スズキ自動車の中国撤退は合理的か?中国メディア「危険」

人民網日本語版    2018年6月26日(火) 6時50分

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日本メディアが伝えた最新の情報によると、スズキ自動車は中国の長安汽車との協力合意の解消に向けた交渉を進めている。資料写真。

日本メディアが伝えた最新の情報によると、スズキ自動車は中国の長安汽車との協力合意の解消に向けた交渉を進めている。業界関係者の話では、「スズキは中国現地生産から撤退する方針を固めており、提携先の長安汽車との協力関係も解消する方針だ。双方はまだ最終的に合弁会社『長安スズキ』を解散することについて合意に達していないが、スズキは合弁会社から手を引くとすでに決めている」という。国際商報が伝えた。(文:崔東樹・全国乗用車市場情報連席会事務局長)

中国自動車市場の発展は速く、政策の後押しを受けて、中国の乗用車製品はモデル転換・バージョンアップの傾向をみせ、特に電動化の流れが重要な突破口になっている。超小型車が電動化し、小型車が多様化し、中・大型車はプラグインハイブリッド化の流れが強い。特に超小型車の電動化の流れが目立ち、超小型ガソリン車にとって極めて大きな脅威になっている。スズキが今のように迅速な調整を行って流れに適応するのではなく、中国を離れる決意をするのなら、身を置くことのできる場所は決して多くはない。

スズキブランドの発展状況には、中国市場の急速な変化や超小型車の電動化といった流れが反映されている。

▽エコノミーカー低迷の原因は複雑

エコノミーカーが中国乗用車市場で低迷しているのは、長年にわたる業界の流れだといえる。中国乗用車市場の発展初期には、そもそも乗用車は価格が高く、消費者の購買力には限界があったため、エコノミータイプの乗用車が市場で相対的によく売れていた。その後、中国経済が急速に発展するのにともなって、消費者の収入も持続的に上昇し、中・大型乗用車を好む人が増えてきた。2009年から10年にかけては、排気量1.6リットル以下の乗用車を対象とした自動車取得税の減税措置など国の経済活性化政策による支援もあったが、消費バージョンアップによる購買力の向上により、中・高級タイプ乗用車の売れ行きが目を引くようになった。スズキはこの流れに追いつけず、11年から相対的に不調に陥っていった。

12年以降は、中国で多機能車が急速に発展し、特にスポーツ用多目的車(SUV)の発展がめざましかったため、乗用車は市場全体に占めるシェアをどんどん減らし、エコノミーカーはさらに厳しい状況に追いやられていった。

▽中国市場撤退は合理的か?

スズキは超小型車を中核とした製品戦略を頑ななまでに堅持しており、このためエコノミーカーが電動化に向かう流れが顕在化する中、主力製品は中国市場からの撤退を余儀なくされている。

現在の状況をみると、スズキが直面する重要な問題は、中国市場から全面的に徹底するか、それとも中国市場の電動化を追いかけ、これと併走し、モデル転換を加速するか、ということだ。

スズキのような企業が中国から撤退するのは、非常に危険なことだといえる。超小型車もエコノミーカーも電動化が阻止できない流れであり、スズキなどは製品の電動化へのモデル転換を加速させなければ、今後はそのガソリン車製品が世界市場の中で省エネ・汚染物質排出削減の圧力に直面することになる。特に中国製電気自動車(EV)が急速に成熟し、中国独自ブランドEVがすでに市場の主力になっているという現状がある。

▽中国の超小型EVは東南アジアに向かう

今後は中国独自ブランドが超小型EVでバージョンアップを達成するのにともない、中国から世界へ進出するのは、おそらく中国独自ブランドのEVになるとみられる。

従来型ガソリン車の中国独自ブランドは、世界市場全体としてみるとそれほど好調ではなく、アフターサービスやブランドなど各方面で国際ブランドによる巨大な圧力にさらされている。そこで新エネルギー自動車を発展させること、特にエコノミータイプEVを発展させることが、中国独自ブランドが海外に進出し、世界市場で飛躍を遂げるための重要なチャンスにつながる。

スズキをはじめとする国際ブランドは中国市場から撤退すれば、トレンドから後退することになる。中国ブランドが徐々に世界に進出し、特に中国のエコノミーEVが世界に歩みを進めるのにともない、スズキは国際市場における競争で厳しいリスクに直面するようになった。

未来の中国の新型EVは、おそらく低コストを武器に世界へ進出し、ガソリン車に大きな打撃を与えることになる。特にインドなどでは、現地政府も自動車の電動化戦略を積極的に推進しており、エコノミーカーが電動化の重要なチャンスを達成するとみられる。中国で起きたことはインドでも起きる可能性が高く、スズキは中国市場撤退の影響は大きくないと考えるかもしれないが、電動化の流れの中、世界の自動車市場が中国の電動化戦略とともに歩むようになる可能性は高い。

スズキの中国撤退は非常に「危険」な選択だといえる。正しい選択は中国市場で製品の投入ペースを加速すると同時に、中国の電動化の流れとともに歩み、世界の他の地域でも新しい流れに適応できる力を確実に身につけることだ。こうしなければ世界の自動車市場から撤退するしかない。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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