混乱のトルコ経済、中国メディア「もう、人民元に救ってもらうしかないのでは?」

Record China    2018年8月8日(水) 5時50分

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中国メディアの毎日経済新聞は6日、トルコの経済的な混乱を紹介し、「トルコを救えるのは人民元だけなのか?」と論じる記事を発表した。

トルコ経済が混乱している。自国通貨のリラは過去1年間で対ドル為替レートが44%以上も下落した。7月の消費者物価指数(CPI)上昇率は過去14年間最高の15.85%だった。中国メディアの毎日経済新聞は6日「トルコを救えるのは人民元だけなのか?」と題する記事を発表した。

トルコは農業人口が国民のおよそ4割で、工業分野も軽工業が中心だ。しかし、粗鋼生産量ではドイツに次いで世界第8位の3750万トン(2017年実績)で、中国、ロシア、韓国に次ぐ欧州連合(EU)への主要鉄鋼輸出国の一つにもなっている。

現在のトルコ経済の最大の問題は自国通貨のリラの下落だ。トルコの場合には、経常収支の悪化などの一般的な経済要因だけでなく、対米関係の悪化が為替レートの変動の大きな要因になっている特徴がある。例えば17年10月に発生したリラの急落のきっかけは、米国とトルコが相手国民に対するビザの発給を停止したことだった。

米国の措置は、17年にトルコで発生したクーデター未遂事件に関連して、在イスタンブールの米総領事館のトルコ人職員が逮捕されたことを受けたものとされている。トルコ側の措置は、米側のビザ発給停止に対抗するものだった。

今年(18年)8月1日には、トルコで米国人牧師が長期間拘束されているされていることに対抗し、米国がトルコの閣僚2人の資産を凍結。トルコのエルドアン大統領は同月4日、米国の司法長官と内務長官にトルコ国内の資産があれば凍結すると発言。同大統領は米国の対イラン制裁にも協力しない考えも示した。米国とトルコの対立の根底には、トルコが敵視するシリア国内のクルド人武装勢力を米国が軍事支援していることがある。シリアやクルド人問題の解決が極めて難しいだけに両国の対立は今後も長く続く可能性が高い。

1日に米国がトルコ閣僚の資産凍結を発表した直後に、トルコの対米ドルレートは「心理的関門」とされる1ドル=5リラを突破した。過去1年間で対ドル為替レートが44%以上も下落した。

トルコでは、4月には10.85%だったCPI上昇率も5月には12.15%、6月には15.39%、7月には15.85%と、3カ月で5ポイント上昇して過去14年最高になった。

トルコの経済成長率は高い水準を維持している。金融危機の直撃を受けた09年以外、トルコの国内総生産(GDP)上昇率は7%以上を維持し、2桁成長を実現した年も複数ある。

しかし毎日経済新聞は「華麗なGDPの背後には債務高という残酷な現実がある」と主張。17年におけるトルコの外債残高は同国GDPの約55%である4667億ドル(約51兆9500億円)に達したと指摘。さらに、14年から貨幣供給量を毎年16%以上増やしているとして、貨幣供給の多さが物価上昇率の高さに結びついていると論じた。

トルコ中央銀行は「リラ防衛」のため、政策金利をそれまでの8%から17.75%に引き上げた。しかし、物価上昇を考えれば、トルコにおける政策金利は実質的に1%にすぎず、国外投資家の資金引き上げは止まらないとの見方がある。

エルドアン大統領は3日、今後は優先輸出先を中国、メキシコ、ロシア、インドとすると表明。さらに、同国として初めての人民元建ての債券発行を計画していると述べた。

記事は「米ドルやユーロ建ての債券市場がトルコに対して門を閉ざし始めた時、人民元建ての債券を発行できれば、トルコには巨大な資金圧力を緩和できる望みが出てくる」と主張した。

記事はさらに、ロシアが17年12月に人民元建て債券60億元(約975億円)分を発行したことや、中国が日本企業に対して中国国内市場での人民元建て債券の発行を解禁したことから、三菱UFJ銀行とみずほ銀行がそれぞれ、中国国内で温ショア人民元建て債券、いわゆる「パンダ債」を発行したことにも触れ、「ますます多くの国が、人民元を決済手段として認めていることは、人民元の国際化の過程における重大な成果だ」と論じた。(翻訳・編集/如月隼人

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