七夕の夜の「ロマンチックで残酷な愛のプレゼント」―野生ホタルを大量捕獲して販売、生息地で「絶滅の危機」の指摘も

Record China    2018年8月19日(日) 20時50分

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中国新聞網など中国の多くのメディアは17日、公式サイトやSNSを通じて、「七夕の残酷なプレゼント、多くの人はまだ知らない」などの見出しで、商用目的による野生ホタルの大量捕獲と販売の問題を指摘する記事を発表した。

中国新聞網など中国の多くのメディアは17日、公式サイトやSNSを通じて、「七夕の残酷なプレゼント、多くの人はまだ知らない」などの見出しで、商用目的による野生ホタルの大量捕獲と販売の問題を指摘する記事を発表した。

17日は旧暦7月7日の七夕節だった。中国では2月14日のバレンタインデーと並んで「情人節(チンレンジエ=恋人の日)」される日だ。ここ数年、男性側から女性へのプレゼントとして人気なのが「ホタル」だ。

ふたりで屋外に出る。生きたホタルの入った缶を開ける。かそけき光を放つホタルが姿を現す。暗闇の中に光の筋を残しながら、ホタルはどこへともなく飛んでいく。恋するふたりの雰囲気は、いやがおうにも高まる。

記事は、「こんなすばらしい情景も、言ってみれば残酷なロマン」と指摘。まず、放されたホタルが生き延びることはない。さらに大切なのは、ホタルの発光は繁殖のための相手探しのためということだ。生息地で捕獲されたホタルは、遠隔の地で放されても子孫を残すことは絶望的だ。個体としての生命の最後の半月を、懸命に発光しながら次の世代を残すことがホタルの宿命だ。その一生で最も大切な仕事が、人間のためにだいなしになる。

ここ数年、ネット通販などを利用する生きたホタルの販売が極めて盛んになった。卸売業者は毎年、60万元~100万元(約965万~1600万円)の利益を上げているとされる。16年には、ECサイト1つだけで、少なくとも600万匹のホタルが販売されたという。1匹当たりの価格は2~3元(約32~48円)。ホタルを人工飼育しようとしたら、1匹当たりの費用は20元(約322円)程度が必要なので、販売されているホタルはすべて野生のホタルを捕獲したものと考えてよいという。

中国はこれまでも、多くの公益団体が野生ホタルの商業利用に反対してきた。しかし関連法がないこともあり、「ホタルビジネス」は現在も盛んという。

ホタルの主要な「産地」は海南省、雲南省、江西省、広西チワン族自治区だ。これらの地域には、まだ環境汚染が進んでいない場所が残っており、灯火が少ない場所が多いことも発光を利用するホタルの求愛活動に有利だからという。

しかし、それらの地域で繁殖期直前の野生ホタルが大量に捕獲されている。輸送の途中で死んでしまうホタルが大半なので、販売量よりもはるかに多いホタルが捕獲されているとみられている。七夕のプレゼントだけでなく、各種商業イベントや結婚式などでも生きたホタルが使われる場合がある。中国メディアの環球網は2017年9月、米科学雑誌サイエンティフィック・アメリカン(電子版)の記事を引用し、中国では多くの種類のホタルが生息してきたが「ニーズの激増によりその生存が危ぶまれている」と報じた。(翻訳・編集/如月隼人

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