BMWの30億ユーロ大規模投資にみる3つの重要ポイント―中国メディア

人民網日本語版    2018年10月15日(月) 7時20分

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独自動車大手BMWグループと中国の自動車メーカー華晨汽車集団はこのほど共同で、「双方は合弁会社・華晨BMW汽車有限公司の合弁契約を(現在の2018年までから)2040年までに延長する」と発表した。

独自動車大手BMWグループと中国の自動車メーカー華晨汽車集団はこのほど共同で、「双方は合弁会社・華晨BMW汽車有限公司の合弁契約を(現在の2018年までから)2040年までに延長する」と発表した。これと同時に、同公司へ30億ユーロ(1ユーロは約130.3円)を投資し、遼寧省瀋陽市にある生産拠点の今後数年間の改良・拡張プロジェクトに充てることや、今後3~5年をめどに、同公司の生産能力を年65万台へと段階的に引き上げ、新たに5000人分の雇用を生み出す計画も明らかにした。

華晨汽車は同日に公告を出し、「BMWに同公司の株式の25%を売却した」と発表した。

これらの投資や株式売却は、中国の自動車製造業の発展史における重要な節目となる出来事だ。

30億ユーロが非常に大きな金額であることや、中米経済貿易摩擦が徐々にエスカレートする中でBMWが中国で追加投資を行い、華晨の株式を買収したことが、さらに重要なポイントを浮かび上がらせる。それは次の3つのポイントだ。

▽第1のポイント:開放拡大を言うなら、実行を伴うべき

中国の対外開放のための新措置は口で言うだけでなく、着実な実行を伴っている。

口で言い実行するとはどのようなことか。最も具体的な目安は推進のペースだ。

今年4月10日、習近平国家主席はボアオ・アジアフォーラムで、「今後は外資の出資規制を出来るだけ早く撤廃する。特に自動車産業の規制撤廃を進める」と発表した。

その1週間後の4月17日、中国の具体的な政策の中身を人々があれこれ推測している時に、国家発展改革委員会はコメントを出し、「自動車産業は分類ごとに段階的に開放を実施する。2018年には専用車、新エネルギー車の外資出資規制を撤廃し、20年には商用車の規制を撤廃し、22年には乗用車の規制を撤廃すると同時に、合弁企業に出資できる企業は2社までとしていた規制も撤廃する。5年間の移行期間を経て、自動車産業においてすべての出資規制が撤廃されることになる」と発表した。

2カ月後の6月28日には、発展改革委と商務部(省)が「外資系企業投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)2018年版」を発表し、改めて方針を明確にした。

半月後には、BMWグループが中国の協力パートナーと戦略的協力枠組合意に調印した。

そして今回のビッグニュースだ。これほどのハイペースは非常に珍しく、ペースの速さが中国の熱意と開放拡大の推進に対する真剣さを物語っている。

▽第2のポイント:中国自動車製造業の自信

中国の自動車製造業は特殊な事情を抱えている。

たとえばここ数年、国内の多くのメーカーが競争力を強化し、国際市場での競争に乗り出しても、互角に戦えるようになった。

だが自動車製造業は「弱者」のイメージでみられることが多い。

その最大の根拠は、自動車製造業に出資規制があることだ。

1994年に制定された「中国自動車産業政策」の規定によれば、外資系自動車メーカーが中国で自動車を生産する場合、規定に基づいて合弁会社を設立する必要があり、出資比率は50%を超えてはならない。

2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟すると、自動車部品、供給チェーン、物流、販売などの業務を取り扱う合弁会社は50%の出資規制を受けなくなったが、完成車の生産に従事する企業は引き続き規定を遵守しなければならなかった。

こうした背景を知れば、このたびの規制撤廃が何を意味するかは明白だ。

規制撤廃は、海外自動車メーカーが中国で単独で自動車(専用車、新エネ車を含む)を生産できるようになるということ、さらには中国で複数の合弁会社を設立できるようになるということを意味する。

そこで疑問が浮かぶ。このことは中国の独自ブランドの自動車メーカーにとって非常に大きな打撃になるかどうかだ。

だが、01年にWTOに加盟した際に「オオカミが来た」(中国企業が西側企業に飲み込まれるのではとの懸念)という言葉が流行したのとは異なり、今回の中国世論の反応は自信に満ちており、次のような見方がその代表的なものだ。

「吉利、広汽伝祺、長城、長安などを代表とする一連の自主ブランド企業は、『成長して大人になり』、合弁企業や多国籍企業と競争する力を身につけた。吉利がボルボを買収してダイムラーに出資したことは、多くの人に考えを改めさせた。さらに中国は巨大な市場に対するコントロール権があり、中国自動車産業は競争を恐れていないし、『全面開放』の方針には中国の自信がみなぎる」。

▽第3のポイント:米国が発動した貿易戦争の実質的な打撃が徐々に顕在化する中、世界の企業と資本の目に映る中国企業の魅力がますます増大

10月9日、国際通貨基金(IMF)は世界に向けて警告を発し、今年と来年の世界経済成長率予測値を0.2ポイントずつ引き下げた。これは珍しいことといえる。

それだけではなく、翌10日には米国株式市場が暴落し、世界的な株安を引き起こした。

企業の投資も資本の流動も、元々利益に向かい損害を避ける性質をもっている。揺れ動く環境の中では、安定した環境を備え期待できる場所がさらに魅力を増し、より人気を集めることになる。

こうした背景の下、中国が「引き続き、長期にわたり外資系企業の投資が集まる場所になる」と約束したことは、まさに「一字値千金」の貴重なことだ。企業も資本も、それぞれ適切な判断をすることになる。

商務部のデータによると、今年1~8月に全国で新たに設立された外資系企業は4万1331社で、前年同期比102.7%増加し、実行ベース外資導入額は5604億3千万元(1元は約16.2円)で同2.3%増加した(米ドル換算では865億ドル<1ドルは約112.3円>、同6.1%増加)。

国際投資機構(OFII)が9月24日に発表した報告書によると、米国の第2四半期の外資系企業による直接投資は大幅に減少してマイナスとなり、15年以降で初のマイナスになった。同期に米国に流入した海外直接投資(FDI)はマイナス82億ドル、つまり流出したFDIが82億ドルだった。

このようにみていくと、次のことがごく自然にわかる。

中米経済貿易摩擦に対処するカギは、なんといっても中国自身のことをしっかりやることだ。

自分のことがしっかりできれば、危機に直面しても恐れることはない。(提供/人民網日本語版・編集KS)

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