<在日中国人のブログ>猫への溺愛っぷりから見る日本人の動物観

黄 文葦    2019年3月31日(日) 8時10分

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私は日本に来てから、猫を好きになった。日本人の生活の中、猫の存在が大きいようである。宅急便のキャラクターも猫。忙しい時は「猫の手を借りたい」という。何故、「犬の手を借りたい」と言わないのだろうか。

私は日本に来てから、猫を好きになった。日本人の生活の中、猫の存在が大きいようである。宅急便のキャラクターも猫。忙しい時は「猫の手を借りたい」という。何故、「犬の手を借りたい」と言わないのだろうか。

家の近くの駐車場に数匹の野良猫が暮らしている。野良猫とはいえ、見た目はきれいである。冬、猫たちは車の上に登って、ひなたぼっこをする。夏、昼間は暑いので、猫たちの姿があんまり見えない。夕方になると、猫たちが続々と駐車場に現れて、帰宅する人たちと遊ぶ。

隣人たちがよく野良猫のためにお菓子をあげたりしている。野良猫のお蔭で、本来沈黙する人間たちが会話をするようになった。近隣の人々のコミュニケーションが増える。猫が大人たちの距離を縮まらせた。私はしばしば、猫を撫でて、猫に小さい声で話しかけるサラリーマン風の人を見かける。きっと日々の疲れが猫によって癒されるだろう。猫も隣人のようになった。毎日、私が猫たちと会う度に、会釈するようになった。

ある日、家のポストに一枚の手紙が入れられた。なんと猫からの手紙であった。猫の写真も載っていた。猫の口調でとても丁寧に挨拶されていた。「こんにちは、茶々丸です。ぼくは長い間、この界隈で地域猫として皆さんにかわいがっていただいてきましたが、ご縁がありまして、3月8日をもって小田原市の動物好きの男性が住む家にもらわれて行きました。ぼくが急にいなくなって寂しく思っている人がいるかもしれないので、ひとことお手紙でご挨拶させていただくことにいたしました…」なるほど、初めて「地域猫」という言葉を知った。猫がまるで人間のように礼儀正しく振る舞う。なんだか気持ちが暖かくなった。

ちなみに、私は女優の石田ゆり子さんが好き。そして、しばしば石田さんのインスタグラムを覗いている。彼女は4匹の猫と1匹の犬と一緒に暮らしている。猫と犬に子供のように愛情を捧げているといつも感心する。猫と犬の写真と動画を見るたびに、石田家の猫・犬は世の中一番幸せな動物だと思った。きっと、日本中、幸せな猫が大勢いるはず。近年、猫ブームがだんだん進んでいて、なかなか止まらないようだ。

猫を溺愛する事象から日本人の動物観を探究したい。日本人ほど動物好きな国の人はいないのではないか。どこどこの川に、あるかわいい動物が現れた、とテレビのニュースが大きく取り上げるわけである。

テレビの動物番組はいつも人気が高そうである。猫・犬など赤ちゃん動物が続々登場すると、ゲストと観衆は「かわいい」と歓声をあげる。その光景を見る度に、動物番組は動物のかわいさだけを表現していて、何かもの足りないと感じる。

昔、中国で見た「動物世界」という人気のテレビ番組を思い出した。「この動物番組は事実、他のテレビ番組は嘘つきかもしれない」、これはうちの父の教えである。その動物番組は動物のかわいさを表現するだけではなく、動物世界の残酷さもちゃんと伝えていた。動物世界には「弱肉強食、適者生存」の法則がある。皆は生き延びるために戦い、常に残酷さを見せるはずである。

アフリカでは、チンパンジーは「肉食の猛獣」扱いである。日本ではタレント扱いで、派手な服を着たチンパンジーがいる。かつて、「天才!志村どうぶつ園」の天才チンパンジー「パンくん」は女性襲撃事件で引退、極めて遺憾であった。いくら賢くかわいいと言っても、動物は人間と同じ扱いをしてはいけない。動物と人間はいつでも感情を通じるとは言えない。十分な注意を払わなければならない。現実の中、飼い主がペットに襲われることは少なくない。赤ちゃん熊はかわいいが、大きくなった熊は時々住居を攻撃する。動物園では、常に子供に向け、動物との触れ合いイベントを開催するが、学校と家庭はもっと子供に動物の本性を教えるべきだと思う。

十数年前、大学院の指導教授が私と世間話をしていた時、「日本人はだまされやすい」と教えてくれた。今、動物に優しすぎる日本人の言動を思えば、その純粋さを保つ精神的な一面があると思う。自分の住む地域では「地域猫」が存在することで、平和一色の風景が増えつつある。それにしても、人間として、優しさを忘れず、懐疑的な精神をも忘れずに生きよう。

■筆者プロフィール:黄 文葦

在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。

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