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森林保全のボランティアとして昨年8月から内モンゴルで活動を展開している荒川知加子さんを紹介する。彼女の寄稿した文章には、彼女が暮らす自然豊かな環境や日々の仕事についてつづられている。
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長年にわたり、中国ではごく普通の、愛らしい日本の若者たちが常に活躍してきた。彼らは自身の知識と熱意を中国の地に捧げてきた。彼らの中には社会人になったばかりの若者もおり、中国語もほとんど話せないものの、努力と楽観的な姿勢で、異国の地で人としての価値を実現させようとしている。日本国際協力機構(JICA)が中国に派遣するボランティアたち、それがこうした若者たちだ。ボランティアたちは通常、1~2年間中国に滞在し、そのほとんどが条件的にも厳しい遠隔地や貧困地域へと派遣され、そこで教育や医療といった業務に従事し、現地の人々と一緒に生活する。人民網日本語版では「中国の日本人ボランティア」コンテンツにおいて、こうした日本人ボランティアたちが中国で経験したエピソードや思いを紹介する。
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今回は日本の森林保全のボランティアとして昨年8月から内モンゴルで活動を展開している荒川知加子さんを紹介する。彼女の寄稿した文章には、彼女が暮らす自然豊かな環境や日々の仕事についてつづられている。
私は昨年8月から、内モンゴル自治区シリンゴル盟多倫県の林業局に林業・森林保全という職種で派遣されています。多倫県は北京のほぼ真北350キロに位置し、1960年代~2000年代には深刻な沙漠化のあった地域です。現在では禁牧政策や退耕還林政策の成果で沙漠らしい沙漠地は少なくなっており、夏場には、多倫湖や姑娘湖といった美しい湖とさまざまな草花が生育するすばらしい景色も目にすることができます。県内には滙宗寺や、隣町にある元上都遺跡といった観光地もあり、内モンゴル観光の通過点としても年間多くの観光客が訪れる地域です。
そうした多倫県の林業局に受け入れていただき、赴任してしばらくは入力作業や現場の検収作業を手伝ったり、NPO団体の植樹イベントに参加したりしていました。配属している林業工作課では退耕還林事業、漢方薬の栽培や楡の接木といった事業に力を入れており、そうした事業の現場に連れて行ってもらったことも何度かあります。広くどこまでも続く草原は日本では絶対に見られない景色で、この広大な土地を管理するのは大変な労力だと常々感じています。
現在は派遣されて半年以上が経ち、林業局と相談して決定した活動計画の実施に向けて動き出しているところです。具体的には、1.質のよい苗ができるコンテナを用いた苗の生産(多倫では大規模に植林を行っていますが、降水量や土壌環境は樹木の生育にとって厳しい環境で植えても枯れてしまう苗木もあるため、質のよい苗により効率的な緑化に役立てる)、2.多様な土地利用の方法の検討(多倫の広大な土地や多倫湖といった観光資源を利用して、集客効果のあるような観賞植物を栽培しそれから2次製品をつくることで収入向上を図ったり、現地の自生種を活用してより多倫の環境に適した森林を育てたりする方法を検討する)、3.生ごみを利用した有機肥料の作成(捨てられる一方である生ごみを再利用し有機肥料を作ることで、土壌改良をするとともに、人々の環境保全意識の向上につなげる)、4.学生を対象とした植樹活動の実施(学生とともに植樹を行い、緑化や森林の重要性に触れてもらう)、5.日本の技術や文献の紹介(日本の林業についての技術や文献を翻訳し同僚に紹介する)、といった内容です。起伏がなだらかですが、降雨が少なく、栄養分に乏しい土質で植物の生育にとって厳しい環境である内モンゴルと、急な山ばかりですが雨の多い日本とでは、同じ林業といっても全く別物のように感じられ、こうした活動に取り組むことは私自身にとっても大変貴重な経験になると感じています。今後は限られた任期の中で、協力してくださる林業局の同僚とともに活動に取り組んで行きたいです。(内モンゴル自治区多倫県林業局 林業・森林保全 荒川知加子)(提供/人民網日本語版)
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