アップルの超高価格新機種、中国ブランドにチャンス?―中国メディア

人民網日本語版    2018年9月19日(水) 5時20分

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北京時間13日未明、米アップル社は新製品発表会で携帯電話の新モデル3機種を発表した。このうち価格が最も高いのはiPhone XS Maxの512ギガバイト(GB)モデルで1万2799元(約20万円)となり、普及版のiPhoneでは過去最高値を更新した。

北京時間13日未明、米アップル社は新製品発表会で携帯電話の新モデル3機種を発表した。このうち価格が最も高いのはiPhone XS Maxの512ギガバイト(GB)モデルで1万2799元(約20万円)となり、普及版のiPhoneでは過去最高値を更新した。「世界一高いiPhoneではないが、普及版としては価格はMAX」で、ティム・クック最高経営責任者(CEO)が率いるアップルが、携帯電話のぜいたく品ブランド化の道をひた走っていることは確かだ。そして新製品発表会よりも「熱かった」のはネットユーザーたちから次々に寄せられるツッコミで、華為(ファーウェイ)の余承東(ユー・チョンドン)CEO(消費者業務担当)までもが思わず中国版ツイッター・微博(ウェイボー)で、「やられた!でも『アップルファン』のがっかり(するような高値)により、中国国産携帯電話はハイエンド端末市場で失地回復の貴重なチャンスを迎えることができるのでは?」とつぶやいた。北京日報が伝えた。

■革新は少なめ、値上がりは多め

クック氏は発表会でアップルファンに向かい、「アップルは『S』シリーズをバージョンアップする方向性を維持し、ディスプレイサイズが5.8インチのiPhone XSと6.5インチのiPhone XS MAXの2種類を打ち出す」と発表。今回発表された9モデルのうち、6499元のiPhone XR 64GBモデルが最も低価格で、その他は中国国産端末がこれまで到達したこともないような超高価格だ。

また、XSは256GBが1万99元、512GBが1万1899元。最高機種のXS MAXは256GBが1万999元、512GBが1万2799元で、普及版としては「史上最高値のiPhone」と呼ばれる。新機種の一部は9月14日に中国市場での予約受付が始まり、21日に発売される。

今回の発表会では、価格以外にアップルファンに深い印象を与えるものはなかった。iPhone Xに比べて、XSのバージョンアップはバッテリー持続時間が30分ほど延びたこと、防水性能の水深が1メートルから2メートルになったこと、プロセッサに次世代ニューラルエンジンが搭載されたことなどにとどまり、物足りなさを感じる。また、XS MAXもXSのバージョンアップにディスプレーの大型化が加わったに過ぎない。

新iPhone発表の全プロセスのうち、ほぼ半分が搭載された高性能チップの紹介に費やされ、ゲームの画面がよりクリアになる、写真の処理速度が上がる、ポートレートモードで写真を撮るとボケ具合を調節するなどと説明された。だが夏に熱くなった本体の放熱をどうするか、エアコンから離れてゲームしたり動画を見たりするとトラブルが起きる問題は、まだ解決策が示されていない。

ネットユーザーの鋭い観察によると、2017年の主力機種Xが、この発表会の後でアップル公式サイトからひっそり姿を消したという。アップルにXを生産停止したのか問い合わせたが、「製造ラインの情報は公開しない。本日よりユーザーは公式チャンネルでiPhone XとiPhone SEを購入できなくなったとだけお伝えする」とどっちつかずの回答だった。

■デュアルSIM・デュアルスタンバイがやっと実現

新機種が性能面でアップルファンの関心を最も引いたのは、XS MAXで初めてデュアルSIM・デュアルスタンバイ(DSDS)に対応するようになったことだ。中国市場のみ物理的に2つのSIMスロットを備えたモデルを打ち出し、アップルが特定国向けにハードウェアの配置に手を加えた初めてのケースになる。その他の市場では一つは物理的SIM、もう一つはeSIMになる。

スティーブ・ジョブズ氏が11年前にiPhoneの初代機を発表した当時、DSDS対応の携帯電話は中国市場にはほとんど出回っていなかった。そして中国市場でDSDS対応ニーズが高まった今頃になってやっと対応するようになった。運営商世界網の康ショウCEOも、「アップルは中国市場のニーズへの対応が明らかに遅すぎる」との見方を示す。

康CEOの分析では、「アップル端末の利益は大きいが、スマートフォン市場が衰退し初め、業界では競争がますます熾烈なものになり、中国メーカーが猛烈に追い上げる今、アップル製品の売り上げ増加率は微々たるものだ。iPhoneの市場シェアは2015年の16.1%から17年は14.7%に低下した。アップルの今年第1四半期決算ではiPhone販売量が前年同期比1%減少した。前に進み続けるため、アップルはDSDS対応機種を打ち出すなどの方法で、新たな顧客の掘り起こしをせざるを得なくなっており、これまでDSDS対応機種を使っていた中高級志向の顧客をアップルに転向させ、市場シェアを拡大しようとしている」という。

■超高額の価格設定、利益は誰の手に

今年、アップルの時価総額は米国上場企業として初めて1兆ドルを達成した。だ今後の道のりは平坦とは言えない。

今回の「何の目新しさもない」新製品発表会の後、アップルの株価は1%以上値下がりしただけでなく、最終的に発表会当日の値下がり幅としては3年ぶりの最大を更新した。中国A株市場でもアップル供給チェーンの企業の株価が大幅に値下がりした。

康CEOは、「最高を更新し続ける価格がiPhone新機種の売上に影響するだろう。このことはiPhone Xが証明済みだ」と指摘する。

サプライズのない新製品発表会を受けて、これまで頑張ってアップルを追い上げてきた中国携帯ブランドはいささか胸をなで下ろしている。前出の余氏の、「よっしゃ、(新製品Mate20シリーズ発売日の)10月16日にロンドンで会いましょう」というつぶやきには、自社製品への自信がうかがえる。実際、華為は今年第2四半期に出荷量で初めてアップルを追い越した。また、錘子ブランドを擁する錘子科技の創業者・羅永浩(ルオ・ヨンハオ)氏もiPhone新機種のイメージ図のウソを皮肉ると同時に、ジョブズ氏の時代を懐かしんだ。

だがツッコミはしょせんツッコミに過ぎず、アップルの市場での優位性は揺るがない。昨年のX発売当時、ディスプレーが「前髪パッツン」だとさんざんツッコんでいたアップルファンも、しばらくためらった後は相次いで新機種を購入した。「高ければ高いほど売れる」という消費者特有の心理により、アップルの高価格路線が引き続き高級志向のユーザーをがっちりつかまえると考えられるし、華為、小米、vivoなどの中国携帯ブランドもこれまで通りアップルが確立したデザインのトレンドを追いかけている。中国ブランドがプレミアムで飛躍を遂げるのは、まだ遠い先のことかもしれない。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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