慰安婦テーマのドキュメンタリー映画が大ヒット、存命の元慰安婦はわずか14人に―中国メディア

人民網日本語版    2018年10月13日(土) 15時20分

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慰安婦をテーマにした中国のドキュメンタリー映画「二十二」のコストを差し引いた興行収入の收益などおよそ1008万元(約1億6000万円)が、上海師範大学教育発展基金会の「慰安婦研究・援助」プロジェクトに寄付された。

慰安婦」をテーマにした中国のドキュメンタリー映画「二十二(TWENTY TWO)」がこのほど、中国版ツイッター・微博(ウェイボー)で発表した寄付金詳細を見ると、コストを差し引いた興行収入の收益などおよそ1008万元(約1億6000万円)が、上海師範大学教育発展基金会の「慰安婦研究・援助」プロジェクトに寄付された。郭柯監督は、「収益はすでに寄付したが、中国全土で今も存命の元慰安婦は14人で、同作品に出演した22人のうち存命しているのはわずか6人であることは本当に心が痛む」と話した。北京青年報が伝えた。

上海師範大学中国慰安婦研究センターに寄付した理由について、郭監督は「『慰安婦』について研究している蘇智良教授が同大学におり、そこに特定項目基金を設立するのが最適だ。そうすることで、慰安婦問題の研究を推進することができる」と説明。「現在、『声明』はすでに出したが、提携に向けた最終調整をしているところで、共に話し合ったうえで、専門家らが基金をうまく手配して、必要なことに使ってくれるはずだ。僕は自分の本業の仕事に戻る」と話した。

■借金して撮影、クラウドファンディングで公開にこぎつけた「二十二」

「二十二」は旧日本軍の慰安婦だった中国人女性の現在に迫る長編ドキュメンタリー映画で、元慰安婦22人が出演している。また、中国で公開が許可された初の「慰安婦ドキュメンタリー」でもある。17年8月14日に公開された同作品は、それほど期待が高かったわけではないものの、ふたを開けてみれば興行収入が1億5000万元(約24億円)を超え、中国国産ドキュメンタリー作品の興行収入記録を塗り替えた。

12年、郭監督は元慰安婦の韋紹蘭さんを紹介する文章「ある元慰安婦が生んだ日本人の子供」を偶然読んだ。「時は1944年、当時20歳だった韋さんは旧日本軍に連行され、慰安所に連れていかれた。3カ月後のある日、韋さんは隙を見て、慰安所を逃げ出したものの、後で妊娠していることに気付いた。お腹にいるのは日本人の子供だ。韋さんは死んでしまいたいと思い、農薬を飲んだものの、近所の人に助けられた。その息子・羅善学さんは今70代で、韋さんと2人で生活している。結婚してくれる女性がいなかったため、羅さんは生涯未婚だった」という。

中国で慰安婦問題を研究する第一人者である蘇智良教授のサポートの下、郭監督は韋さんにすぐに会うことができ、短編ドキュメンタリー「三十二」を製作した。その時から、郭監督は慰安婦を異様な目で見るのではなく、やさしい目で見ることができるようになったという。「三十二」の製作終了後、元慰安婦が次々にこの世を去るのを目にし、「二十二」の製作を計画するものの、資金提供者を見つけることができずに困っていた時に、女優・張●芸(●は音へんに欠)が支援の手を差し伸べ、100万元(約1600万円)を貸してくれたという。その後約2カ月で、郭監督は5省の29地域に足を運び、元慰安婦22人をカメラに収めた。

撮影も苦労したが、公開できたことも奇跡だったと言える。2015年10月、「二十二」の上映許可証を取得し、中国では「慰安婦」をテーマにしたドキュメンタリー映画としては初めて公開されることになった。しかし、郭監督は、同作品を携えてさまざまな映画祭に参加したものの、公開できるだけの宣伝・配給費用を集めることができず、17年に、クラウドファンディングにより3万2099人から100万元(約1600万円)をやっと集めた。そして、公開するために必要な製作費用に20万元(約320万円)を使い、残りの80万元(約1280万円)を宣伝・配給費用にあてて、同年8月14日についに公開にこぎつけた。

それほど苦労して公開までこぎつけた映画「二十二」は見る人々の心を打ち、公開初日はスクリーン占有率が1%だったものの、1.5%まで増え、1日当たりの興行収入が300万元(約4800万円)を超え、公開6日で興行収入が1億元(約16億円)を超えて、中国で初めて興行収入が1億元を超えたドキュメンタリー映画となった。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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