<日本人が見た中国>「新居準備」で仕事を辞めてOK、中国の男性は恵まれている?

Record China    2012年9月6日(木) 11時0分

拡大

私の最新出演ドラマ「浮沈」で、“転職”という問題が取り上げられている。以前、私に付いていた中国人の助手が突然、「結婚するので新居のリフォームをしなければならず、仕事を辞めたい」と言ってきたことがある。写真は「浮沈」劇中の矢野浩二。

(1 / 4 枚)

※中国に渡って10年。現在、「中国で最も有名な日本人俳優」と称される矢野浩二氏によるコラム。

その他の写真

上海と香港を舞台に企業の内幕を描く私の最新出演ドラマ「浮沈」で、“転職”という問題が取り上げられている。職場を離れる理由には、「こんな価値観にはついていけない」「上司とそりが合わない」など、いろいろある。

以前、私に付いていた中国人の助手が突然、「仕事を辞めたい」と言ってきた。事情を尋ねると、「結婚するので新居のリフォームをしなければならない」ということらしい。それを聞いた時、私の頭に浮かんだのは「?」だった。自宅の内装のため、彼がなぜ仕事を辞める必要があるのか、理解ができなかった。

中国では多くの親が、子供(特に息子)への結婚祝いとして、家をプレゼントする。あるいは、マイホームの購入資金を援助する。それを聞いた時、「中国の男性はなんと恵まれているんだ!」と思った。日本には親が子供に家をプレゼントするような習わしはない。私の実家は裕福ではなかったので、最初からそのような期待もしていなかった。自分の人生は自分で設計するという気概でいた。

前出の彼だけではない。かつて私の下で働いた助手たちは、恥ずかしながらいずれも半年〜1年で離職していった。もしかすると、私自身が付き人経験者ということで、若い人に対して少々厳しいのかもしれない。付き人という仕事は大変な仕事だ。待遇も良くないし、土日の休みはあってないようなもの。割に合わない職種である。将来に何か目的や夢がある人ならば、それを人生の鍛錬として受け止め、続けることができるだろう。でも、その情熱は最初の面接の時だけのようなケースが多い。

ある人は、「親にもそんな口をきかれたことがない!もう耐えられない!」と言って、半年で泣きながら辞めていった。ある人は、「この仕事をやっても意味がないと感じた」と言って去っていった。日本人である私に厳しく罵倒されたことで、トラウマにならないか?ふと、心配になったほどだ。

日本でも、ある新聞の調査で「働くことへの目的意識が持てない」「将来に対する期待や夢が持てない」といった学生が多いということが明らかになっている。若者の「職業意識の未熟さ」「ハングリー精神の希薄化」は、全世界に通じる問題なのかもしれない。職場で問題に直面した場合、“耐える”“克服する”という考えが浮かばない。それよりも、職場を離れることで問題を回避し、正当化する、いわゆる“逃げ”の傾向が多い。

私には息子はいないが、将来もし男の子を授かったら、“かわいい子には旅をさせろ”でいきたい。もちろん、18歳までは親の責任の下で面倒を見る。しかし、それ以降は「自分で生きろ!」と言いたい。少なくとも家をプレゼントするつもりもなければ、家をリフォームすることを理由に「仕事を辞めてもいい」と言うつもりは、毛頭ない(笑)。

●矢野浩二(やの・こうじ)

バーテンダー、俳優の運転手兼付き人を経てTVドラマのエキストラに。2000年、中国ドラマ「永遠の恋人(原題:永恒恋人)」に出演し、翌年に渡中。中国現地のドラマや映画に多数出演するほか、トップ人気のバラエティー番組「天天向上」レギュラーを務める。現在、中国で最も有名な日本人俳優。2011年、中国共産党機関紙・人民日報傘下の「環球時報」主催「2010 Awards of the year」で最優秀外国人俳優賞を日本人として初受賞。中国での活動10年となる同年10月、自叙伝「大陸俳優 中国に愛された男」(ヨシモトブックス)を出版。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携