中国ビジネス「時流自在」13■中国富裕層の落とし方(6)買わせる4つの必殺技

Record China    2012年9月4日(火) 7時21分

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これまでの中国消費者のハートを掴む効果的な商法に続いて、今回はさらに踏み込んだ具体的「必殺技」について解説したい。写真は北京の繁華街・王府井。

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これまでの中国消費者のハートを掴む効果的な商法に続いて、今回はさらに踏み込んだ具体的「必殺技」について解説したい。

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1、人目を引く「拉驢」商法

ある日、見知らぬ男が驢馬(ろば)の引く屋台を連れて町の広場にやってくる。子どもたちがはやしたて、大人たちが何事かと様子を見に来る、そこで男はおもむろに人目を引く珍しい商品を広げ、商売を始める。こんな商法を中国語で「拉驢」(驢馬引き)商法という。実際には驢馬ではなくても、何かで人目を引いて人々を驚かせ、まず注目を集めてからおもむろに本題に入る商法である。

時には派手な宣伝だけでなく、うわさ、特に幹部など影響力のある人からの「クチコミ」を利用したゲリラ宣伝も活用される。たとえば、あまり派手な宣伝が好まれない北京のような都市では、政府、党や国有企業幹部の奥様方にまず試食会や体験会を開き、サンプルを配布し、その「傘下」に良い思いをクチコミで伝えてもらうといった方法である。

一般に人目を引く商品としては、激辛系、超大盛のような極端なもの、あるいは「食べるラー油」や「豪華大肉まん」のような意外性のある新商品、「もずく」やキノコ料理のような中国未知の食品など、奇抜であれば何でも良い。さらに、茶道や華道のような体験型、3D体験のような新進性、海鮮釣り料理屋のように娯楽性があり、決して顧客満足の原則をはずさず、競争力ある価格と豊富な品揃えと経験が提供できれば、中国顧客の眼を引くことは間違いないだろう。その意味では、外国企業のほうが情報と経験が豊富なだけ有利と言える。必要とされるのは臨機応変な柔軟性と現地開発力なのである。

2、破格の安値

 中国の店頭では8割引、9割引のタイムセールも珍しくない。「いま買わないと損をする!」と思わせる「その場限り商法」である。日本製品を売るのであれば、「日本で買うより○割安い!」という判りやすい表現もできるだろう。もともと中国では、気に入った商品はその場で買わないと、次に来た時にはもう無いということが多い。商談においても同じである。日本式の「持ち帰って協議する」という回答は、拝辞と受け止められる。日本で中国人客相手であれば、「中国で買うより○割安い!」という表示になる。

以前の国営企業供給品の流通ルートよりも、直接、製造元、卸元、地主、版元から商品をより安く仕入れようとする交渉も多く、逆に相手方は「より多く、より高く」非常に強気の交渉を押してくる。中国の街角の屋台ではメーカー工場の横流品や韓国台湾からの携帯輸入商品、類似品、コピー品なども破格の安値で売られている。中には自分で造って売っている商店もあり、街角で定価の二割引というタバコを買って開けたら、中味が二本少なかったという経験もある。

入札による場合も、情報はほとんど筒抜けで、多くはコネやリベートで落札した後に、非常にハードな本格的価格交渉が待っている。売れ筋商品は転売に転売、孫売りが重ねられて、末端価格は吊り上げられていく。たとえ売れ筋商品となっても、流通がブラックボツクスになれば、メーカーはただ安値で供給するだけの立場になってしまうのである。

このような市場環境の中で勝ち残るためには、まず価格競争力を持たなければ始まらない。そのためには中国内で原料、材料、部品類を調達し、現地コストで生産した商品でなければ価格競争力は無く、また商品流通管理も手中に収める必要が出てくる。成功企業の共通した特徴は、財務経理、購買、在庫など、管理がしっかりした会社である。

最近の人民元レート上昇趨勢を背景に、ベトナム、ラオス、カンボジアなど東南アジアで製造した日本ブランド品を中国市場に輸入して利益を挙げる方法もある。

3、わがままな個性に合わせられる商材の多様性

「価格は中国、技術はドイツ、サービスは日本」という言葉を聞いたことがあるだろうか?それほど中国消費者の眼は厳しく、日本製品のアフターサービスに対する評価も高い。良質な日本ブランド商品で、国産化等により中国庶民でも手が出せる程度の少し高めの価格設定ができれば、最後はアフターサービスの高評価が決め手となるのだ。

ひとつの典型的な例として、中国消費者の見栄張り心理をくすぐる、「VIP感覚」商法、いわゆる「個人得意様コンシェルジュ」商法がある。これは日本の百貨店にも古くから存在する「顧客差別化」商法だが、これが中国富裕層からも大歓迎されている。自分だけ特別扱いの個別接待商法は、もともと社会主義中国では本当の幹部以外には存在し得ないからである。

メリハリをつけた顧客の差別化により、富裕層リターン客を確実に狙い、クレームにも親切に個別のアフターサービス対応する。自分と家族の満足のためには金に糸目をつけない中国人富裕層と、顧客満足のために心から奉仕する日本商人の組み合わせは、実はこれからベストの組み合わせになるのかもしれない。

4、日本での中国人客受け入れ秘策

中国では中国語応対が当然である。しかし、困ったことに彼らが日本に来た時も、日本語や英語は通じず、中国語で対応しなければならない。日本の店舗や施設が中国人客を受け入れ、売上げを伸ばすためには、少なくとも以下の受入準備体制が必要である。

(1)中国語による説明表示、あるいは注意書き

(2)中国人あるいは中国語のわかる店員の常備、確保

(3)商品を手に取って見ることができる店舗構造

(4)中国の銀聯カードによる決済システム

(5)中国語案内図、クーポンの活用

(6)携帯電話翻訳サービス、中国語スマートホン、   iPad等の活用

 

ある程度は筆談すればわかる点もあるので、表に中国語、裏に日本語訳を記したカードを幾つか準備しておき、互いに指差して見せることだけでも簡単な会話が可能になる。また、写真撮影禁止や開封禁止、持込禁止など明記しておかなければ、禁止されない限りは構わない、というのが中国式発想であることも留意が必要である。

日本留学生などを通訳店員としてアルバイト雇用するのも有効である。初めての日本旅行で、頼まれた買い物以外に、なかなか自分の欲しいものが言い出せない、わからないで戸惑っている中国人客の心の底にある本当の買い物ニーズに会話でアクセスして、真の要望を引き出す会話力、洞察力があればベストである。

(<時流自在>は筧武雄・チャイナ・インフォメーション21代表によるコラム記事)

<筧武雄氏プロフィール>

一橋大学経済学部卒北京大学留学、横浜銀行北京事務所初代駐在員、同行アジアデスク長、海外経済協力基金(OECF)派遣出向などを経てチャイナ・インフォメーション21を設立。横浜国立大学経済学部非常勤講師、神奈川県産業貿易振興協会国際ビジネスアドバイザーなど多くの役職を経て、現在も横浜市企業経営支援財団グローバルビジネスエキスパートなど、日本企業を支援する中国ビジネスコンサルタントとして活躍中。

9月7日(金)午後1時半〜、神奈川県民センター2F大ホールで「中国ビジネス」セミナー開催。「時流自在」愛読者の方は先着30名様無料ご招待します。

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