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中国の改革開放の春風に乗り、多くの外資系企業が中国に進出し、根を下ろしている。それら企業は自社の発展を追い求めると同時に、中国の関連分野の改革、進歩を促進している。日本で100年の歴史を誇る光学企業オリンパスもそのような企業の一つだ。
中国の改革開放の春風に乗り、多くの外資系企業が中国に進出し、根を下ろしている。それら企業は自社の発展を追い求めると同時に、中国の関連分野の改革、進歩を促進している。日本で100年の歴史を誇る光学企業オリンパスもそのような企業の一つだ。2018年9月、オリンパス(北京)銷售服務有限公司董事長楠田秀樹が人民網のインタビューに応え、改革開放からこれまで40年の間、中国におけるオリンパスの成長と変化について語ってくれた。
改革開放により中国と外資系企業のウィンウィンを実現
オリンパスは、精密技術、光学技術において、日本、ひいては世界を代表する企業の一つで、その事業は医療、映像、科学産業をカバーし、うち、医療が中国市場における主要事業だ。実際には、中国が改革開放を実施する以前に、オリンパスは中国市場に進出していた。1972年、中国の衛生局との連携で、北京協和病院で始めて我が社のガストロスコープをご使用頂いた。
今では中国の殆どの三甲医院(大規模病院)が消化器系の検査・治療にオリンパスの内視鏡を使っており、中国の社会と共に発展できたと言える。
中国が改革開放を実施して40周年を迎えた2018年、習近平主席はボアオ・アジアフォーラム年次総会で、「中国の開放の大きな門は決して閉ざされることはなく、いよいよ大きく開かれる」とし、▽市場参入の規制を大幅緩和する▽一層魅力ある投資環境を創り出す▽知的財産権保護を強化する▽積極的に輸入を拡大する‐‐‐という4大改革開放新措置を発表した。その点、楠田董事長は、「グローバル企業である弊社は、中国政府の大きな方針に対しては大歓迎だ。中国のグローバル社会における位置付けは、ますます拡大しているが、中国が積極的に世界の経済に貢献するという姿勢はオリンパスにも追い風だと思う。このような中国の政策を受けて、中国企業とのコラボレーションの機会も今後増えていくのではないかと楽しみにしている」と語った。
そして、「中国市場でただ良い製品を紹介するだけではなく、中国医療の発展に如何に貢献できるかを常に考えている。如何に我々の製品を最大限中国の医者に活用していただくかということで、特に手技の普及トレーニング、若手の先生の育成を通じて内視鏡医療に対する正しい理解を促進する。同時に、中国医師協会、内視鏡学会などのトレーニング活動のサポート等を通して、中国における内視鏡医療の発展に貢献するにより、当社の製品に対しても正しい理解、高い評価をいただき、win-winの関係を構築してきた。」との見方を示した。
胃腸に関する知識の宣伝キャンペーン
医師の育成に焦点を合わせ中国人の健康に一役買う
現代社会における生活のストレスが大きくなり、高齢化や環境汚染などが深刻化するにつれて、慢性疾患やがんの発症率が顕著に高まり、中国では現在、医療の需要が爆発的に高まっている。
世界保健機構(WHO)のがん専門研究機関である国際がん研究機関(IARC)が発表した最新の世界のがん統計によると、世界で発症率が最も高い3大がんは、肺がん、乳がん、大腸がんだ。また、中国のがん発症率と死亡率は世界の平均水準を上回っている。
楠田董事長は「世界の人々の健康・安心・心の豊かさの実現」というのが弊社の企業使命で、うち健康的な生活が最重要。100年近い歴史を誇る光学企業である弊社は、1950年に腹腔内臓器撮影用写真機(ガストロカメラ)を開発した時から、医療の分野における模索とイノベーションを継続的に行ってきた。早期診断•低侵襲治療が弊社の医療事業におけるキーワードです。がん治療は、『早期発見、早期診断、早期治療』が鉄則。早い段階で早期がんを発見することができれば、内視鏡だけで治療もできる。そうなると手術や入院の負担がなくなる。低侵襲手術は患者の苦痛を軽減できるほか、時間的コスト、金銭的コストの削減にもつながる。中国は今後ますます高齢化が進み、国家のレベルでも医療費の負担の増加は、日本をはじめ他の先進諸国と同様、深刻な問題になりつつある。弊社は一貫として内視鏡による早期診断、低侵襲治療の更なる普及・推進を通じて、患者さんの生活の質の向上、ひいては国家レベルでの医療コストの削減を通じて中国の社会に貢献していきたいと考えている。
低侵襲技術の中国における成熟率、普及率は未だに低く、低侵襲手術を受けることのできる患者は、先進国の4分の1未満、低侵襲手術ができる医師の数の割合も30%未満だ。中国の人々にこれらの理念について知ってもらうために、弊社は中国衛生・計画出産委員会と協力して、中国の40都市以上で胃腸に関する知識の宣伝キャンペーンを展開してきた」と話す。
人々の間であまり知られず、専門医師が不足しているため、がんの発見や治療における内視鏡技術の応用、普及も遅れている。楠田董事長によると、一人でも多くの若い医師を育成して、中国の内視鏡の専門医師不足を補おうと、オリンパスは2009年から上海、北京、広州に医療技術トレーニングセンター(C-TEC)を立ち上げ、医療従事者にトレーニング、交流、製品体験の専門プラットホームを提供してきた。また、中国の病院や医学会などと協力して、2017年4月から2018年3月までの間に、数多くの研修を開催して、それに医師合わせて約6000人が参加した。そのようにして少しずつ時間をかけて試練や困難を克服して前に進み、中国の医療水準向上を積極的に推進し、中国の健康事業に貢献している。
100年の歴史ある老舗ブランドを作り上げた秘訣は?
1919年に設立されたオリンパスは来年創業100周年を迎える。
ある統計によると、日本の老舗企業数は世界で一番多い。専心、プロフェッショナル、不動、向上に向上を重ねるという、匠の精神が、代々受け継がれているのだ。周知の事実であるように、製造業は日本の得意分野で、「ものづくり」という日本語には、「商品を作る」という文字通りの意味のほか、日本の製造業が継承する伝統、匠の精神などさまざまな意味が込められている。
楠田董事長は、「弊社はもともと、技術力をベースとしたメーカーです。したがって、より良いものを作って、市場に提供していくことがメインである。しかし、創業100年を迎え、次の100年を歩むためには、単に良いものを作って提供するというのではなくて、現場の皆さんやユーザーの皆さん、お客さんの皆さんの声を如何に反映していくのかが重要だったと思っている。コツコツと改革、イノベーションを行い続けなければならない。これからの百年も是非、中国の一員として、中国と一緒に発展できるように頑張っていきたい」と語った。
オリンパス(北京)銷售服務有限公司の楠田董事長は2016年に董事長のポストに就いて以降、わずか2年の間に、オリンパスの中国の39事業支部全てを訪問し、中国各地のさまざまな食文化、風土人情を体験したほか、中国の経済、生活の急速な発展を肌で感じてきた。そんな楠田董事長は「世界の中で一番早い発展速度を誇るエキサイティングな国で暮らし、仕事できることはとても楽しい」と話す。