中国の高速鉄道が開業10年、沿線都市「勝ち組」「負け組」の明暗くっきり―中国メディア

Record China    2018年7月17日(火) 6時10分

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中国に高速鉄道が登場して間もなく10年になる。中国メディアの新浪網は高速鉄道の整備が沿線都市に明暗をもたらしており、今後は中国全国に主力都市「3+6」の構造が形成されるとの見方を紹介した。

中国初の高速鉄道である北京と天津を結ぶ京津城際鉄路が開業したのは2008年8月1日だった。中国メディアの新浪網は14日、まもなく開業10年となる中国の高速鉄道が沿線都市に明暗をもたらしたと指摘する記事を発表した。同記事は、中国では今後、高速鉄道の影響により主力都市「3+6」の構造が形成されるとの見方を紹介した。

高速鉄道が開業してから10年の間には、死傷者数230人以上の列車追突事故(2011年、浙江省温州市)や、高速鉄道建設を強力に進めた中央政府・鉄道部の劉志軍部長が職権乱用を理由に解任され、鉄道部そのものが解体されるなどの紆余曲折があったが、中国政府が国土全体の発展を目的に、高速鉄道の整備を続けてきたことに変わりはない。中国の高速鉄道網はすでに2万5000キロメートルに達し、世界の高速鉄道の約3分の2を占めるに至った。

中国では都市を「一線」「二線」のようにランク分けすることが多い。定義は必ずしも明確ではないが、一線都市とは全国に対して大きな影響力を持つ都市で、北京、上海広州(広東省)、深セン(同)などが該当するとされる。二線都市は、周辺のかなり広い地域に対して大きな影響力を持つ都市で、遼寧省大連市などが該当するとされる。三線都市あるいは三・四都市とは、いわゆる「地方中小都市」と理解して問題ない。

これまで高速鉄道の開通で地方都市に活気が生じたとの話題もしばしば紹介されてきたが、新浪網によると、高速鉄道網による真の恩恵を受けているのは大都市であり、三四線都市では産業と人材の大量流失という状況が発生しているという。

記事によると、北京市と上海市を結ぶ京滬高速鉄道と上海市と湖北省武漢市、重慶市を結ぶ滬漢蓉高速鉄道の沿線都市について調べたところ、全体の58%の都市で常住人口の減少が発生していた。特に山東省泰安市、安徽省シ除州市、江蘇省崑山市、湖北省荊州市、重慶市豊都区、湖北省天門市などでは減少が顕著という。

また、京滬高速鉄道沿線都市の50%、京滬高速鉄道沿線都市の58%で、GDP成長率が所属する省の平均を下回った。また、沿線都市政府の財政収入では、京滬高速鉄道沿線都市の50%、京滬高速鉄道沿線都市の70%で、それぞれの市の収入が、所属する省全体の政府収入に占める割合が低下した。つまり、沿線のかなり多くの市で、政府が地域の中で「相対的に貧乏」になったことになる。

住人の可処分所得でも、京滬高速鉄道沿線都市では沿線都市の80%で下落する現象が見られた。

高速鉄道の開通は人や資金などの移動を加速するが、沿線の三四級としでは、高速鉄道が人や資金を「吸いあげる」機能を果たしているという。

記事によると、香港証券取引所の巴曙松首席エコノミストは、中国では今後、「3+6」という主力都市配置の構造が形成されるとの見方を示したという。

3+6とは、複数の都市で形成される3つの主力都市群と、個別の都市で地域の中心となる6の都市を指す。3つの主力都市群とは北京都市群、上海都市群、深セン都市群で、香港と広州は深セン都市群に含まれることになる。

6の主力都市とは、南京市(江蘇省)、合肥市(安徽省)、武漢市(湖北省)、長沙市(湖南省)、重慶市、成都市(四川省)という。巴氏は、主力都市には昆明市(雲南省)も加わり全体の構図は「3+7」になる可能性もあると述べた上で、このような都市配置の形成に高速鉄道決定的な役割を果たすと説明したという。(翻訳・編集/如月隼人

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