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月餅産業への参入者がどんどん増えている。このほどしゃぶしゃぶレストラン・陳記順和牛肉火鍋店が今年初めて中秋節(旧暦8月15日、今年は9月24日)に月餅を売り出すと発表した。
月餅産業への参入者がどんどん増えている。このほどしゃぶしゃぶレストラン・陳記順和牛肉火鍋店が今年初めて中秋節(旧暦8月15日、今年は9月24日)に月餅を売り出すと発表した。いろいろな味の月餅があるという。また今年は月餅を扱う企業が非常に多く、お茶・飲料品ブランドの多くも自社ブランドの月餅を次々に売り出している。「広州日報」が伝えた。
▽人気ブランドが月餅市場で競争
陳記順和が売り出した月餅の主力商品はピリ辛牛肉味のもので、レストランの牛肉火鍋と同じテイストだ。
今年の月餅産業で最も注目を集める新規参入者にはお茶・飲料品ブランドの喜茶や楽楽茶がある。喜茶は早くも8月、1箱6個入りでいろいろな味のつまった月餅を売り出すと発表した。昨年から月餅を販売しているお茶・飲料品ブランドの奈雪の茶は、今年も特別パッケージ3種類を売り出すという。
新小売の盒馬鮮生も自社ブランドの月餅を販売する。
規定によると、2008年以降に月餅を製造する企業はQS(食品品質安全)資格を取得しなければならず、QS資格はメーカーに規模、工場の面積、設備などで一定の条件をクリアすることを求める。多くの企業は資格を持たないため、食品加工メーカーに委託して製造を行っている。
つまり、多くの新規参入組の月餅は一連の老舗工場で加工製造されたものである可能性が高いということだ。たとえば陳記順和の月餅は広州市珠江蓮蓉(餅業)食品有限公司が製造したもの、喜茶の月餅は広州酒家集団利口福食品有限公司が製造したものだ。
▽月餅市場に巨大な利益を期待
月餅市場の可能性は大きく、相当の利益が見込めることが、多くの企業がこの市場に参入する原因の一つと考えられる。
業界の専門家は、「伝統的企業と人気ブランド企業が一緒になって、月餅市場の争奪戦を繰り広げている。なんといっても利益が競争をかき立てている。月餅は利益率が非常に大きく、1箱あたりの販売価格は200元以上のものが多く、粗利は基本的に50%を超え、もっと高いものもある」と話す。
人気ブランド企業が打ち出す月餅の味の最大の特徴は、ブランドと何らかの関連があるということだ。お茶・飲料品の人気ブランドは店舗で人気のチーズクリーム茶とシンクロするチーズカスタード月餅を打ち出した。音楽レストランで売っている月餅には、音符やギターのイラストなどが入っている。
中国食品産業のアナリスト・朱丹蓬さんは、「多くのブランドが業界の枠を超えて月餅を手がけるようになったが、基本的に各ブランドの狙いは月餅とは別のところにあり、月餅を通じて次世代の消費者とロイヤリティの高い関係性を構築することこそが目的だ。市場に出回る人気ブランドの特徴を備えた月餅は、主に月餅という媒介役を通じて、ブランドを全体として消費者の日常のシーンにたびたび登場させ、認知度を高めることが狙いだ。だが実際にどれほどの効果があるかは、ブランドの運営状況を見なければならない」と話す。
▽老舗の月餅は創造性・変化を追求
月餅の新規参入組はますます増え、競争もますます激しくなってきたが、老舗の月餅は販売チャンネルの多さで引き続き優位に立っている。商店やスーパーを独占し、ECプラットフォームでも力を発揮し、口コミの評判も、ブランド力も高く、多くの消費者が真っ先に選ぶのはやはり老舗の商品だ。
これと同時に、老舗の月餅は常に変化を求めてもいる。広州酒家は今年、新小売への参入に力を入れ、ECプラットフォームで紅包(お年玉)プレゼントや一定額を購入すると割引きするサービスなどを打ち出す。また名シェフとコラボレーションした数量限定の手作り月餅も打ち出している。
若い消費者を引き寄せるため、香港地区の老舗・元朗栄華は新製品のパッケージに工夫を凝らし、90後(1990年代生まれ)や00後(2000年代生まれ)が好む「カワイイ」アニメキャラクターをモチーフに採用した。
だが伝統文化、新たな要素、新たな知的所有権(IP)との融合は、老舗レストランの専売特許ではない。ピザハットは今年、故宮博物院と提携して宮廷モチーフの「芝心踏月」月餅を打ち出した。広東省東莞市の永正書城は文化的創造性にあふれた月餅を打ち出し、現地の文化を月餅のパッケージに落とし込んだ。
アナリストの林岳氏は、「月餅は短期的な祝日向け商品であり、販売のポイントはデザイン、コンセプト、商品そのものの味にある。そこで創意工夫が最も重要であり、パッケージや月餅の外観に十分な訴求力があれば、業績は自ずと上がる。老舗の月餅は中高年層の市場だけに依存してはならず、伝統文化を継承すると同時に、積極的にイノベーションを進め、味、材料、月餅の外観デザイン、パッケージなどで、自社ブランドの影響力を利用しつつ、人気と特徴を備えた新しい商品を打ち出していかなければならない」と述べる。(編集KS)