中国で宅配便料金に値上げの動き、コスト削減による低料金路線は限界との見方も

Record China    2018年10月2日(火) 5時20分

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中国で宅配便の料金値上げの動きが出ている。現在のところは系列内でやりとりされる料金の値上げだが、最終的には利用者に転嫁される見通しという。宅配便業者が進めてきたコスト削減による低料金路線は限界との見方も出ている。

中国新聞社など中国メディアは26日、宅配便について料金値上げの動きがみられると報じた。現在のところは系列内でやりとりされる料金の値上げだが、最終的には利用者に転嫁される見通しという。宅配便業者が進めてきたコスト削減による低料金路線は限界との見方も出ている。

中国の宅配便は、全国各地に系列事業体が存在し、本部が取りまとめる形態だ。集荷を担当した事業体は顧客から受け取った料金の一部を「派費(パイフェイ、派遣費用)」との名目で本部を通じて配達を担当する地域の事業体に支払う。大手の中通快逓、韻達速逓、円通速逓の本部はこれまでに、配達先が上海である荷物の「派費」を10月1日に、1件当たり0.5元(約8.2円)値上げすると全国の系列事業体に通知したという。

宅配便の料金は、各地の事業体が定めている。「派費」の値上げは系列内部の金銭の授受の問題だが、最終的には消費者の支払う料金に転嫁されると見られている。

2012年に18.16元(約298円)だった中国における宅配便の単価(1キロ当たりの最低料金)は、今年8月時点で平均11.91元(約196円)にまで値下がりした。

宅配便企業は、電子商取引の通販商品の取り扱いに大きく依存している。通販業者は大量の発注をするだけに、宅配便の料金に極めて敏感だ。宅配便事情の専門家である龔福照氏は、通販の伸びも鈍化しているため、宅配便企業の利益確保も圧力を受けていると説明。上海向け宅配便の「派費」の値上げは、これまで値下げ競争を続けてきたことに対する部分的な反動との見方を示した。

一方で、中国物流学会特約研究員の楊達卿氏は、これまで宅配便業者はコスト切り下げに力を入れてきたが、一部の事業体は利益を出せない状態に陥っており、料金値上げは避けられない情勢との見方を示した。

楊氏は、上海市向けの宅配便で「派費」の値上げが行われたことについて、各社の「模索」と分析。上海市は広東省広州市に次ぐ宅配便の取り扱いが最も多い都市であり、大手宅配便企業の本社を置く都市でもある。そのため、上海市における宅配便事業は本社直営となっており、価格調整の結果を見るために適しているからという。

大手3社が「派費」について一斉に同様の値上げをしたことについて、浙江墾丁律師事務所(弁護士事務所)の張延来弁護士は、「合理的理由がないのに企業が意思疎通を行って値上げを決めたならば、違法なカルテル行為に相当するが、宅配便市場の現状を見る限り、カルテルと判断するのは難しい」との見方を示した。(翻訳・編集/如月隼人

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