北京に「一流の下水道」がない理由とは?―中国メディア

Record China    2012年7月25日(水) 8時1分

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24日、北京の豪雨が収まった後、私はインターネットで問いを発した。「北京は世界一流都市とどれだけの差があるのだろうか?」―。あるネットユーザーは「下水道の長さだけ差がある」と答えた。

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2012年7月24日、北京でこのほど発生した豪雨災害。大雨の中、同僚の車を押すのを手伝わなければ、朝陽路に水があふれ、膝まで水につかるなど思いもよらなかった。ニュースで知るまでは、まさか37人もの人が豪雨で命を落とすとは思わなかった。人民網日本語版が伝えた。

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このような感想を抱いたのは、決して私だけではないはずだ。圧倒的多数の人が同じように思ったに違いない。

大雨が止んだ後、私はインターネットで問いを発した。「北京は世界一流都市とどれだけの差があるのだろうか?」―。あるネットユーザーは「下水道の長さだけ差がある」と答えた。

下水道、また下水道だ。ここ数年、大雨が降る夏になると、下水道をめぐる論議が必ず巻き起こる。広い空間であるべきだが、実際は大変狭い下水道管という「地下の良心」が、毎回、世間の話題に上る。

さまざまなアイデアが出され、主義主張もいくつか表明され、議論は大いに盛り上がるが、その後はどうなるのか?「喉元過ぎれば熱さ忘れる」のことわざ通り、きれいさっぱり忘れてしまう。そして翌年になり、また大雨がやって来ると、同じ話を蒸し返す。延々とめぐりめぐるだけで、終わりは永遠にやって来ない。

「一流の下水道がないところに、一流の都市は存在しない」―。大雨の夜、こんなひと言が中国版ツイッター「微博(ミニブログ)」を駆け巡った。この言葉の裏には、「どうして北京には一流の下水道がないのか」という避けられない命題が潜んでいる。

一番もっともらしいのは、「歴史的負債」という理由で、「前世紀、乾燥気候の旧ソ連に倣って制定した下水道基準が極めて低い」という説明だ。どれだけ低基準かというと、「0.5年あるいは0.3年に一度の大雨に対する安全性を確保する」。つまり、1年に2、3回はあふれ出る可能性がある。現行の基準は、「1年から3年に一度の大雨に対する安全性を確保。ただし、天安門広場とオリンピック公園付近の下水管については、5年に1度の大雨が照準」に変わった。この基準が、61年ぶりの豪雨に見舞われた時、正体をさらけ出した。

発展は下を見ることをしない。ごく短い間に、北京では高層ビルが猛烈な勢いで開発され、続々と姿を現した。それに比べ、地下空間や地下排水路などの地下インフラ発展は、かなりの遅れをとった。「地上を重視、地下を軽視」という都市建設方針により、排水システムの構築スピードは、都市の発展スピードよりはるかに遅かった。専門家がかなり前に、「都市による地上と地下への投入資金は1対1であるべきだ」と指摘していた。しかし、時間と手間だけがかかり、政治的効果が見えにくい「地下のブラックボックス」に、一体誰が進んで資金を投入するだろう?

国家戦略計画にも落ち度があった。国家戦略によると、都市のスピード発展を目指す際に常につきまとう地下空間は、「市政、排水、環境保護、電力、通信」など各部門がケースバイケースで管轄すると定められている。地下を取り扱う統一調整機関というものは存在せず、それゆえ統一的な計画・建設も行われていない。従って、今年はあるパイプを地下に埋め、来年になればそこを再び掘り返し、線路を敷設する、というような事態が生じる。排水管網の改築は国家レベルでの戦略計画に組み入れられるべきであり、長期的なスタンスで全局面を俯瞰することが必要だ。

このほか、都市の冠水予防・対策面での措置も、拠り所となるものが長く存在せず、責任の所在はうやむやになったままだ。専門家は、「国家は『都市洪水防止法』を早急に制定すべきだ。都市における冠水の予防、計画、政府責任を明確にした全方位型の法律の立法化を進める必要がある」と提案している。

先見の明が不足し、計画・設計に欠陥があり、技術人材に乏しく、発展コンセプトが立ち遅れ、国家戦略に落ち度があり、資金投入が惜しまれている。あまりにも多くの「負債」が積み重なった状態。この負債をなくすことはシステム工学であり、決して一朝一夕にして完成するものではない。

北京が排水管網の改造に力を尽くしてきた事実は否定できない。「北京市『十二五(第12次五カ年計画:2011−2015年)』期間における水資源保護・利用計画」が今年2月に発表された。同計画では、2015年までに89カ所の地下貯水池を建設し、凹型立体交差橋の排水問題の解決を図ることが明言されている。2015年はわずか3年後のことだ。この時、われわれは下水道問題をめぐる議論を再び繰り返すことになるのだろうか?時間だけがその答えを知っている。(編集/TF)

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