<全文掲載>アリババ創業者のジャック・マー会長がメッセージ、1年後の引退を宣言

Record China    2018年9月10日(月) 18時10分

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中国大手IT・EC会社の阿里巴巴(アリババ)集団の創業者である馬雲(ジャック・マー)氏が10日、1年後に引退する声明を発表した。声明文には「再び教室に戻る」と書かれた黒板の前に立つ自らの写真を添えた。

中国大手IT・EC会社の阿里巴巴(アリババ)集団の創業者である馬雲ジャック・マー)氏が10日、1年後の引退を発表した。10日は中国で公式な祝日とされる教師の日。馬氏はアリババ創業以前に教師を務めており、これまでも教育関連の公益事業に復帰したいとの考えを示していた。声明文には「再び教室に戻る」と書かれた黒板の前に立つ自らの写真を添えた。以下は、引退発表の声明全文の日本語訳。小見出しは翻訳時に追加。

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教師の日、おめでとう!

アリババのお客様、関係者、アリババへの投資家の皆さんへ:

本日はアリババ(設立)19周年です。私は大いなる感動をもって皆さまに宣言します。役員会の了承を経て、1年後の本日、つまり2019年9月10日のアリババ20周年に、私はアリババグループの役員会会長を引退します。現在はアリババグループのCEOである張勇氏が会長職を引き継ぎます。私は本日より、張氏に全面的に協力し、組織の移行の準備をいたします。私は2020年のアリババ株主総会までアリババ集団の役員として残ります。

■アリババは個人指導型でなく組織が支える企業にすでに変化した

この決定は私が熟慮したものであり、20年間をかけて真剣に準備した計画でした。本日実現できたことについて、アリババのパートナーの賛同に感謝し、アリババ役員会の了承に感謝し、アリババ関係者とその家族に感謝せねばなりません。なぜならまさに、19年間に渡り皆さんが私を信任し、支持して共に努力したからこそ、私たちは自信と能力をもって本日という日を迎えられたからです。このことは、アリババが、個人の資質が支える体制から、組織のメカニズムと人材文化が支える企業へのステップアップを完成したことを意味します。

仲間と共にアリババを設立した1990年時点で、私たちは世界に誇れる中国企業を作ろうと志していました。102年間にわたり存続できる会社を作ろうと思っていました。私たちのどの1人も、102年も会社と共に歩むことはできないとは分かっていました。会社とは、統治制度と(企業)文化、不断に供給される人材チームにより発展を持続できるものです。ましてや、能力面でも精力や体力の面でも、会社のCEOや会長を永遠に努める者などいないと、私にははっきりと分かっています。

■アリババは、さらに多くの「馬雲」を必要としている

私は10年前に、自分自身に対してこのテーマを問い、馬雲が会社を離れてからもアリババを健全に発展させるためにはどうすればよいかを考えました。私たちは、一連の制度と一連の独特の文化を形成し、数多くの人材からなる後継者の体系を育成し鍛錬することだけが、企業を伝承し発展させるという難しい問題の解決策と信じています。そこで過去10年間に渡り、私たちはたゆまずに努力と実践を続けてきました。

私が受けた教育は、私をひとりの教師にしました。今日まで歩んでこられ、私は非常に幸運でした。会社の未来、そして自らに対する責任を果たすために、会社においてはさらに若く、更に能力があり才能を示す人に、指導者の仕事をしてもらうべきです。「この天下に、できないビジネスはない」という、この偉大な使命を継続し伝承させるべきです。

私たちは、全世界の中小企業、若い人、女性の発展を助けるという使命と願いを持っています。私たちは、この使命と願いに強く感動しています。これが私たちの初心であり、私たちの福音であり、私たちの責任です。このような使命を信じ実現させるためにこそ、さらに多くの馬雲が必要であり、何代にもわたるアリババ人が奮闘せねばならないのです。

■教師出身者として、現在のアリババに誇りを感じる

今日のアリババで最もすばらしい点は、業務でも、規模でも、これまでに獲得した業績でもありません。最も素晴らしいのは、私たちが本物の使命とビジョンにもとづき前進する企業になったことです。私たちは新たなパートナー制度を創出し、独特の文化と良質で潮のように湧き出る人材グループを創出し、会社を伝承するための制度上の堅実な基礎を築きました。実際に、私が2013年にCEO職を退いてからも、私たちはこのメカニズムにより5年間を順調に推移することができました。

私たちが創出したパートナーのメカニズムは、規模が大きな会社の刷新能力の問題、指導者の後継問題、未来を担う力の問題、文化の継承の問題を解決しました。過去数年、私たちは私たちの制度と人材文化の体系を絶えず検討し、改善してきました。人だけに頼っても、制度だけに頼っても、問題は解決できません。制度と人、そして文化が完全に結合してこそ、会社を健全に発展させていくことができます。今日のアリババのパートナー制度とアリババが守っている文化により、いずれはより多くのお客様を獲得し、職員や株主の支持と助力も強まると深く信じています。

1999年に創業した日から、私たちは将来のアリババには「良将を潮のように輩出する」人材集団と代を重ねて発展する後継者システムが必要だと表明してきました。19年間の努力を経て、今日のアリババは、人材の質と量において世界一流と称してさしつかえないようになりました。教師出身の私としては、私たちの今日のメンバー、指導層、使命と価値観により前進する独特の文化、さらに張勇氏に代表される不断に出現するビジネス指導者と専門的人材を目にして、強い誇りを感じています。

■アリババの「聖火」は張勇CEOに手渡す

張勇氏がアリババに加わって11年が経過しました。アリババ集団のCEOに就任して以来、張氏は卓越したビジネスの才能と堅実沈着な指導力を発揮してきました。アリババの業績は13四半期連続で、健全に成長を続けました。

張氏はスーパーコンピューターのような論理と思考の能力と堅固な使命感やビジョンを持ち、勇敢に、かつ全感情を注いで仕事に取り組み、立脚点を敢えて、未来における刷新のためにデザインされた新型のビジネスモデルと業態に置きました。彼は2018年の最も優秀なCEOの筆頭との評価を得ました。この栄誉に恥じることのない存在なのです。彼と彼のチームはすでに、お客様と職員、株主の信任と指示を得ています。アリババの聖火は彼と彼のチームに手渡されるのです。私はこのことを、私がなすべき、最も正しい決定と認識しています。過去数年に私と張勇氏が行った協力の経緯を根拠として、私は彼と彼が指導する新たなアリババの指導陣に心からの信頼を置いています。

■自分自身は、若いうちにやりたいことが多くある

自分自身の将来について、私はすばらしい夢を多く持っています。皆さんは、私が物事をしない状態に耐えられない人物とご存じでしょう。アリババのパートナーでありつづけ、パートナーの組織のために努力と貢献する以外に、私は教育の世界に戻ろうと考えています。私が熱愛することに従事して、私はこの上ない興奮と幸福を感じるでしょう。改めて申し上げます。世界はとても大きいのです。私にはまだ若いうちに、試したいことがたくさんあるのです。これが実現できたらどれだけすばらしいでしょうか。

私は皆さんに申し上げます。アリババはもともと、馬雲のものではないのです。しかし馬雲は永遠に、アリババのものです。

馬雲

2018年9月10日。

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馬雲氏には6年間にわたり教師を務めた経歴があり、これまでにも「私が最も好きな職業は教師だ」などの発言がある。このところは教育関連の公益事業に力を入れており、馬雲公益基金を設立するなどしている。持論は「高等教育より基礎教育に力を入れるべき」「農村地区や貧困地区にどれだけ教育資源を投入するかが、国としての文明の度合いの指標」など。(翻訳・編集/如月隼人

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