<コラム>親韓派も驚いた日韓の出来事、韓国の今年1年を振り返る

木口 政樹    2018年12月21日(金) 21時30分

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2017年の8月ごろからソウルを火の海にしてやるぞと威嚇的な発言を続けていた金正恩国務委員長。金委員長が「核のボタンはオレの机の上にある」と言ってのけたことから2018年は始まった。写真は板門店の韓国側。

2017年の8月ごろからソウルを火の海にしてやるぞと威嚇的な発言を続けていた首領様(金正恩<キム・ジョンウン>国務委員長)。この首領様が「核のボタンはオレの机の上にある」と言ってのけたことから2018年は始まった。今年初めのころまでは、南の人々は(筆者も含めて)いつ北から核がぶっ飛んでくるのか、本気でヒヤヒヤしていた。

しかし2月9日午後8時。平昌冬季五輪が開幕すると状況は一変した。金委員長と血の繋がった妹、金与正(キム・ヨジョン)氏が金委員長の親書をもってきていたのだった。もちろん相手は南の文在寅(ムン・ジェイン)大統領。「できるだけ早いうちに北を訪問してほしい」。それが親書の内容だった。ここから南北関係が双方のいがみ合いから仲良くしようやの方向へと大きく舵が切られる。

4月27日午前9時半、板門店の南北境界線をまたいで南の文大統領と北の首領様(金委員長)が劇的な握手をかわすことになったし、5月26日には電撃的に第二次南北首脳会談が開かれた。このとき金委員長のソウル答礼訪問が約束された。「多くの人がソウルに行くなというけれど、わたしは必ず行く」と金委員長が語ったと韓国のある国会議員が明らかにした。が、今年中の答礼訪問は事実上困難な状況だ。

そして6月12日にはシンガポールのカペラホテルで歴史的な米朝首脳会談が行なわれた。米朝首脳による共同声明に署名はされたものの、惜しくも声明の内容にCVIDの文言はなかった。CVIDとはご存知の通り、「完全(Complete)かつ検証可能(Verifiable)で不可逆的(Irreversible)な非核化(Denuclearization)」を意味する英語の頭文字を並べた記号だ。

6月12日の米朝首脳会談の成功を見たあたりまでは、「ああ、これで北の非核化もトントン拍子に進んでいくのかな」と思わせるものがあったのだけれど、どうしてどうして、そうは問屋が卸さなかった。

北の非核化および南北関係さらには米朝関係など、3人の中心人物(北、南、米)の関係はもちろん、それを取り巻く中国、日本、ロシアなど脇役たちの関係もそんなに具合よく進んでいるとは言いがたい様相だ。

長く膠着(こうちゃく)状態が続いているので、文大統領の人気もかなり下がってきている。先日も、昼飯をともにした同僚の教授は「ムン・ジェインがしたこと、何があるんだよ?」とちょっとけんか腰で筆者にのたまうのだった。韓国人でもない筆者にそう言われても返す言葉もないのだが、「いや、ソウル火の海説がなくなっただけでも、手柄っていえるんじゃないのかね」とわたし。

核をぶっ放すぞとわめいていた首領様。もちろん本当に核がソウルに飛んでくると考えている人はいなかったけれど、「しかし尋常ではないあの首領様のこと、いつなんどき何があるかわからない」というのも大方の認識だった。上述の繰り返しになるが、股間が縮み上がっていたことは今ここに白状するしかない。

それが監視警戒所(GP)撤去で、南と北の軍人が丸腰でお互いのGP撤去跡を検証するというこれまでは想像もできなかったことが現実に起きている。決して筆者はムン・ジェインのファンではないけれど、このことだけでも偉大なる成果といえる。

さらに12月17日には南北鉄道連結のための基礎調査が終わり、12月26日には南北鉄道連結のための着工式が行なわれる予定となっている。鉄道が連結されたとき、北の兵士が汽車に乗ってどっと南に攻め入り、瞬時に南を赤化統一してしまうんじゃないのというギャグが今、南ではちょっと流行っている。でも、まあ、そうはならないことを願っているしならないであろうけれど、保守的な人々の中には結構本気で憂慮している方々もいらっしゃる。

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