる二式飛行艇(二式大艇)や、水上戦闘機の強風、強風を改良した陸上の飛行場から離着する紫電、紫電改を開発した。米スミソニアン博物館は展示している紫電改について、「高高度性は不十分だった」としながらも「太平洋で使われた万能戦闘機のひとつ」と高く評価している。

日本は第二次世界大戦の敗戦にともない、1952年まで航空機関連産業が全面的に禁止された。川西航空機も厳しい道を歩んだが、戦前からの航空機づくりの魂を、現在もしっかりと受け継いでいると言える。(翻訳・編集/如月隼人)
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