未明に突然の大雨、山間部の幹部が住人1200人超を叩き起こして避難させる、20分後に鉄砲水―四川省

Record China    2018年7月31日(火) 21時10分

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四川省凉山州イ族自治州布施県地洛郷が29日未明、豪雨が引き金になった山崩れの被害を受けた。しかし、集落幹部の判断で住人を迅速に避難させたことで人的被害は出なかった。避難完了から20分後に集落を濁流が襲ったという。

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四川省凉山州イ族自治州布施県地洛郷の共産党委員会のアクルズ書記は29日午前2時40分ごろ、急に雷鳴を伴う強い雨が降り出したことに気づいた。目の前の道路にはたちまち、泥水が流れ始めた。山間部の集落で、大雨に伴う土砂災害の恐ろしさはよく知っている。アクルズ書記はただちに、危険区域にある217世帯の住人、1276人を緊急避難させる決断をした。

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まず、他の地元幹部、診療所の医療スタッフ、警察官など十数人に招集をかけた。全員が、ハンドスピーカーを手に各世帯を回り、扉を叩いて避難するよう呼びかけた。時間帯が時間帯だけに、住人の多くは突然の大雨に気づかず眠っていたという。

しかし住人の反応は速かった。次から次に自宅から出てきた。これには理由がある。四川省の山間部は土砂災害の多発地帯だ。山崩れにより集落が全滅してしまうような事態が発生することもある。地洛郷も、豪雨に見舞われた際には「山崩れや鉄砲水が発生することを覚悟せねばならない地域」と見なされている。そのため、普段から避難訓練を実施していた。異変に先に気づいた住人が、隣家の住人に避難を呼びかける状況も、随所で見られたという。

避難対象区域の217世帯、1276人の住人の大部分が十数分後には避難場所に指定されている郷政府建物前の広場への移動を終えた。アクルズ書記は泥水が流れる集落の道路で、住人の誘導を続けた。

家から外に出た住人は雨の激しさに改めて驚いたという。「天の底が抜けたのではないかと思えるほど、すごい降り方だった」と説明する住人もいる。

午前3時ごろ、集落の裏にある山が崩れ始めた。道路を土石混じりの濁流が流れ始めた。アクルズ書記はその時、他の幹部と取り残された住人がいないか確認の作業をしていた。高齢者がひとりで生活する家に来た時、避難した気配のないことに気づいた。体が不自由なお年寄りだったはずだ。中にまだいる可能性が高い。

足元を流れる濁流の勢いは増している。家の中に向って叫んだが、周囲が喧噪に包まれていて、中からの声を確認することができない。アクルズ書記は思い切って、家の扉を蹴破った。部屋の中には高齢の住人がいた。アクルズ書記は住人を抱いて避難場所に向かった。

迅速に進められた住人の避難だったが、問題もあったという。集落幹部は避難を呼びかける際「とにかく逃げてください。お金や貴重品は災害が去ってから取りに戻ってください」と呼びかけた。ところが、早い時点で避難場所に到着した女性2人が「貴重品を取りに、家まで戻る」と言い出した。やめるよう説得したがどうしても聞き入れない。そこでアクルズ書記は周囲にいた住人数人を「護衛」につけて、家まで戻らせることにした。

すぐに戻ってきたが、その直後に道路は激しい濁流に飲み込まれた。女性2人は、改めて恐ろしさに顔をひきつらせたという。

29日未明から早朝までの土砂災害で、地洛郷では民家53棟が損害を受け、うち7棟はほぼ全壊した。その他、道路が7カ所で寸断され、耕作地や水利施設にも被害が出た。ただし、住人を迅速に避難させたことで、死傷者は発生しなかった。

29日午前5時ごろに雨は小振りとなり、日が高くなると青空も見えるようになった。地洛郷政府は残された危険の確認や伝染病発生防止のための消毒作業などを開始した。住人らは集落に残された土砂の撤去などに取り生んだ。同日夜までには寸断されていた道路の応急処置も済み、集落への交通は回復した。県当局などは、住む家を失った住人に仮の居住場所を提供した。(翻訳・編集/如月隼人

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