日本の仮想通貨産業は曲がり角に来たのか?―中国メディア

人民網日本語版    2018年8月2日(木) 5時40分

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18年6月23日には、ビットコインが今年初めて1ビットコイン6000ドルの心理的に重要なラインを割り込み、年初に比べて約70%も下落した。意外だったのは、今回の大幅下落の導火線が、これまで仮想通貨がよく育つ土壌とみなされてきた日本にあったことだ。

2017年12月以降、ビットコインを代表とする仮想通貨がピークを迎えて衰退に転じ、現在は劣勢が続いている。18年6月23日には、ビットコインが今年初めて1ビットコイン6000ドルの心理的に重要なラインを割り込み、年初に比べて約70%も下落した。意外だったのは、今回の大幅下落の導火線が、これまで仮想通貨がよく育つ土壌とみなされてきた日本にあったことだ。雑誌「環球」が伝えた。

■政策と市場の弱材料が次々

これまで長い間、中国、日本、米国、韓国など数カ国がビットコインをはじめとする仮想通貨取引の勢力図の中で圧倒的かつ主導的な位置を占めてきた。17年9月4日に中国が仮想通貨の新規公開(ICO)を段階的に停止するとし、仮想通貨取引所が人民元建ての直接取引を一時停止にすると、日本が中国を抜いて仮想通貨取引量が世界で最も多い国になった。

だが日本が最近打ち出した一連の措置をみると、日本での仮想通貨の未来は決して楽観できるものではないと考えられる。

業界関係者によると、「今回ビットコインが6000ドルという心理的ラインを下回った直接の原因は日本にある」という。6月中旬、日本の金融庁はビットフライヤー、ビットバンクを含む仮想通貨取引所6カ所に業務改善命令を出した。公告によると、対象の取引所の改善点として、適正で確実な業務運営を確保すること、マネー・ロンダリング及びテロ資金供与対策を策定すること、利用者情報の安全管理態勢を構築することなどが挙げられる。

金融庁はこのたびの業務改善命令について、「登録申請を拒否しているのではなく、業務改善命令だ。取引所の管理の改善状況が仮想通貨の発展ペースに追いついていないということだ」と説明した。だが実際には、金融庁は少し前に仮想通貨取引所の登録申請を拒否し、横浜市に本社があるFSHOを「不合格」とした。

投資家の劉鵬さんは、「政府の監督管理の方向性はこれまでずっと仮想通貨の価格に直接影響を与える最重要要因となっていた。日本までもが仮想通貨のドアを完全に閉めてしまうなら、ビッドコインが一気に不振に陥るかもしれず、そんなことは考えたくもない」と懸念を語る。

財経専門サイトFxstreetのアナリスト・タニヤさんは、「日本の監督管理機関は仮想通貨運営業者への締め付けを強化しており、取引所や企業が次々に日本から撤退している。このことがビットコインや他の仮想通貨に圧力をかける事態は避けられないだろう。現在、火幣Pro、米国のKrakenやBigONEといったプラットフォームが日本のユーザー向けサービスを一時停止すると相次いで発表している」と述べた。

年初以来、日本は仮想通貨の監督管理を強化し、次々に措置を打ち出してきた。国によって、取引プラットフォームによって仮想通貨の価格が異なるので、さや取りのチャンスがあり、これまでは「仮想通貨転がし」を好む投資家に利用されてきた。そこで金融庁は対策を検討し始め、仮想通貨取引のレバレッジを規制することを考えるようになった。

日本仮想通貨事業者協会(JCBA)は匿名性仮想通貨の取引、マネー・ロンダリング、インサイダー取引、人為的価格操作に対して指導方針を打ち出し、匿名性仮想通貨の市場からの排除を求めるとともに、取引所にデータ管理のセキュリティー強化を求めた。野村総合研究所は、「仮想通貨の取引量が増加を続けており、ICOの規模も拡大を続けている。日本には適切な監督管理のメカニズムが必要だ」と主張する。

日本の警察機関も仮想通貨のマイニング(採掘)用ソフトウェアの取り締まりを強化しており、マイニング応用プログラムを「ウイルス」とする見方を示した。日本経済新聞によると、神奈川県や宮城県など10県警が、ネットワークを介して他人のコンピューターを利用し、無断でマイニング作業を行ったとして、16人を摘発したという。

政策の面だけでなく、市場からも弱情報が次々に伝えられる。日本の仮想通貨ウォレット「HBウォレット」のアンドロイドバージョンから仮想通貨約55万ドル分が流出した。日本の小売企業ショップインの仮想通貨ウォレットがハッカーに攻撃され、イーサリアムなどの仮想通貨1000万ドル分の損失が出た。こうした大規模な窃盗被害が出るたびに、業界が零落するという大きな反応を引き起こしてきた。

■混乱から秩序への転換を推進

日本は仮想通貨市場のドアを閉めようとしているのだろうか。

アナリストの多くが、「日本政府は透明で秩序のある市場環境を創出する必要があり、ただ放任するだけではいけない。仮想通貨を常態化した監督管理の中に組み込むよう努力することも必要だ。日本が目下行っているのはこうした取り組みだ。株式市場は成熟の過程で混乱から秩序への転換を経た。仮想通貨は新しく出現した事物として、誕生時から議論を巻き起こし、マネーロンダリング、脱税、市場操作、詐欺、不正融資、ハッキングによる窃盗といった違法行為と関連づけられることもあった。だが脱中心化した仮想通貨は技術のロジックによって構築されたもので、徐々にその価値を表している。日本は仮想通貨の主な流通国であり、現在打ち出している一連の措置の背後には、常態化した監督管理に組み込み、投資家の利益を保護し、芽を出したばかりの新技術を守ろうと努力する姿が垣間見られる」といった見方を示す。

データをみると、現在、ビットコインは円への換金が75.22%を占めて1位で、2位の米ドルを大幅に上回る。業界のアナリストは「すでに18年2月に仮想通貨に占める円建ての取引量が世界全体の約40%を占めるようになった。これは主に日本が仮想通貨産業に温かい態度で臨んでいること、監督管理政策が相対的に緩和されていることが原因だ」と指摘する。

実際、日本の仮想通貨市場の発展から政策が緩やかに打ち出されてきた歩みがうかがえる。

16年5月25日、日本の国会で「資金決済に関する法律(資金決済法)」改正案が可決・成立し、仮想通貨を合法的な決済手段とみなして法規制システムに組み込むことが承認され、日本は仮想通貨取引所に法的保障を与えた最初の国になった。

ICOについて、麻生太郎財務大臣は「ICOを必ず管理下に置かなければならないと主張しているわけではない」とした上で、このたび日本で起きたコインチェック取引プラットフォームでの不正流出事件については、「革新(イノベーション)とユーザー保護のバランスを保つように注意しなけらばならない。決して仮想通貨の価値を否定するということではない」と強調した。

業界アナリストは、「日本政府筋のこうした態度表明からわかるのは、今後しばらくは、日本は仮想通貨とその取引、さらにはICOに対して開放的な態度を取るだろいうことだ」との見方を示す。

一部の仮想通貨で発生したマイニング産業チェーンで、日本企業は早くもいろいろと考えを巡らしている。GMOインターネットはマイニング事業向けに12ナノメートルプロセス技術の専用チップを開発し、次世代の仮想通貨のマイニングに応用が可能となった。同社によれば、「この革新は7ナノメートルプロセス技術のマイニングチップ実現に向けた重要な一歩」だという。

マイニングでの過剰な電力消費の問題を解決するため、日本の熊本市のエネルギー会社・熊本電力は、「より環境に優しい太陽光発電を利用してビットコインのマイニングの電力消費問題を解決する」という。

注目されるのは、日本の従来型の金融監督管理手段が徐々に仮想通貨の監督管理にも浸透してきたことで、積極的なシグナルだといえる。たとえば日本クリプトコイン協会は自主規制の草案を発表し、主な内容には取引所の管理職や社員など関係者から得た情報に基づく取引の禁止などがあり、株式市場のインサイダー取引禁止の規定を参考にしたという。

また、日本の複数の機関が、仮想通貨への理解を深めるための取り組みを進めている。

日本の仮想通貨サポートセンターは中高年向けの仮想通貨取引の研修カリキュラムを開設し、こうした人々が仮想通貨に抱く疑問や懸念を解消し、投資に参加してもらうことを目指すとしている。

日本のマンガチームによる仮想通貨マンガも初めて登場した。代表の泰羅さんは、「仮想通貨を紹介する文章はたくさんあるが、文字だけだと、普通の人はあまり読もうとしない。(マンガのスタイルで)すべての人に仮想通貨とその潜在力を知ってもらいたい」と話す。

日本の会計事務所にも、仮想通貨関連の税務面でのサポートを提供するところがたくさんある。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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