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米国防総省「中国が核兵器・先制不使用の政策を転換した可能性」、中国報道官「笑える」

配信日時:2018年8月29日(水) 8時50分
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米国防総省が27日、中国が核兵器の「先制不使用」の政策を転換した可能性があるとの見方を示したことについて、中国政府外交部の華春瑩報道官(資料写真)は28日の定例記者会見で「十分に笑えてしまう」などと述べた。

米国防総省が27日、中国が核兵器の「先制不使用」の政策を転換した可能性があるとの見方を示したことについて、中国政府外交部の華春瑩報道官は28日の定例記者会見で「十分に笑えてしまう」などと述べた。

中国は1964年に初めて核実験を実施した際に、「中国はいかなる時もいかなる場合でも核兵器を先制使用せず、非核兵器国及び地域に核兵器を使用しない」と宣言し、同宣言を順守すると繰り返し表明してきた。

しかし、習近平政権が発足した2012年秋ごろからは、当局者以外のよる同宣言を見直すべきだとの主張が以前よりも目立つようになった。

米国防総省は27日の発表で、通常兵器による攻撃で体制や核部隊が危機にさらされると判断した場合は、核使用を辞さないとの見解が中国軍部で浮上していると懸念を示した。年次報告書で核の先制使用を中国指導部が支持したことを示す明確な証拠はないとした上で「中国の不透明な核近代化計画は、疑念を抱かせるのに十分だ」と論じた。

華報道官は、米国防総省の報告書について「中国に対するいわれのなき非難だ。十分に笑えてしまう」などと表明。「中国政府はいかなる時でも、いかなる状況でも、核兵器の先制使用は行わないと厳粛に表明している」「中国は終始一貫してこの約束を堅持し、自衛防御的な核戦略を行っている」「中国の核戦力は国家の安全のために必要な最低水準であり、いかなる国家への脅威にもなっていない。われわれは、中国側の政策意図を思うがままに歪曲し、自らの核装備を増強する口実とする拙劣なやり方に断固として反対する」と述べた。

中国が1964年に初の核実験を実施すると同時に「核の先制攻撃の否定」を宣言したことは、当時の中国の外交手法の典型的な例のひとつだ。当時の中国は、「国益の実利」確保を目指す際に、「大義」を強調することが多かった。

核兵器に関連する中国の状況としてはまず、長大な国境を持つソ連との対立が激化していたことがある。また朝鮮戦争における主たる敵国だった米国との対立も極めて厳しかった。中国が核兵器を開発したのは、米国やソ連からの核攻撃を恐れたからと言ってよい。しかし実際に核兵器を保有すればかえって、「中国の核兵器使用」を確信したソ連または米国との全面戦争が誘発される恐れも出てくる。仮に核戦争になれば、ソ連や米国と比べれば核兵器の保有数でも性能でも圧倒的に劣勢な中国は、ひとたまりもない。

そのため、核の先制攻撃の否定をいち早く宣言し、核兵器保有を「完全に防衛目的」で「先制攻撃はしない」と主張することは、中国にとって「国益の実利」に合致していた。ソ連や米国にしても、中国に核攻撃することが国際政治上、極めて難しくなるからだ。仮にソ連が中国に対して核先制攻撃を実施すれば、ソ連は米国に対して「核先制攻撃」の前例を与えることになる。米国が中国を核先制攻撃をしても同様だ。

中国は「核先制攻撃を否定」を強調することで、「核の三すくみ状態」を成立させ、核兵器を保有していることによる「発言権」と「影響力」を最大に取得したことになる。

また中国の宣言は、中国の核保有に反対する国際世論を弱める効果もあった。日本でも親中派の一部から「そもそも悪いのは、核兵器を大量に保有する米国だ。中国の保有はやむをえない」といった主張が出た。

中国の外交手法は1980年代ごろからのトウ小平時代になると、「大義強調」のトーンはやや弱まり、「経済利益の共有」と「武断的側面は見せないようにする」が目立つようになった。江沢民時代、胡錦濤時代も、基本的にはトウ小平の外交手法を踏襲。しかし、2012年秋に習近平政権が発足すると、中国の「武断的な動き」が目立つようになった。ただし2016年ごろになると、武断的な動きの抑制も目立つようになった。「失うものが大きい」として軌道修正したとの見方がある。

一方で、米国国防総省が発表する見解には現在も、中国が最も「武断的」な傾向を強く示していた時期の状況にもとづくと理解できる場合が少なくない。そのため、中国の脅威を強調することで、予算獲得を有利にするための議会対策の側面があるとの見方がある。(翻訳・編集/如月隼人

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