日本企業が「月の都市」建設計画 中国の宇宙専門家は「非現実的」の評

人民網日本語版    
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人類にとって、かねてより「月」という場所は有人宇宙飛行活動において重要な目的地の一つだった。これまでは国の宇宙当局が月探査計画を打ち出すばかりだったが、近年、多くの民間企業が続々と月探査の活動に関わるようになっている。

人類にとって、かねてより「月」という場所は有人宇宙飛行活動において重要な目的地の一つだった。これまでは国の宇宙当局が月探査計画を打ち出すばかりだったが、近年、多くの民間企業が続々と月探査の活動に関わるようになっている。

報道によると、日本の「ispace」という会社は、2040年までに月に一つの都市を作り上げる計画を立てており、月に送り込む人数は毎年1万人に達するとしている。

この計画に対し、中国航天科工集団二院の研究員である楊宇光氏は、「現実離れしている」との見方を示している。

▽技術的な課題をクリアしない限り、夢はただの空想

ispace社はこの計画を実施するために、2つの前期任務を設定している。例えば、2020年代に月探査衛星1基の打ち上げを予定し、月周回軌道に投入することを目標に掲げている。また、ispace社は2台の小型探査ロボットからなる月面ローバーもデザインしている。2台の小型探査ロボットをケーブルで繋げることで、電力供給と通信のニーズを満たすことができる。

しかし、月周回探査にしろ月面探査にしろ、世界的に見ればこうした計画はすでに実施済みの国も少なくない。ispace社がこのほど発表した内容を見ても、過去に実施済みの月探査任務と比べ、その計画の複雑さや持続日数といった方面において、レベルの低さが目立つ。

ispace社の袴田健CEOによると、同社は現在、月の極地から氷を採掘してそれをロケット燃料に転化する技術を研究開発しているとし、「2030年頃までに、推進装置の燃料を研究開発し、それを宇宙空間のロケットに提供したいと考えている」としている。

楊宇光氏はそれに対し、「米国が発表した最新の宇宙計画を見ても、袴田健氏の望みは現実離れした、ただの空想で終わるかもしれない」との見方を示している。

▽月での都市建設はコストが高すぎる

技術的な課題だけでなく、有人月上陸事業を進めるためのもう一つの重要な条件、それは資金だ。1972年のアポロ17号任務から現在に至るまで、世界のどの国でも有人月上陸事業を展開してこなかった。「主な原因はコストが高すぎるからだ」と航空専門家である龐之浩氏は語る。

資金問題について、袴田健氏は前向きな考えを示しており、「すでに9500万ドルを調達したので、月探査衛星と月面ローバープロジェクトを完成できるはずだ」と述べている。また、市場資本のほか、日本内閣府は今年3月、向こう5年間、9億4000万ドルの資金支援を宇宙ビジネスを行う企業に提供すると明らかにしている。

しかし楊宇光氏は、「袴田健氏の夢を実現するにはこれだけでは不十分」とし、「ヒトを宇宙へ送り込むことは、依然としてロケット頼み。現在、水素と酸素を燃料とするロケットの性能はすでに極限に達している。 SpaceXが開発した再利用可能なロケットを使用するとしても、実際のコストは予想よりも高くつくことになるだろう」としている。

▽1万人を月に輸送することは非現実的

月は人類にとっての「宇宙の家」ではなく、それよりも人類が火星や更に遠い宇宙空間に移動するための中継点として適している。龐之浩氏は、「人類の月上陸事業の次のステップは、月での常駐を目標とする必要がある。エネルギー基地や科学研究基地を建設し、宇宙飛行士が月に常駐して長期的に仕事や生活をすることになる。月という資源を利用して火星進出が実現してこそ意義がある」としている。

しかし、こうした基地に数百人も暮らす必要はまったくない。理由の一つとしてコストが高すぎること、またそもそもそのようなニーズがないからだ。

そのため、初期段階における月の基地は科学的研究活動を行う場合、国際宇宙ステーションのように4人から6人ほどで十分足りる。利用可能な水資源が大量に発見され、鉱業採掘や燃料製造のために基地拡大の必要が生じた場合でも、何百人もの人は必要としないはずだ。

楊宇光氏は、「ispace社がこのような奇想天外な計画を打ち出したのは、月の開発という概念を十分に理解していないからだろう」との見方を示した。(編集HQ)

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