世界最大の電波望遠鏡に「大難題」、収集する情報多すぎ技術刷新せねばデータが単なるごみに―中国

配信日時:2018年9月26日(水) 23時10分
世界最大の電波望遠鏡に難題、入手情報多すぎ改善せねば単なるごみに
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中国新聞社など中国メディアは、貴州省に建設された世界最大の直径を持つ電波望遠鏡「FAST」について、情報処理の能力を大幅に向上させないと、このままでは「データがごみでしかない」状態になるとして、関係者の奮起に期待する記事を掲載した。
中国新聞社など中国メディアは26日、貴州省の山間部に建設され2016年9月に稼働を開始した世界最大の直径を持つ電波望遠鏡「五百米口径球面射電望遠鏡(通称FAST、Five-hundred-meter Aperture Spherical radio Telescope)について、情報処理の能力を大幅に向上させないと、このままでは「データがごみでしかない」状態になるとして、関係者の奮起に期待する記事を掲載した。

FASTは山間部のくぼ地に固定された電波望遠鏡で、それまで世界最大だったアレシボ天文台の直径300メートルをはるかに凌駕する500メートルの直径を持つ。超大型の電波望遠鏡建造で、大きな問題になるのが望遠鏡自身の重さだ。望遠鏡の角度を変えると重量のかかりかたが変化して望遠鏡全体がたわんでしまう。そのために電波を正確に集められなくなる。

アレシボ天文台の電波望遠鏡は、望遠鏡をくぼ地に固定することで重量の問題を解決した。望遠鏡の角度は変えられないので天空の極めて限られた場所しか観測できないが、精度を向上させることができる。FASTも同様の構造だ。

FASTには「天眼」という愛称もある。2018年9月の報道によると稼働開始以来、59のパルサー候補を発見し、うち44個は新発見のパルサーであることを確認したという。パルサーとは短い周期で電磁波を間欠的に放射している天体を指す。超新星の出現、つまり巨大恒星の大爆発後に残った中性子星と呼ばれる小さいが極めて重い星がパルサーになるとされているが、パルサーも種類によっては起源などが分かっていない場合がある。

FASTは理論上、137億光年先で発生した電波も観測する性能を持つとされる。そのような電波は、現在から138憶年ほど前に発生して宇宙を形成することなったビッグバンの後の早い時期に発生したことになる。つまり、FASTは大宇宙の草創期の様子も探れる可能性を持つことになる。

しかしここにきて、FASTの能力を十分に利用するためには、情報処理能力の大幅な向上が必要であることが重視されるようになったという。

貴州師範大学の謝暁堯副学長によると、FASTは現在、1秒間当たり38ギガバイト、1日当たりでは96ペタバイト(1ペタバイト=100万ギガバイト)の情報を収集している。情報処理により96ペタバイトは10~15ペタバイトに減らせるが、それにしてもこれだけ大量の情報を必要に応じたタイミングで処理できないのでは「データのごみ」を持っているだけになってしまうという。

FASTが収集する情報は今後30年間で10エクサバイト(=1万ペタバイト)を超えることになる。これだけの量の情報を処理するには、情報技術の刷新が大きな課題という。

ただし、貴州省側では、FASTの十全な活用のための「難問解決」の困難さを承知の上で、地元の発展のために大いに役立てることが可能との見方が出ている。省政府は、省都である貴陽市に国家スーパーコンピューターセンターと科学データセンターを建設する動きに着手したという。これまで中国南西部の山間部という条件により発展が遅れた貴州の地だが、人材の育成と招聘に力を入れ技術刷新のためのあ努力を重ねれば、省としてビッグデータ関連の技術を向上させ、関連産業も育成できるとの考えだ。

なお、電波望遠鏡の重量問題について、日本では野辺山天文台の電波望遠鏡で、重量の影響を前提に、「計算通りにきちんとたわむ」ように設計するという、いかにも「日本らしい技」で、同じ大きさの電波望遠鏡としては極めて優秀な性能を持たせることに成功したことがある。

現在は、日本が主導し台湾、米国、カナダ、欧州各国、チリが参加してチリのアタカマ砂漠で進められているアルマ望遠鏡の国際共同プロジェクトが、132.8光年先に酸素が存在することを確認するなど成果を上げ続けている。アルマ望遠鏡は比較的小型で移動可能な電波望遠鏡を最大直径16キロメートルの範囲で配置する方式で、各望遠鏡からの情報を総合することで直径16キロメートルの電波望遠鏡に匹敵する能力を得ることができる。(翻訳・編集/如月隼人
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