【独占インタビュー】笹川陽平会長、人材育むSylffプログラム基盤に更なる中日友好を

人民網日本語版    2018年7月23日(月) 20時40分

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笹川良一ヤング・リーダー奨学基金(Sylff)中国プロジェクト25周年記念式典が先ごろ北京市の北京大学で開かれた。同式典には日本財団の笹川陽平会長をはじめ、北京大学の林建華校長や中国におけるSylff校10校から奨学生約200人が参加。

インタビューに答える笹川陽平会長(6月30日、撮影・袁蒙)。

笹川良一ヤング・リーダー奨学基金(Sylff)中国プロジェクト25周年記念式典が先ごろ北京市の北京大学で開かれた。同式典には日本財団の笹川陽平会長をはじめ、北京大学の林建華校長や中国におけるSylff校10校から奨学生約200人が参加。今回、人民網では長年中日友好交流事業に尽力し続けている日本財団の笹川陽平会長に独占インタビューを行った。人民網が伝えた。

中日友好交流事業に尽力し続けた30年

日本最大の国際NPO法人である日本財団は、中日友好事業発展のため、これまで数多くの貢献を行ってきた。笹川日中友好交流基金を設立し、中国の学者や医師、メディア関係者、農村幹部たちを数多く日本へ視察に招待してきたほか、大量の日本語図書を中国語に翻訳して出版している。30年もの間、中日友好交流事業に携わってきた笹川会長は、これまで勤勉で努力家の中国人学生たちを数多く目にしてきたという。なかでも特に記憶に残っているというのが、チベット自治区から学びにきた1人の医師。笹川会長は、「中国全土から医師を招待し、教育するというプロジェクトで選抜した際、チベット自治区の医師が1人どうしてもレベルに達しなかったが、日本財団の支持と本人の努力で長野県信州大学で1年学べることになった。実際メスを手にする機会には恵まれなかったものの、ひたすら手術を見学し、一生懸命記録をとっていた彼は、日本側の歓待にも、故郷に戻ればまた質素な暮らしが待っているからと、一切拒否。その後、彼からチベットに招待されて赴いたかつての恩師は、現地で『神の手』と呼ばれるほどの手術の巧みさで有名になった教え子と再会した」とその思い出を語ってくれた。

「笹川良一ヤング・リーダー奨学基金25周年記念式典」が北京市で開催(6月30日、撮影・袁蒙)。

中国で展開中のSylffプログラムとは

1987年に人類の平和と利益のため、積極的にグローバル事業に携わり、リーダーシップを発揮できる優秀な人材育成を目的に設立された奨学金プログラム「Sylff」。中国では1992年から展開し始め、教育部の推薦を受け、北京大学と蘭州大学、吉林大学、南京大学復旦大学、新疆大学、内蒙古大学、雲南大学、重慶大学、中山大学の重点大学計10校がSylff校に認定された。通常の奨学金制度と異なり、Sylffは奨学金を受給して終わりではなく、継続的な支援が続けられる。また奨学金の受給以外にも、同プログラムのフェローは様々な学術研究や交流プログラムにおいて支援を受けられ、同時に卒業生同士による世界的なネットワークを組んで、互いに協力し合える仕組みの構築に取り組んでいる。

Sylffの設立から30年以上が経ち、同プログラムのフェロー数はすでに1万6千人以上となり、その過半数を中国人が占めている。笹川会長は、「Sylffプログラムの奨学生選抜は各大学に一任しているが、25年間で実に多くの優秀な人材が輩出された。毎回各大学を訪問し、研究成果の発表を聞くのが一番楽しみ。素晴らしい生徒たちを支援しているという実感が沸く。中国では『1年で成果を上げたいなら穀物を植え、10年で成果を上げたいなら木を植えなさい。人を育てるには100年が必要』と言われているが、わずか25年でこれほど立派な人材が育った」と感慨深げに語った。今後中国における募集拡大計画の有無については、「Sylff校の数を増やすことはないが、既存のSylff校における募集人数拡大の可能性はある」とした。

「笹川良一ヤング・リーダー奨学基金25周年記念式典」で挨拶する笹川陽平会長(6月30日、撮影・袁蒙)。

改革開放40周年は中日両国の友好発展の新たな転機に

改革開放40年間で、中国は外交や内政、社会環境などにおいて様々な変化が生じた。その変化の一部始終を目の当たりにしてきた笹川会長は、「ここ10数年で中国は目覚ましい変化を遂げ、人々の生活レベルが飛躍的に向上し、電気自動車などクリーンエネルギー分野においては中国が日本をすでに超えていると感じるほど。その発展スピードは世界でも非常にまれだ。また外交面も開放が進み、日中友好事業に取り組みやすい体制になってきていることは大変喜ばしい。これで日中の相互理解を深めるチャンスがさらに増えた。近年、多くの中国人が訪日観光し、日本文化に触れている一方で、日本人は中国の急速な発展の速さに理解が追い付いていないというのが現状」と語る。

笹川会長は、「政治的には今も溝が存在するが、日中両国の経済分野はすでに切っても切れない相互依存関係となっている。今後この関係をさらに深化させていくには、民間レベルでの相互理解の促進が必要不可欠。過去において中国は政策上、開放が不十分であったため、我々が日中交流の窓口となる必要があったが、姉妹都市の締結や文化交流を通じて、現在の日中関係にはすでに優れた基盤ができている。今後はこれをさらに発展させることが重要であり、両国民、特に若い世代の努力が必要となってくる」と話した。(文・洪東実)

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