「中国を再建した」米国の謎の自信には警戒必要

人民網日本語版    2018年10月16日(火) 11時20分

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米国のペンス副大統領はこのほど発表した対中国政策についての演説は、歴史的事実の間違いや論理的間違い、引用のミスなどが多々あり、おかしいところだらけで、中国のインターネットで次々に「神反応(絶妙な反応)」を引き起こし、「中国国民総笑い」の効果を上げた。だが演説の随所にみられる「中国の発展や強大さは米国の支援によるもの」というどこからくるのかわからない謎の自信には警戒が必要だ。たとえばペンス氏は、「中国を世界貿易機関(WTO)に加盟させた」と言い、中国が世界2位のエコノミーになったのは、「米国の対中投資のおかげによるところが大きい」と言い、さらには「米国はこれまで25年にわたり中国を再建してきた」と言ってのけた。(文:賈晋京・中国人民大学重陽金融研究院院長補佐。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)

相次ぐ誤り、混乱した論理、中米関係を正確に理解していないこの演説は、世界観に問題ありと言わざるを得ない。中国が発展して強くなったことは何によってもたらされたか。米国はそこでどんな役割を発揮したか。これは過去約40年間の世界情勢の変化をどのようにみるかという大きな問題に関わってくる問いで、歴史と世界との2大座標の中におくと答がはっきりみえてくる。ペンス氏が中国の発展は米国のおかげと言うのは、まったく荒唐無稽だが、これは米国世論の一部を代表する見方でもある。これに対し、私たちは事実を列挙し、道理を説き、こうした誤った見方の根源を追求し、誤りの背後にある荒唐無稽な世界観の本質をはっきりと認識しなければならない。

現在の世界で、中国は古代文明国が復興の道を探っている代表例といえ、米国は若い国が超大国になった典型例といえる。中国の改革開放スタート以来40年間にわたる高度成長は、世界経済という外的要因と不可分だが、中国共産党が中国国民を奮い立たせて行動し、努力し続けてきたことこそが、決定的な役割を果たした内的要因だ。中国が「豊かになった」のは、経済グローバル化のプロセスの中、中国が米国を含む世界と相互に促進し合い、共に利益を得たことの結果であり、誰かが一方的に恩恵を与えたわけではない。第二次世界大戦後、米国は国際経済構造を形成し、経済グローバル化プロセスをスタートする上で多大な貢献を行い、これにより国際ルールの主要な制定者になり、数十年にわたり世界最大の市場国の地位を保ってきた。だが米国の権力をもったエリートがこれにより自分たちのことを国際ルールの「審判員」だとみなし、世界経済の「中枢」だと考えるようになったなら、時代が分からない幻覚に陥っているに違いない。

世界の多くの国・地域と同様、中国の開放拡大により、米国はより大きな市場を獲得したのであり、長年にわたり中国から高品質低価格の商品を大量に輸入してきた。米国の伝統的産業の代表である自動車産業と新興産業である携帯電話産業を例に挙げると、2017年に米ゼネラルモーターズ(GM)は中国大陸部で404万台の自動車を販売し、同年の世界販売量は890万台だったので、中国市場だけで45%を占めたことになる。米アップル社は18年第3四半期の決算によると、18年上半期の純営業収入は1144億ドル(1ドルは約111.9円)に上り、このうち大陸部と台湾・香港・澳門(マカオ)地区は225億7500万ドルで19.73%を占め、アップルにとって最大の海外市場だった。こうした例からわかるのは、米国の自動車産業も携帯電話産業も中国市場から多大なリターンを得ているということが分かる。だが別の明白な事実もある。それは中国市場ではGMやアップルなどの米国ブランドは一介の参加者に過ぎないこと、不可欠とはいえないことだ。米国の対中投資をみると、2000年以降、米国の対中投資額が中国の実行ベース外資導入額に占める割合が低下を続け、以前は10%前後あったのが最近は2%前後に低下している。15年、16年、17年の中国の実行ベース外資導入額の国別番付における米国の順位は、8位、6位、8位だった。ここからわかるのは、中国の発展で米国の投資が果たした役割は必ずしも「大きい」とは言えないことだ。

経済グローバル化が高度に発展した今日にあって、製品は多方面の協力の結晶という場合が多くなった。たとえば携帯電話1台の生産には米国のタッチセンサIC、韓国のディスプレイ、日本のイメージセンサが必要で、これに中国での組み立てが加わって初めて完成する。これは実際のところ、各方面がそれぞれ「生態的ニッチ」を備えたシステムであり、各方面がすべて「生態」全体の中から利益を得ているということだ。もしも誰かが自分は不可欠であるとして、別の誰かから奪い取るようなことをしたなら、その結果として最も可能性が高いのは、奪われそうになった側の屈服ではなく、奪おうとした側の退場だ。各方面が奪おうとした側によって存在を被るからであり、システム全体にとって最も損害が少ない解決策は別の参加者を探して奪おうとした側の代わりにすることだ。

今の世界では、平等な協力によってしか共同の発展は達成できないし、世界秩序の唯一の制定者という者はもはや存在しない。米国はすでに世界最大の市場国ではないし、世界各国にとってはビジネスの選択肢の一つに過ぎず、もはや必然的な選択肢ではない。世界の発展の道は決して1本だけではなく、互恵・ウィンウィンを提唱しなければ助けを得て道を進むことはできない。自分の意思を押し通すために他人に強制したり無理な要求をしたりすれば、助けを得ることはできず道を進むこともできない。(編集KS)

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