堤防決壊、渦巻く濁流を抑えるため大型ダンプで突入=運転していた村長は重傷―山東省

Record China    2018年8月31日(金) 23時50分

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山東省・寿光市で20日、大雨の影響で川が増水し堤防が決壊した。決壊場所の拡大が止まらない。そこで、地元の張春海村長は、自家用の大型ダンプカーを決壊場所に突入させる決断をした。写真は治療中の張村長など。

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山東省・寿光市は20日、台風に伴う大雨の影響で川が増水。堤防が決壊した。決壊場所はじわじわと広がる。渦巻く濁流が村に流れ込む。建設廃材などを投入したが効果が出ない。現場に駆けつけた復盛村の張春海村民委員会主任(村長)は決断した。「オレの大型ダンプを使うしかない。運転して突っ込む」……。山東省メディアの大衆網などが伝えた。

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寿光市が台風に見舞われたのは19日だった。20日午前に、雨は小降りになってきた。ところが、現地を流れる弥河の水位が上昇しはじめた。止まらない。広大な大地の中国では、離れた場所で発生した大雨の影響が、時間がたってから下流地域に及ぶことが珍しくない。地元当局は、被害が予想される後牟城東村、後牟城西村、安全牟村、田疃村の4村の住人4000人余りを緊急避難させた。

とうとう堤防の一部が決壊した。そこで建築廃材などで決壊部分を埋めることになった。連絡を受けた復盛村の張春海村長は、自家用の大型ダンプカーに石材など30トンを積んで急行した。現場に到着した時、廃材などの投入は始まっていた。しかしすぐに、濁流に押し流されてしまう。「上手くいかない!」と嘆きの声を上げる人も出はじめた。

そこで、廃材を積んだトラックそのものを投入することに決まった。ショベルカーでトラックを後押しして、堤防の決壊部分に投入する。ところが、投入されたトラックは水をうまくせき止めず、流されてしまう。無人のトラックを後押しして投入するので、場所や角度を定めることができなかったからとみられる。決壊部分の長さは20メートルほどに広がった。

張村長は、これではダメだと思った。地元の幹部らが新しいやり方について相談を初めていたが、結論が出るのを待ってはいられなかった。「オレにやらせてくれ!」と叫んで、ダンプカーの運転台に上った。

2012年に45万元(約730万円)をはたいて買った自慢の車だ。村内に、張村長のダンプカーほど大きなトラック類を持っている人はいない。それでも、迷ってはいられなかった。廃材を積んでいるので、重量は50トンを超えている。村々に流れ込む濁流の勢いを弱め、堤防が応急修理をできる状態にするための「最後の切り札」のはずだった。

張村長はダンプカーを慎重に進めた。突入個所と角度を間違えたら、愛車を犠牲にすることの意味がなくなってしまう。しかし決壊場所に近づきすぎれば、ゆるくなった堤防が崩壊して、逃げる間もなくトラックごと濁流に飲み込まれるかもしれない。

人々が口々に「早く飛び降りろ!」「降りろ!」と叫びはじめた。しかし張村長は粘った。「これ以上、乗っていたのでは、本当に危ない」と思った直後に、運転台から飛び降りた。張村長は右足を地面に打ちつけた。立ち上がったが歩けない。左足だけで飛び跳ねながら退いた。ダンプカーの後方からショベルカーが「最後の一押し」をした。ダンプカーは濁流の中に転落した。

ダンプカーは流されなかった。まだ濁流の一部だったが水をせき止めた。集まった人々は、張村長のダンプカーの周辺に、別のトラックを投入しはじめた。計17台を投入したが、もはや、流されてしまう車はなかった。後は石材や廃材でトラックの間を埋めていけばよい。堤防の応急修理が本格化した。

後牟城西村幹部の王永寿氏は「間違いなく、張村長のダンプカーが決定的でした」と説明した。最も大型で最も重量のあるダンプカーが理想的な場所で水をせき止めてくれたため、ダンプカーに比べれば小さなトラックを投入しても流されず、水の勢いを抑えてくれたからだ。「決壊部分をふさぐことができた時、民家にはすでに20センチメートルほど浸水していました。でも、倒壊した家はなく、死傷者も出ませんでした」という。

張村長は右足を粉砕骨折していた。骨が細かく破砕される重傷だ。27日になり、金属により骨を固定する手術を受けた。取材に対して「あの時は、怖さを少しも感じていませんでした。とにかく、水を止めてやろうとだけ思っていました」と回答した。ただし、後になり現場で撮影した映像を見せてもらって「ちょっと怖くなりました」という。張村長は「あんなにすごい水だったんですねえ」と言って笑った。

現地では張村長以外にも、水圧で壊れかけた水門にトラックでかけつけ、トラックで水門を支えた住人がいる。支え切れなければ、破壊された水門から噴出する濁流でトラックごと流されかねない、危険な作業だった。

住人の名は李新江さん。李さんは工場を経営している。工場の被害を軽減するよりも水門を守ることを優先したので、工場内の機器や製品である衣料品の大半が水につかってしまった。李さんは「後悔していません」と明言した。水門が破壊された場合、周辺地域がどのような惨状に見舞われるか、よく分かっているからだ。

広大な大陸であるだけに、中国ではこれまで、大規模かつ極めて深刻な水害が何度も発生してきた。歴史を通じての悲惨な記憶が蓄積しているだけに、「危急の際には何を差し置いても水との戦い」との意識は旺盛であるようだ。(翻訳・編集/如月隼人

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