<羅針盤>日本最古の劇場「南座」の11月再開場に期待=外国人観光客にも魅力のスポットに―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2018年5月27日(日) 5時10分

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京都で育った私は、京の町並みや風情に温かさを感じる。新幹線が東山トンネルから出た途端に広がる瓦屋根の民家の風景に、いつ行ってもやすらぎを憶える。四季を愛でることがたやすくできるのが都会人にとってはうらやましい限りである。

京都で育った私は、京の町並みや風情に温かさを感じる。新幹線が東山トンネルから出た途端に広がる瓦屋根の民家の風景に、いつ行ってもやすらぎを憶える。京都はお寺が多い。そのためか四季を愛でることがたやすくできるのが都会人にとってはうらやましい限りである。

一月は初詣、二月は節分、天神の梅花祭、三月は涅槃会、四月は都をどり、五月は葵祭、鴨川、七月は祇園祭、八月は大文字、十月は時代祭、十二月は顔見世で始まり、最後は三十一日のお寺参りで新しい年を迎える。まさに文化の凝縮した町なのである。

中でも葵祭りは中心的な存在。日本で最古の祭りで、飛鳥時代の舒明天皇の御代に始まった。今年も、かげろうたつ都大路を行く牛車の音ものどかに華やかな行粧が練った。斎王さまをはじめ女人列の優雅さは王朝の再現として注目された。

私にとって顔見世は毎年の恒例行事である。ただ顔見せも昨今の歌舞伎ブームで役者が東西に分かれ、昔のように勢ぞろいする豪華さが無くなってしまっているのは残念である。招きの名前が二段というのもこの結果なのであろう。また昔のマス席は小さくて四人座れるぐらいがちようどの広さで、午前の部が九時半ごろから始まって夕方五時ぐらいまで興行があったという。それぞれ家紋を付けたお重のお弁当を作り、女性たちはわざわざ晴着をつくり顔見世に奮発したそうである。

役者が出演後、先斗町・祇園に繰り出し、釀し出す華やいだ世界も京都ならではである。芸舞妓による踊りの公演「都をどり」などの会場となっている祇園甲部歌舞練場の本館が、一昨年10月の公演「温習会」の終了後耐震調査などのために一時休館しているのは寂しい限り。数年かけて建物を調べたり、必要な改修をしたりするというが、昨年、今年と春の「都をどり」は京都造形芸術大(左京区)の京都芸術劇場春秋座で行ったが、祇園から離れた場所なので、稽古や公演には不便をかこつという。

こうした中で、京都・四条大橋そばに建ち、名建築で知られる南座が耐震工事のため3年近くの休館を経て今年11月に再開場するはうれしいことである。400年の歴史を誇る現存する日本最古の劇場。京都だけでなく日本の歌舞伎はじめ伝統芸能の中心的な存在だ。こけら落としとなるのは松本幸四郎さん親子3代の襲名披露(11月)を含む2カ月連続の顔見世。来年には坂東玉三郎特別公演(3月)や花形歌舞伎(9月)などが予定されている。このほか松竹新喜劇を正月恒例にし、バーチャル歌手「初音(はつね)ミク」と中村獅童さんが共演する「超歌舞伎」が躍動する「超歌舞伎」(8月)など未来型の舞台も盛り込むという。さらに、来年春の「都をどり」を南座で開催することも決まったというから祇園界隈は一段と賑やかになりそうだ。京都を訪れる外国人観光客にも魅力のスポットとなるであろう。

四季折々におりなす文化をいつまでも抱擁しつつ新しさを取り入れる京都であってほしいものである

<羅針盤篇26>

立石信雄(たていし・しのぶお)

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC=企業市民協議会)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。公益財団法人日本オペラ振興会常務理事。エッセイスト。

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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