国際機関トップに前代未聞の事態、ICPOの中国人総裁が行方不明になり辞任、中国当局「収賄容疑で拘束」と発表

Record China    2018年10月12日(金) 12時10分

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ICPO総裁で一時行方不明になった中国出身の孟宏偉氏について、中国当局は「収賄容疑で拘束」と発表。孟氏はICPO総裁を辞任した。国際機関のトップを送り込んだ国の当局が摘発するのは前代未聞の事態だ。写真は孟宏偉氏。

2018年10月12日、国際刑事警察機構(ICPO、本部フランス・リヨン)総裁で中国出身の孟宏偉氏が中国に一時帰国した後、行方不明になり、中国当局は8日、「収賄容疑で拘束」と発表した。孟氏はICPO総裁を辞任した。国際機関のトップを送り込んだ国の当局が摘発するのは前代未聞の事態だ。

ICPOはインターポールとも呼ばれ、約190の国・地域の警察機関が加盟している。国際犯罪の捜査連携を目的とし、逃亡犯罪者の手配書を発行するほか、指紋などさまざまな情報をデータベース化し加盟国などに提供している。

孟氏は公安(警察)畑を歩み、2004年に公安部次官に就任。習近平指導部による反腐敗闘争で汚職などで摘発され、失脚した周永康・元中国共産党中央政法委書記(15年に無期懲役判決)に引き上げられたとされ、国家海洋局副局長や中国海警局長などの要職も歴任した。16年11月には中国出身者として初めてICPOの総裁に選出。任期は20年までの4年間だった。

AFP通信などによると、孟氏がリヨンから中国へ向かったのは9月25日。妻は孟氏からインターネット交流サイト(SNS)を通じ、「私からの電話を待つように」と書かれたメッセージを受け取り、身の危険を知らせようとしたのか「刃物」の絵文字も送られてきた。その後、孟氏とは連絡が取れなくなった。7日、リヨンで記者会見した妻は「国際社会の問題だ」として、各国政府の介入を訴えた。

孟氏について、香港メディアは「北京到着後に中国の規律当局により連行された」などと報道。中国当局は沈黙を守っていたが、7日になって国営新華社通信を通じて「国家監察委員会が違法行為を犯した疑いで取り調べている」と発表した。

続いて趙克志・国務委員兼公安相は8日の公安部の会議で、孟氏の容疑を収賄と報告。中国メディアは「反腐敗闘争を徹底して推し進める共産党の固い決意を示したものだと一致して支持された」と報じている。

さらに会議では周元書記にも言及。「周永康の毒の影響を徹底的に取り除く」とした上、「敵対勢力の妨害、破壊、転覆活動を防ぐ」と説明され、背景に政治的な問題があることもうかがわせた。かつて公安当局を牛耳った周元書記のグループを一掃することが狙いともみられるが、孟氏のICPO総裁就任は周元書記の失脚後で、この時期に拘束した事情は別との見方もある。

中国外交部の陸慷報道官は8日の記者会見で、「調査は中国政府が断固として法による国家統治と反腐敗を推し進めていくという決心を十分に表している」と強調。ICPOに関しては「国連安保理の常任理事国や責任ある大国として、われわれは引き続き国際機関において、しかるべき役割を発揮していく」と述べたが、中国の信用とイメージを国際的に損なったのは否めないようだ。(編集/日向)

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