米国人も「NO」を叩きつけるトランプ大統領の貿易政策―中国メディア

人民網日本語版    2018年7月3日(火) 22時0分

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米国のオートバイメーカー「ハーレーダビッドソン」は最近、ヨーロッパ向けの生産を海外に移すと発表した。

米国のオートバイメーカー「ハーレーダビッドソン」は最近、ヨーロッパ向けの生産を海外に移すと発表し、自動車メーカー・ゼネラルモーターズ(GM)は、追加関税により、国内事業規模の縮小を強いられ、雇用減少にもつながると警告した。EU(欧州連合)、カナダ、メキシコ、インド、トルコなどが米国商品に対する報復関税を発動するなど、トランプ政権の保護主義的な貿易政策により、米国企業や消費者がその一番の「被害者」となり、製造業を国内に回帰させ、雇用を増やすというその目標からは大きく遠ざかっている。経済や産業チェーンがグローバル化している21世紀に、関税を引き上げたりして他の国を脅迫する保護主義的なやり方は時代遅れで、人に損失を与えても自分の利には全くならず、通用する方法ではない。新華社が伝えた。

まず、輸入商品に対する関税を引き上げると、米国国内の産業を保護するどころか、身近な商品が値上がりし、米国企業や消費者がその「被害者」となる。米国商工会議所などの業界の組織は米国政府に対して、関税を引き上げると、米国企業や消費者から「税金を徴収」することになり、それにより世界のサプライチェーンが混乱し、原材料や部品を輸入に頼っている米国企業の生産コストが上がり、米国の製造や輸出関連の事業者の競争力が落ちると何度も警告してきた。サラリーマンを含む米国の消費者も、高騰した輸入商品を買わざるを得なくなり、生活費が上がり、米国国内でインフレが進む可能性さえある。

実際には、関税をめぐる一方的な措置が成功したことは、米国史上一度もなく、就職が落ち込むなどの不利な結果を招くだけだ。2002年、ジョージ・W・ブッシュ政権が輸入する鉄鋼製品の関税を引き上げたことで、米国の雇用は約20万人失われ、40億ドルの賃金が失われた。また、09年、オバマ政権が中国から輸入するタイヤの関税を引き上げた際は、米国の雇用約2500人が失われ、米国の消費者の支出が11億ドル増えた。

また、米国が関税引き上げ措置に対して、主要貿易パートナーも報復措置で応じており、米国企業、農家、消費者の損失はさらに増えると見られている。米国全国対外貿易評議会の統計によると、現在、米国の主要貿易パートナーの米国製製品に対する追加関税は総額約900億ドル規模になりそうだ。このような報復措置により、米国の輸出業者はさらに損失を被り、米国の数百万人の雇用が脅かされ、米国経済全体に悪影響を及ぼす。

EUの米国製バイクに対する報復追加関税を逃れようと、米国の製造業において代表的な存在の「ハーレーダビッドソン」が最近、一部の生産を海外に移すと発表した。ピーターソン国際経済研究所のシニアフェローのチャド・ブラウン氏は、「欧州企業と比べると、ハーレーダビッドソンのような米国企業は▽米国の鉄鋼・アルミニウム製品に対する関税引き上げ措置による生産コストの高騰▽貿易パートナーの対米報復関税措置による重い負担▽欧州企業はEUが日本などと合意に至った新自由貿易協定(FTA)から関税の面でさらなる恩恵を受ける――という、トリプルパンチに直面している。そのため、多くの米国企業はハーレーダビッドソンを模範にして、一部の工場を海外に移すだろう。これはめちゃくちゃな貿易政策の代価だ」と指摘している。

米国政府が「国家安全保障上の脅威」という理由を乱用し、一方的に関税を引き上げたことで、EUや中国、インド、カナダ、ロシア、メキシコ、ノルウェーなどは世界貿易機関(WTO)に提訴したほか、米国国会の反対、国内訴訟などにも直面している。米国連邦議会上院外交委員会のボブ・コーカー委員長を代表とする米国国会議員は最近、安全保障上の懸念を理由に関税を課すことができる大統領権限を制限する法案を提出し、270以上の商業組織から支持を得た。また、トランプ政権が鉄鋼輸入に課した25%の関税を不服とし、業界団体である米国国際鉄鋼協会(AIIS)などは最近、関税措置の違憲認定とその差し止め命令を求めて米連邦国際貿易裁判所に政権を相手取り提訴した。

経済や産業のサプライチェーンがグローバル化しているのを背景に、関税を引き上げて国内産業を守り就職を増やすというやり方は、独りよがりな考えに過ぎない。米シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)の専門家であるウィリアム・ラインシュ氏が述べるように、現在の国際貿易は「ウィンウィン」の協力スタイルで成り立っており、ノンゼロサム・ゲームだ。米国の現行の貿易政策は17、18世紀の重商主義のようで、経済がグローバル化している21世紀には合わない。米国の消費者や労働者、製造業を助ける一番良い方法は、新しい市場を開拓し、関税や貿易障壁を引き下げることであって、自国の市場の敷居や障壁を高くすることではない。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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