台湾「閣僚」が訪米=対中問題の責任者、中国側は「慎重に」米国批判

Record China    2018年7月19日(木) 16時50分

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中国外交部の華春瑩報道官は台湾政府閣僚の陳明通主任が訪米した件についての米国批判で、慎重な言い方に終始した。

中国外交部の華春瑩報道官は18日の定例記者会見で、中華民国行政院(台湾政府)大陸委員会の陳明通主任が米国を訪問した件について、「中国側は米台の公式な往来については、いかなる形式であれ一貫して反対している」と述べた。しかし同件については「紋切り型」の批判に終始した。米中は貿易問題についての対立を激化させており、それ以外の問題については米国を刺激しすぎないよう配慮した可能性がある。

大陸委員会は台湾政府の主要組織のひとつであり、トップの陳明通主任は同政府閣僚ということになる。台湾閣僚が米国を訪問して実質的活動を行うのは、2016年の蔡英文政権発足以来初めてという。

中国側の華春瑩報道官は18日午後の定例記者会見で、陳主任を受け入れた米国側について、「中国側は米台の公式な往来については、いかなる形式であれ一貫して反対している」「米国側に、ひとつの中国の原則と中米の3つの共同声明を順守し、台湾問題を慎重に処理し、実際の行動をもって中米関係の大局を維持するよう求める」と述べた。

華報道官の発言は、中国側の主張を従来通りなぞっているが、陳主任の訪米を受け入れた米国を強く批判する論調ではない。同じ記者会見でも、華報道官は貿易問題については「米国が身勝手な妄動を続けるならば、世界各国は米国に対してさらに強い断固たる反撃を加えることになる」などと、米国を厳しく非難している。そのため、同問題については米国を必要以上に刺激しないという外交上のバランス感覚を働かせた可能性がある。

なお、中国政府は「台湾問題は外交問題でなく国内問題」との立場であるため、外交部報道官は台湾問題についての質問を受けても、回答を避ける。18日の記者会見でも華報道官が台湾に対する言及は避け、米国に対する見解だけを述べた。

一方、米国を訪問した陳主任は、台湾に対して圧力を強める中国を極めて強く批判。(台湾海峡の)両岸関係を平和裏に安定して発展させる台湾側の立場は不変であり、「(台湾側の)善意は不変であり、承諾事項も不変であり、(中国大陸側と)対抗する古い道に戻ることはない。ただし、圧力に屈服することもない」などと述べた。

華報道官が言及した「3つの共同声明(コミュニケ)」とは、米ニクソン大統領が1972年に訪中した際に発表された共同声明(上海コミュニケ)、翌79年に米中が国交を樹立した際の共同声明、82年に発表され台湾への武器売却を扱った共同声明(第2次上海コミュニケ)を指す。

なお、これらの共同声明は中国語版と英語版が存在する。いずれも中華人民共和国政府を中国唯一の合法的政府としているが、台湾の扱いについては、中国語版が「米国政府は、台湾が中国の一部分であるとする中国の立場を『承認』する」としているのに対し、英語版は「米国政府は、台湾が中国の一部分であるとする中国の立場の『存在を事実として知る』」と解釈できる言い回しになっている。中国側が米中の「3つの共同声明」に言及する場合、英語版のニュアンスは念頭に置かず、中国語版の記述に基づくと考えてよい。(翻訳・編集/如月隼人

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